2023-05-08
曽我 純

米国経済は底堅い。今年第1四半期の実質GDPは前年比1.6%伸び、前期を0.7%ポイント(p)上回った。個人消費支出と設備投資が2.3%、2.7%それぞれ伸び、この両者でGDPを2.0%引き上げた。在庫が大幅に減少したため、これを除けば2.6%成長となる。GDPの70.9%を占める個人消費支出が前期よりも高い伸びをみせていることが、底堅さの最大の要因である。

2023-05-01
曽我 純

4月28日、植田日銀総裁初の定例記者会見が開かれた。黒田前総裁の方針を踏襲し、まさに屋上屋を架す姿勢に徹した。岸田首相を始めとする政府の答弁や企業の会議と同様に、内容が乏しく、無駄な時間がだらだらと過ぎて行くだけであった。記者の質問に対してありきたりな言葉で答えて終わり、再質問は封じられている。このような会見をいくら開いたところで、日銀の考えをより深く探ることなどできはしない。

2023-04-24
曽我 純

3月の日本のCPI総合は前年比3.2%、前月よりも0.1%ポイント(p)低下した。生鮮食品を除くは3.1%の横ばい、さらにエネルギーを除くコアは3.8%と前月よりも0.3%p高くなった。3月の米CPIとユーロ圏HICPは前年比5.0%、6.9%それぞれ上昇しているが、日本はそれらを大幅に下回っている。国の電気・ガス支援が1%p引き下げており、これを除けば4.2%になる。

2023-04-17
曽我 純

3月の米CPIは前年比5.0%、前月よりも1%ポイント(p)低下した。2021年5月以来1年10カ月ぶりの低い伸びだ。4月はじめに「OPECプラス」が減産を決めたことから原油価格が上昇しており、なかなか一本調子で物価が下落していく状況ではない。それでも、WTIが、ここからさらに大幅に値上がりするとは考えにくく、年末に向けて、物価は緩やかに低下していくだろう。

2023-04-09
曽我 純

黒田日銀総裁が8日付で退任した。7日の記者会見で、大規模な金融緩和をやってきたことは正しく、大規模緩和がなければ、経済は現状のような姿にはならなかっただろう、という発言が目立った。2%の物価目標にどのような根拠があり、この目標を達成することで日本経済はどのようになるのか、といった根本的問題は最後まで聞くことはできなかった。

2023-04-03
曽我 純

2月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年比5.0%と1月よりも0.3%ポイント(p)低下した。ただ、食品・エネルギーを除いたコア指数は4.6%と0.1%pの低下にとどまった。3月のFOMCのPCEコア予測(第4四半期、前年比3.5%~3.9%)を0.7%p上回っている。

2023-03-27
曽我 純

これから円高ドル安はさらに進行するだろう。先週、FRBは躊躇しながらも政策金利を0.25%ポイント引き上げ、4.75%―5.00%とした。だが、週末の米10年債利回りは今年1月の半ば以来の3.37%に低下し、政策金利を138ベイシスポイント(bp)下回る。一方、2年債は半月ほど前には5%を超えていたが、政策金利はほぼ上限に達したとの見立てから3.76%に急低下した。

2023-03-20
曽我 純

対ドルで円は前週比、2.4%高となり、2月10日以来の円高ドル安だ。ポンドは対ドルで1.2%上昇したが、ドルユーロは0.2%とほとんど変わらなかった。米銀の破綻や救済、欧州ではクレディスイスの行き詰まりで、円に逃避資金は流入した。欧米の10年債利回りが大幅に低下したことも、円の魅力を高めた。前号でも指摘したが、こうした事態を引き起こしたのは、FRBなのだ。

2023-03-13
曽我 純

物価は思うように低下せず、景気も意外に底堅いなどで、米10年債利回りは今月2日、4%を超えたが、先週末の10日には3.70%に低下した。2月の非農業部門雇用者数は前月比31.1万人増と予想を上回り、賃金は前年比4.6%と前月の伸びを上回った。

2023-03-06
曽我 純

岸田首相は1月23日、施政方針演説で『防衛力の抜本的強化』を力説した。『こども・子育て政策』も重要な課題と位置付けたが、具体策は提示されず、無策ぶりをさらけだした。「昨年の出生数は80万人を割り込むと見込まれ、我が国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況におかれています。