2016-07-17
曽我 純

旧日本軍を彷彿させる日銀

先週の日経平均株価は前週比9.2%と2009年12月第1週以来約6年半ぶりの急騰だ。参議院選で与党が大勝したことが影響したと考えられるが、それだけではこれだけの値上がりを説明することはできない。2014年12月14日に行われた衆議院選後の週間値上がり率は2.0%にすぎなかった。自公が3分の2を獲得し、圧勝したけれども、それほどの上昇ではなかった。円ドル相場などは1円も動かなかった。

2016-07-11
曽我 純

なにを根拠に投票するのか

NYダウは過去最高値近辺まで上昇し、国債利回りは最高最低を更新した。企業収益の前年割れや設備投資の不振など米実体経済はもたついているにもかかわらず、金融経済は活況を呈している。FRBの利上げが完全に頓挫したことが、このような齟齬を引き起こしているのだ。米株式と国債相場は完全に金融政策によって形成された砂上の楼閣だ。砂上の楼閣を維持するには現状の金融政策を踏襲するしかない。

2016-07-04
曽我 純

なにを根拠に成長が言えるのか

イギリスのEU離脱が決まってから、FRBの利上げ観測は霧散してしまった。その結果、商品市況は勢いを取り戻しているが、なかでも金と銀は昨年末比26.3%、41.9%それぞれ上昇している。国債利回りも低下し続けており、主要国では過去最低を更新した。週末値では米国の利回りも約4年ぶりに最低を更新、まさに異常な債券相場となっている。

2016-06-26
曽我 純

企業に甘い政策が日本経済を潰す

6月23日、イギリスのEU残留見通しから円安ドル高にぶれていたため、24日、離脱が濃厚になるにつれて、円が急伸し、一時1ドル=99.00円まで上昇した。その後は行き過ぎの反動があらわれ102円台で取引を終えた。それでも前日から約4円も上昇したのだ。相場はまさにジェットコースターのように激しく揺れた。

2016-06-19
曽我 純

堕落した中央銀行

6月15日、金融政策の現状維持と「運用姿勢は引き続き緩和的」という内容のFOMC声明を発表した翌日の16日、日銀も現状維持を打ち出した。日銀の金融政策発表後、円ドル相場は1ドル=106円台から103円台に円は急騰した。同時に日経平均株価は急落した。発表を待ち伏せしていた投機筋が仕掛け、それに数多の投機業者が追随したのだろう。2012年秋以降の円安ドル高は2015年7月まで3年弱続いた。

2016-06-12
曽我 純

異常な主要国国債相場

イギリスの世論調査でEU離脱が留残を上回ったことから、ポンドやユーロは売られ、欧州株式は崩れた。円ドル相場は大きく変化しなかったため、円ユーロ相場は週末、1ユーロ=120.3円と2013年1月以来3年半ぶりの円高ユーロ安となった。円ドル相場は106円台を2週連続で維持しており、一段の円高に向かいそうな気配である。

2016-06-06
曽我 純

大幅に改善した1-3月期の売上原価

5月の米雇用統計が予想を大幅に下回り、円は急騰した。3月の経常収支が3兆円近くに達し、4月の日本の消費者物価指数(総合)が前年比-0.3%と日米の物価格差が拡大していることなどから、基本的には円高ドル安の流れにあった。そこに、非農業部門雇用者が前月比3.8万人増、しかも3月、4月も下方修正され、6月利上げが後退、円高に火が付いた。

2016-05-29
曽我 純

政治が作り出した消費不振

G7首脳会議開催の意義などあるのだろうかという印象を今回強く思った。親睦会のようなものなのだろうか。現実の課題に対して積極的に取り組む姿勢などないからだ。みなそれぞれの国の事情があり、合意を得ることは難しく、難問は当たり障りのない宣言で逃れる。議長を務めた安倍首相は、世界経済を自分に都合よく解釈し、消費税引き上げ延期の理由づくりに精を出した。

2016-05-22
曽我 純

消費税率の引き下げで消費不況脱出を

今年1-3月期のGDPが公表されたが、名目GDPは前年比0.8%と2四半期連続の成長率低下である。しかも閏年により前年よりも1日多かったが、この伸びなのである。閏年により前年比1%程度上乗せされているので、実際の成長率は前年をやや下回ることになり、実際はマイナスなのだ。閏年であったにもかかわらず、民間最終消費支出は前年比1.0%減と2四半期連続のマイナスであった。

2016-05-15
曽我 純

過去最高の企業利益と低所得者層の拡大

日本経済が金融政策では良くならないのは、構造的要因が強く働き消費の低迷が続いているからだ。だが、構造的要因によって消費支出が増加しないだけでなく、これには分配が大きく影響している。日本には企業規模別や男女間の賃金格差がもともとあったけれども、労働者派遣法(1986年)が成立してからは、正規・非正規の賃金格差が著しく開き、低賃金労働者の割合が高まった。