企業の製品・商品在庫積み上がる
対ドルで円は2002年5月以来約13年ぶりの安値を付けた。米雇用統計が予想を上回る好調を示し、数ヵ月後には利上げが行われる見通しが強まったからだ。これでほぼ米利上げは為替相場に織り込まれたと思う。米国の雇用は順調に改善しているが、経済全体をみれば緩やかな回復にとどまっており、雇用統計が示すほど良くない。
後は野となれ山となれ
日経平均株価は先週末まで11日連続続伸し、月末値としては1996年11月以来、18年6ヵ月ぶりの高値を付けた。円ドル相場が124円台へと月末では2002年5月以来の円安ドル高に振れたからだ。日銀の国債購入が持続し、FRBが利上げするという見通しが強まるような指標があらわれたわけではなく、わけもなく円安ドル高が進行している。
公需依存強まる日本経済
先週末、東証一部時価総額は591.3兆円に膨れ、1989年12月のこれまでの過去最高をわずかに上回った。今年4月の東証一部の上場会社数は1,881社、上場株式数は4,025億株だが、1989年は1,161社、3,032億株であり、会社数ははるかに多く、株式数も約3割増えている。それでも時価総額がそれほど違わないのは、株価(TOPIX)が依然当時よりも4割以上下回っているからである。
経済・株式から戦争法案へ
4月17日、0.07%まで低下していた独国債の利回りは先週、0.72%へと急上昇した。日本国債の利回りを下回るゼロに近い水準まで低下していたことへの反動だ。ECBの国債購入によって、欧州の国債相場は異常に高騰したが、そのつけが回ってきているのだ。独国債の利回り上昇によって、ユーロの魅力は高まり、対ドルの週末値は2月上旬以来約3ヵ月ぶりのユーロ高となった。
厳しさを増す今年度の日本経済
週末、円ドル相場は118円台を付け、2月下旬以来の円高ドル安だ。ドルユーロも約1ヵ月ぶりのユーロ高となり、ドル全面安となった。3月の米非農業部門雇用者数の伸びが予想を大幅に下回り、利上げ時期が後ずれするとの観測が強まったからだ。雇用統計だけでなく、米国経済の主エンジンである個人消費の足取りが依然弱く、このような状態で利上げに踏み切れば、米国経済は失速しかねない。
円安ドル高の反転近い
円安ドル高も1ドル=120円を大きく超えるところまでは進まず、頭打ちとなっている。日本の消費者物価上昇率が低下しつつある半面、米国経済にも不安を示す指標がみられ、FRBの利上げも慎重に行われると予想されているからだ。今月に付けた121円程度が円安ドル高のピークとなり、新年度にはいれば円高ドル安に転換するのではないだろうか。
日米欧の株式・国債バブル
18日のFOMC声明では「経済成長は幾分緩やかになった」と述べられ、米国経済の足取りに懸念を示した。同時に公表した経済見通しも今年の実質GDPは2.3%~2.7%へと昨年12月予測の2.6%~3.0%から下方修正した。昨年の成長率は2.4%であったので、同じ程度の伸びを想定している。
異常を異常とみない政府・日銀
先週末、東証1部の時価総額は566.5兆円と名目GDPの1.16倍に膨れた。これほど株式時価総額が名目GDPを上回ったことは稀な現象であり、1989年のバブル期以来だ。実体経済との比較では日本の株式はあきらかにバブルといえる。売買代金は連日2兆円を超え、1980年代後半よりはるかに多い。日銀のゼロ金利に国債・株式購入が売買代金を膨らませ、株式の異常事態を引き起こしたのだ。
大非製造業営業利益9期ぶりの減益
主要国の株式は好調を持続しているが、利益に照らし合わせると買われすぎである。先週、ナスダック総合は2000年3月以来15年ぶりに5,000を超え、あと一息で過去最高値を更新するところまできた。ITバブル期の高みまで駆け上がってきたのだ。