2023-05-29
曽我 純

円ドル相場は昨年末よりも9円強値下がりした。ドルユーロはほぼ同じ、ポンドとスイスフランは強含みで、円独歩安だ。日銀が金融緩和を続ける一方、米国の利上げ打ち止めが遠のく観測が強まってきているからだ。今年第1四半期まで米実質GDPは3期連続の前期比プラスであり、足元の経済指標もサービス部門は底堅く、米国経済が直ぐに腰折れすることはなさそうである。

2023-05-22
曽我 純

2022年度、日本の名目GDPは前年比1.9%と前年よりも0.5%p低下した。新型コロナ前の2019年度を0.8%上回り、過去最高を更新した。だが、実質では2018年度をまだ1.2%下回っている。2022年度までの10年間の名目GDPは年率1.17%、実質では0.56%であり、米国(2012年から2022年までの10年間、年率名目4.59%、実質2.1%)に比べればその差は極めて大きい。

2023-05-15
曽我 純

3月の貿易赤字は4,544億円と昨年8月のピーク(24,609億円)から大幅に縮小してきた。第1次所得収支(利子、配当等)は3兆3,610億円と前年を下回ったものの、貿易赤字額をはるかに上回り、経常収支は2兆2,781億円の黒字を確保することができた。2022年度の経常収支は9兆2,256億円と前年度の半分以下となり、2014年度以来8年ぶりの低水準となったが、今年度は増勢に向かうだろう。

2023-05-08
曽我 純

米国経済は底堅い。今年第1四半期の実質GDPは前年比1.6%伸び、前期を0.7%ポイント(p)上回った。個人消費支出と設備投資が2.3%、2.7%それぞれ伸び、この両者でGDPを2.0%引き上げた。在庫が大幅に減少したため、これを除けば2.6%成長となる。GDPの70.9%を占める個人消費支出が前期よりも高い伸びをみせていることが、底堅さの最大の要因である。

2023-05-01
曽我 純

4月28日、植田日銀総裁初の定例記者会見が開かれた。黒田前総裁の方針を踏襲し、まさに屋上屋を架す姿勢に徹した。岸田首相を始めとする政府の答弁や企業の会議と同様に、内容が乏しく、無駄な時間がだらだらと過ぎて行くだけであった。記者の質問に対してありきたりな言葉で答えて終わり、再質問は封じられている。このような会見をいくら開いたところで、日銀の考えをより深く探ることなどできはしない。

2023-04-24
曽我 純

3月の日本のCPI総合は前年比3.2%、前月よりも0.1%ポイント(p)低下した。生鮮食品を除くは3.1%の横ばい、さらにエネルギーを除くコアは3.8%と前月よりも0.3%p高くなった。3月の米CPIとユーロ圏HICPは前年比5.0%、6.9%それぞれ上昇しているが、日本はそれらを大幅に下回っている。国の電気・ガス支援が1%p引き下げており、これを除けば4.2%になる。

2023-04-17
曽我 純

3月の米CPIは前年比5.0%、前月よりも1%ポイント(p)低下した。2021年5月以来1年10カ月ぶりの低い伸びだ。4月はじめに「OPECプラス」が減産を決めたことから原油価格が上昇しており、なかなか一本調子で物価が下落していく状況ではない。それでも、WTIが、ここからさらに大幅に値上がりするとは考えにくく、年末に向けて、物価は緩やかに低下していくだろう。

2023-04-09
曽我 純

黒田日銀総裁が8日付で退任した。7日の記者会見で、大規模な金融緩和をやってきたことは正しく、大規模緩和がなければ、経済は現状のような姿にはならなかっただろう、という発言が目立った。2%の物価目標にどのような根拠があり、この目標を達成することで日本経済はどのようになるのか、といった根本的問題は最後まで聞くことはできなかった。

2023-04-03
曽我 純

2月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年比5.0%と1月よりも0.3%ポイント(p)低下した。ただ、食品・エネルギーを除いたコア指数は4.6%と0.1%pの低下にとどまった。3月のFOMCのPCEコア予測(第4四半期、前年比3.5%~3.9%)を0.7%p上回っている。

2023-03-27
曽我 純

これから円高ドル安はさらに進行するだろう。先週、FRBは躊躇しながらも政策金利を0.25%ポイント引き上げ、4.75%―5.00%とした。だが、週末の米10年債利回りは今年1月の半ば以来の3.37%に低下し、政策金利を138ベイシスポイント(bp)下回る。一方、2年債は半月ほど前には5%を超えていたが、政策金利はほぼ上限に達したとの見立てから3.76%に急低下した。