2023-07-10
曽我 純

前週比、米10年債利回りは23ベイシスポイント(bp)上昇したが、対ドルで円は1.6%上昇した。イギリスやドイツの10年債利回りは米国以上に上昇したため、ポンドとユーロも強含んだが、円ほどではない。今月、FOMCが開催されるが、利上げ観測が強まっており、そうした観点からも円安ドル高に向かってもよいはずだ。債券安が株安を誘引し、さらにドルに波及、米相場はトリプル安となった。

2023-07-03
曽我 純

FRBが目標に掲げている個人消費支出(PCE)物価指数は5月、前年比3.8%と前月よりも0.5%p低下し、FOMC予測範囲(3.0%~3.5%)に近づいてきた。エネルギー・食料を除くコア指数は前月比0.1%pの低下にとどまり、4.6%と予測(3.7%~4.2%)を0.4%p上回る。だが、この予測達成時期は今年第4四半期であり、それまでには予測範囲に収まるだろう。

2023-06-26
曽我 純

6月のFOMCでは政策金利は5.00%~5.25%に据え置かれたけれども、年末までには5.4%~5.6%に引き上げると言う。21日の議会証言でもパウエル議長は利上げすることが「かなり正確な推測」だと発言した。だが、5月の米CPIは前年比4.0%、生産者物価指数PPIは1.1%まで低下してきており、持家の帰属家賃を除けば、CPIは2.0%となり、もはや物価は問題ではなくなったと言える。

2023-06-19
曽我 純

ウォーレン・バフェットの訪日と発言に触発されてか、外人の爆買いによって日経平均株価は10週連続高だ。これは2012年11月第3週以降12週連続以来である。外人の買い越し額は5.6兆円と当時の規模に匹敵する。株価収益率(PER)や株式配当利回りなどから日本株は割安だと外人は再認識したのかもしれない。確かに、プライムの予想PERと配当利回りは15.6倍、2.22%と魅力的である。

2023-06-12
曽我 純

大企業は売上高が伸びなくても巨額の当期純利益を手に入れているが、そのわけは売上原価の削減、営業外収益の拡大であったことを前回のレポートで指摘した。給与や他社からの購入費の削減は、取りも直さず、有効需要の不足をもたらし、結局、大企業の売上高にも悪影響を及ぼすのである。生産コストを厳しく押さえつけることは、当該企業にとってはプラスなのだが、社会全体にとってはマイナスになる。

2023-06-05
曽我 純

日経平均株価は4月の第2週以降、8週連続高となり、昨年末から20.8%上昇した。今回の株高はウォーレン・バフェットの来日と軌を一にする。彼の日本の商社株の買い増しにまつわる話を材料に、外人買いによって吊り上げられた。3月24日までの約1カ月で、外人は日本株を2兆4,603億円売り越したが、その翌週から5月26日まで9週連続で買い越し、買い越し総額は4兆1,231億円に達している。

2023-05-29
曽我 純

円ドル相場は昨年末よりも9円強値下がりした。ドルユーロはほぼ同じ、ポンドとスイスフランは強含みで、円独歩安だ。日銀が金融緩和を続ける一方、米国の利上げ打ち止めが遠のく観測が強まってきているからだ。今年第1四半期まで米実質GDPは3期連続の前期比プラスであり、足元の経済指標もサービス部門は底堅く、米国経済が直ぐに腰折れすることはなさそうである。

2023-05-22
曽我 純

2022年度、日本の名目GDPは前年比1.9%と前年よりも0.5%p低下した。新型コロナ前の2019年度を0.8%上回り、過去最高を更新した。だが、実質では2018年度をまだ1.2%下回っている。2022年度までの10年間の名目GDPは年率1.17%、実質では0.56%であり、米国(2012年から2022年までの10年間、年率名目4.59%、実質2.1%)に比べればその差は極めて大きい。

2023-05-15
曽我 純

3月の貿易赤字は4,544億円と昨年8月のピーク(24,609億円)から大幅に縮小してきた。第1次所得収支(利子、配当等)は3兆3,610億円と前年を下回ったものの、貿易赤字額をはるかに上回り、経常収支は2兆2,781億円の黒字を確保することができた。2022年度の経常収支は9兆2,256億円と前年度の半分以下となり、2014年度以来8年ぶりの低水準となったが、今年度は増勢に向かうだろう。

2023-05-08
曽我 純

米国経済は底堅い。今年第1四半期の実質GDPは前年比1.6%伸び、前期を0.7%ポイント(p)上回った。個人消費支出と設備投資が2.3%、2.7%それぞれ伸び、この両者でGDPを2.0%引き上げた。在庫が大幅に減少したため、これを除けば2.6%成長となる。GDPの70.9%を占める個人消費支出が前期よりも高い伸びをみせていることが、底堅さの最大の要因である。