2023-10-23
曽我 純

9月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.7%と前月と変わらなかった。ただ、ウエイトの大きい住居の寄与度が2.5%pあり、これを除けば1.2%である。住居のうち持家の帰属家賃だけで1.8%p引き上げており、これを除外すれば1.9%となり、米国の物価は実質的には落ち着いているのである。こうした物価情勢であるにもかかわらず、依然、物価上昇懸念が燻ぶり続け、何かにつけ、相場の材料にされている。

2023-10-16
曽我 純

イスラム組織ハマスのイスラエル襲撃によって、パレスチナは緊迫の度合いを強め、原油、金、米債が買われた。特に、商品相場はガザとイスラエルの紛争の行方に左右されることになるだろう。米債券高・利回り低下によって、株式への影響は限定的であった。だが、イスラエルがガザに侵攻、戦闘が拡大し、収拾がつかない事態になれば、その時は、原油価格は跳ね上がるだろう。

2023-10-09
曽我 純

週末、米10年債利回りは4.8%、前週末比23bp上昇したが、S&P500とナスダック総合は前週末を上回った。これほど債券利回りが急騰しているにもかかわらず、米株式は底堅い。S&P500の配当利回りは1.6%程度であり、債券利回りを320bpも下回っている。これだけの格差が出てくれば、株式は崩れてもおかしくない。

2023-10-02
曽我 純

ドル独歩高だ。過去1カ月ではポンドやスイスフランの値下がり率が大きく、円はそれに次ぐ。9月末の米10年債利回りが4.57%、前月比47ベイシスポイント(bp)上昇したことが、ドル買いを促した。月末ベースでは、リーマンショック以前の2007年9月末以来、16年ぶりの高い利回りである。

2023-09-25
曽我 純

FRBは21日、5.25%~5.50%に政策金利を据え置き、先行き引き上げを示唆した。一方、22日、日銀は短期金利マイナス、長期金利ゼロとする大規模金融緩和を維持すると表明した。だが、こうした金融政策が物価や雇用といった実体経済を良好な方向に誘導することができるだろうか。すでに、何度もこの問題について言及したけれども、夏季休暇後、再度取り上げることにする。

2023-07-16
編集部

週刊マーケットレターは、夏季休暇のため9月中旬までお休みします。

どうぞよろしくお願い致します。

週刊マーケットレター編集部

2023-07-10
曽我 純

日本の賃金はどうか。厚生労働省の『毎月勤労統計』によれば、5月の現金給与総額は前年比2.5%と前月よりも1.7%p上回った。だが、業種による格差が大きく、1%未満も5業種ある。所定内給与は前年比1.8%であり、特別に支払われた給与(期末手当等の一時金やベースアップの差額追加分等)が22.2%も増加したことで、現金給与総額を引き上げた。

2023-07-10
曽我 純

前週比、米10年債利回りは23ベイシスポイント(bp)上昇したが、対ドルで円は1.6%上昇した。イギリスやドイツの10年債利回りは米国以上に上昇したため、ポンドとユーロも強含んだが、円ほどではない。今月、FOMCが開催されるが、利上げ観測が強まっており、そうした観点からも円安ドル高に向かってもよいはずだ。債券安が株安を誘引し、さらにドルに波及、米相場はトリプル安となった。

2023-07-03
曽我 純

FRBが目標に掲げている個人消費支出(PCE)物価指数は5月、前年比3.8%と前月よりも0.5%p低下し、FOMC予測範囲(3.0%~3.5%)に近づいてきた。エネルギー・食料を除くコア指数は前月比0.1%pの低下にとどまり、4.6%と予測(3.7%~4.2%)を0.4%p上回る。だが、この予測達成時期は今年第4四半期であり、それまでには予測範囲に収まるだろう。

2023-06-26
曽我 純

6月のFOMCでは政策金利は5.00%~5.25%に据え置かれたけれども、年末までには5.4%~5.6%に引き上げると言う。21日の議会証言でもパウエル議長は利上げすることが「かなり正確な推測」だと発言した。だが、5月の米CPIは前年比4.0%、生産者物価指数PPIは1.1%まで低下してきており、持家の帰属家賃を除けば、CPIは2.0%となり、もはや物価は問題ではなくなったと言える。