週間マーケットレターは執筆者が古備前の古代窯復活のサポートのためひと月程お休みを頂きます。
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週末、円ドル相場は118円台を付け、2月下旬以来の円高ドル安だ。ドルユーロも約1ヵ月ぶりのユーロ高となり、ドル全面安となった。3月の米非農業部門雇用者数の伸びが予想を大幅に下回り、利上げ時期が後ずれするとの観測が強まったからだ。雇用統計だけでなく、米国経済の主エンジンである個人消費の足取りが依然弱く、このような状態で利上げに踏み切れば、米国経済は失速しかねない。
円安ドル高も1ドル=120円を大きく超えるところまでは進まず、頭打ちとなっている。日本の消費者物価上昇率が低下しつつある半面、米国経済にも不安を示す指標がみられ、FRBの利上げも慎重に行われると予想されているからだ。今月に付けた121円程度が円安ドル高のピークとなり、新年度にはいれば円高ドル安に転換するのではないだろうか。
18日のFOMC声明では「経済成長は幾分緩やかになった」と述べられ、米国経済の足取りに懸念を示した。同時に公表した経済見通しも今年の実質GDPは2.3%~2.7%へと昨年12月予測の2.6%~3.0%から下方修正した。昨年の成長率は2.4%であったので、同じ程度の伸びを想定している。
先週末、東証1部の時価総額は566.5兆円と名目GDPの1.16倍に膨れた。これほど株式時価総額が名目GDPを上回ったことは稀な現象であり、1989年のバブル期以来だ。実体経済との比較では日本の株式はあきらかにバブルといえる。売買代金は連日2兆円を超え、1980年代後半よりはるかに多い。日銀のゼロ金利に国債・株式購入が売買代金を膨らませ、株式の異常事態を引き起こしたのだ。
主要国の株式は好調を持続しているが、利益に照らし合わせると買われすぎである。先週、ナスダック総合は2000年3月以来15年ぶりに5,000を超え、あと一息で過去最高値を更新するところまできた。ITバブル期の高みまで駆け上がってきたのだ。
先週も日経平均株価は続伸し、月間では1,000円以上も上昇した。昨年12月はやや前月を下回ったが、昨年8月末から21.9%もの値上りである。前年比プラスは2012年11月以降28ヵ月も続いており、金融危機以前の2007年10月までの上昇期間と並んだ。その間、株価は2.1倍に上昇した。前年比プラスに転じた2012年11月は衆議院が解散されたときであり、同年12月には第2次安倍内閣が誕生した。
先週、日経平均株価は2000年5月以来14年9ヵ月ぶりの高値を付けた。16日に公表された昨年10-12月期のGDPは低い伸びとなり、実体経済の足取りは依然弱いにもかかわらず、株式はきわめて好調である。安倍政権の株式への梃入れが功を奏しているのだろうか。円安ドル高で輸出企業を中心に業績は底堅く、加えて日銀や年金資金という後ろ盾を背にすれば、鬼に金棒かといったところか。
1月の米雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は前月比25.7万人増と予想を上回り、しかも昨年11月、12月分が上方修正された。ただ、週平均労働時間と週平均賃金は前年比0.6%、2.2%の伸びにとどまり、雇用は改善しているが、肝心な賃金は伸び悩むという状態が続いている。賃金の低い伸びにより、個人消費支出は昨年12月、前月比0.3%減と昨年1月以来のマイナスとなった。