2016-06-06
曽我 純

大幅に改善した1-3月期の売上原価

5月の米雇用統計が予想を大幅に下回り、円は急騰した。3月の経常収支が3兆円近くに達し、4月の日本の消費者物価指数(総合)が前年比-0.3%と日米の物価格差が拡大していることなどから、基本的には円高ドル安の流れにあった。そこに、非農業部門雇用者が前月比3.8万人増、しかも3月、4月も下方修正され、6月利上げが後退、円高に火が付いた。

2016-05-29
曽我 純

政治が作り出した消費不振

G7首脳会議開催の意義などあるのだろうかという印象を今回強く思った。親睦会のようなものなのだろうか。現実の課題に対して積極的に取り組む姿勢などないからだ。みなそれぞれの国の事情があり、合意を得ることは難しく、難問は当たり障りのない宣言で逃れる。議長を務めた安倍首相は、世界経済を自分に都合よく解釈し、消費税引き上げ延期の理由づくりに精を出した。

2016-05-22
曽我 純

消費税率の引き下げで消費不況脱出を

今年1-3月期のGDPが公表されたが、名目GDPは前年比0.8%と2四半期連続の成長率低下である。しかも閏年により前年よりも1日多かったが、この伸びなのである。閏年により前年比1%程度上乗せされているので、実際の成長率は前年をやや下回ることになり、実際はマイナスなのだ。閏年であったにもかかわらず、民間最終消費支出は前年比1.0%減と2四半期連続のマイナスであった。

2016-05-15
曽我 純

過去最高の企業利益と低所得者層の拡大

日本経済が金融政策では良くならないのは、構造的要因が強く働き消費の低迷が続いているからだ。だが、構造的要因によって消費支出が増加しないだけでなく、これには分配が大きく影響している。日本には企業規模別や男女間の賃金格差がもともとあったけれども、労働者派遣法(1986年)が成立してからは、正規・非正規の賃金格差が著しく開き、低賃金労働者の割合が高まった。

2016-05-08
曽我 純

深刻な消費不振

岡山の備前から帰ってきたが、円ドル相場や日経平均株価は1ヵ月前に比べて大きな変化はない。変わったところは商品相場であり、WTIの前月比18.3%増などにより、CRB指数は前月比7.8%も上昇した。市場参加者が、米国経済の足取りが依然重く、FRBが利上げになかなか踏み切れないと予想しているからだ。商品相場のマネーゲームにまた火が付いた。

2016-04-11

週刊マーケットレター 一ヶ月休載のお知らせ

週刊マーケットレターは執筆者の古備前の復活プロジェクトのために一ヶ月程お休みさせていただきます。

どうぞよろしくお願い致します。

2016-04-03
曽我 純

安倍内閣の政策出尽くして株売り続く

イエレンFRB議長の金融調整は慎重に進めることが妥当だという講演によって、ドルは売られ、NYダウは年初来高値を更新した。3月の非農業部門雇用者が前月比21.5万人増と拡大し続けていることも、株価を押し上げた。ゼロに近い超低金利下で雇用も改善していれば、株式にとっては好環境である。さらに物価も2月PCEは前年比1.0%と安定しており、米国経済はかなり理想的な状態にあるといってよいだろう。

2016-03-27
曽我 純

不動産の投機化を強めるマイナス金利

2月の消費者物価指数(総合)は前年比0.3%上昇した。生鮮食品を除けば横ばいである。3月の東京都区部消費者物価指数(総合)は前年比0.1%、生鮮食品を除くは同0.3%それぞれ下落した。2015年度の東京都区部消費者物価指数(総合)は前年比0.1%と前年度の2.6%から大幅にダウンした。食品・エネルギーを除くでも2014年度の1.9%から2015年度には0.4%に低下した。

2016-03-21
曽我 純

所得・資産格差を助長する金融政策

FOMC後の声明等により、利上げのペースが緩やかになることが示され、ドル安が進行した。週末、円は111円台で引け、週間で2円以上値上がりし、2014年10月以来の円高ドル安となった。ユーロに対してもドルは売られ、米政策金利の現状維持から、主要国の長短金利は低下した。超低金利政策の継続から米株式は上昇し、昨年末値を上回った。また、ドル安によって、商品市況は回復し、CRB指数も昨年末値を超えた。

2016-03-13
曽我 純

原発で墓穴を掘る日本

東日本大震災から5年過ぎた。今年度までの集中復興期間に26.3兆円もの巨費が投じられた。平均すれば毎年5兆円超の資金が支出されたということだ。2016年度一般会計の公共事業関係費は約6兆円だから、集中復興期間に投じられた資金がいかに巨額であったかがわかる。これだけの巨費が投じられたのだから、復旧は進み、経済はかなり良くなったのではないかと思われるのではないだろうか。