ナスダック総合は2月29日、2年3カ月ぶりに過去最高値を更新し、米株は全面高だ。昨年第四半期の米実質GDPは前年比3.1%伸び、経済は拡大しているが、これだけの株高を説明できるほどの勢いではない。今の米株高は先行きの政策金利に期待しているところが大きい。ウォール街は共和党であり、トランプの返り咲きに賭けている。FRBなど歯牙にもかけないトランプが大統領選に当選すれば、FRBの存在感は薄くなるだろう。金利はできる限り低いにこしたことはないとの考えで、金融政策はトランプ主導で運営されることになる。金利は実体経済の伸びよりもかなり低い水準に引き下げられるだろう。すでに、そのような超低金利を相場は織り込むうごきをしている。来年央には、FFレートは3%前後までの大幅な利下げが実施されるかもしれない。
ナスダック総合も過去最高値を更新したが、昨年末比の上昇率は8.4%、NYダウは3.7%でしかない。それに比べて、日経平均株価は19.3%とナスダック総合の2倍以上値上がりしている。円ドル相場が150円台の円安水準で推移していることを好感しているのだろうか。さらに円安ドル高が進行し、来年度の収益も過去最高を更新するという前提で買い進んでいるのだろうか。
能登半島地震だけでなく千葉沖でも地震が多発しており、巨大地震のリスクが高く、もし首都圏の近くで発生することになれば、経済機能は完全にマヒするだろう。地震リスクだけでなく、政治も酷い状態にあり、リスク要因のひとつである。衆議院予算委員会などの岸田首相の答弁を聞けば、同じ内容の繰り返しであり、ロボットが喋っているようだ。答弁は空虚で余りにも常識から逸脱しており、なにも変えない、変わらないということを主張している。これでは支持率が落ちるのは当たり前で、岸田首相はそのことがわかっていない。このような人物の人が首相を務めていること事態、異常なことではないか。要するに、首相の器ではないのだ。口先だけの確たる信念のない首相に日本の針路を任せていれば、日本丸は沈没する航路を進んでいると言える。こうしたリスクを株式参加者はどうとらえているのだろうか。
政治資金パーティー券を購入したのは企業であり、企業は多額の献金を自民党にしているのだ。さらに日本自動車工業会、日本鉄鋼連盟や日本医師連盟などさまざまな団体が膨大な献金をして、自民党を支えている。つまり、岸田政権の主要な支えは企業であり、企業が今の自民党に育てたのだ。したがって、現在の政治問題の責任の一端は財界にある。腐った自民党に寄り添っている財界も同類といえる。そのような財界を株式は好評価しているのだ。博打場として、みなが寄ってたかってお祭り騒ぎをしているだけのことなのだ。株式は国民生活とは隔絶したものであり、いくら値上がりしても実体経済にプラスにはならない。
地震と政治だけでなく、人口減の問題も深刻さを増している。厚生労働省の『人口動態統計』によれば、昨年の出生数から死亡数を差し引いた自然減は83.1万人となった。2022年よりも6.3%増加し、これで自然減は16年連続で拡大し、過去10年間で3.48倍に急増した。自然減がこれだけ増加すれば、そのことが経済に影響することは避けられないだろう。
昨年の出生数は75.8万人、前年比5.1%減となり、戦後最少を更新した。2013年と2023年の出生数を比較すると26.3%減、年率では-3.01%である。2003年と2013年の比較では8.3%減、年率-0.86%であり、2023年までの10年間の減少速度は2013年までの3倍強となった。国の基に係る出生減のリスクは政治や地震に劣らないのだが、今のところ株式関係者は等閑視している。
こうした出生数減に、いつも政府は「危機的」という言葉を使うが、言葉だけの一時的表明にとどまり、本気で取り組んだことは一度もない。だから、出生数は加速度的に減少している。
出生は急減しているが、この傾向はさらに続くだろう。それは婚姻数が著しく減少しているからだ。昨年の婚姻は51.9万件、前年比5.9%減少し、戦後最少を更新した。新型コロナにより2020年に前年比-12.3%の激減となったが、回復力は弱く、再び大幅なマイナスに陥った。20歳代、30歳代の人たちは結婚する意欲を失くしてしまったのだろうか。気楽な一人暮らし志向が強いのか、一人で楽しく生活できるスタイルを身につけたのだろうか。
2013までの10年間の婚姻数は10.8%減だが、2023年までの10年間は25.9%も減少した。これほどの減少が向こう10年間続けば、2033年の婚姻は36.2万件になる。そこまで減らなくても40万件程度に落ち込むことはあり得る。
婚姻がこのような道筋を辿るならば、出生も同じような経路を辿らざるを得ない。10年後の出生は60万人前後が予想される。そもそもこれから20歳代になる人がこれから急速に減少していくので、自然に婚姻は少なくなる。そして、出生も落ちていく、出生が減少していけば婚姻もすくなくなる、そういう悪循環に嵌っているのだ。これから抜け出すことは容易ではない。
晩婚化は頭打ちになりつつあるが(男31.0歳、女29.5歳(2021年、初婚))、しかも未婚率も高い水準に高止まりしており、婚姻が増加するような状況にはなっていない。こうした悪循環を断ち切るためには定時退社、育児・有給休暇を法律で義務付けるなどあらゆる措置を講じなければなるまい。自民党のあまりにも企業を優遇しすぎてきた付が回ってきたのだ。
2023年の死亡は159.0万人、前年比では0.5%増にとどまっているが、これは2021年、2022年が4.89%(6.7万人増)、8.97%(12.9万人増)と2年連続で急増したからだ。特に、2022年は流行性感冒で急増した1920年以来102年ぶりの増加率、増加数なのである。極めて異例の死亡増と言える。こうした稀な死亡が発生しているにもかかわらず、厚生労働省は頬かむりしている。
2019年と2023年の4年間の死亡を比較すると15.16%(年率3.59%)の増加だが、2015年と2019年では7.02%(1.71%)である。2000年から2020年の比較でも年率1.79%であることからも2021年と2022年の死亡増は何かの原因で起きたことは間違いない。2021年以降も死亡が1.79%で増加したと仮定し、これに新型コロナウイルス感染症で死亡した人を加えた数値を実際の死亡と比較すると、2022年と2023年で計約20万人の超過死亡が発生している。
ドイツの死亡も2020年から3年連続で急増しているが、2023年は減少している。イギリスの死亡は2020年、前年比14.52%も増加したが、2021年、2022年と2年連続で減少し、2023年は0.72%増加した。ドイツの死亡のピーク(前年比増加率)は2020年、イギリスも同じ2020年であり、日本のピーク(2022年)よりも2年前にピークを付けている。
ドイツとイギリスはワクチン接種以前に死亡が急増している。2021年までに両国のワクチン接種はほぼ終わっているのに対して日本は、いまだに打ち続けている。打ち続けているが、死亡が増加傾向にあることは、ワクチンが死亡に大いに関係していることを示唆している。2021年の接種回数は199.5百万回、2022年170.9百万回、2023年62.7百万回、2024年2月27日までに2.3百万回、4回目以上が140.5百万回(うち65歳以上が93.4百万回)である。ワクチンを接種しても趨勢を超える死亡が持続しており、ワクチン接種が死亡増に関係しているようだ。
接種すれば死亡が抑えられるのであれば、2022年の死亡の原因は何なのか。特に接種回数の多い高齢者の死亡は防げたのではないか。ところが、高齢者の死亡は急増している。2019年-2016年=(A)、2019年と2022年-2019年=(B)の70歳以上の死亡を比較するとAの9.7万人に対してBは19.6万人へと倍増なのである。これでワクチンが有効だと言えるのだろうか。打てば打つほど、高齢者の死亡が増加することをはっきりと示している。