商品市況高と円安ドル高

投稿者 曽我純, 4月8日 午後9:02, 2024年

米国経済の好調さが裏付けられた。3月の非農業部門雇用者は前月比30.3万人と前月の27万人を上回り、昨年5月以来の拡大となった。これで今年第1四半期の米GDPは前期以上に伸びるだろう。非農業部門雇用は前年比1.9%と依然高い伸びを維持しており、新型コロナ以前の伸びを上回っている。3月の労働参加率は62.7%と新型コロナ以前の63.3%を下回っており、雇用が逼迫するような状況ではない。非農業部門雇用の拡大はまだまだ続き、米国経済は実質3%前後の成長をしていくだろう。

米国経済の力強さが再確認されたことから、米10年債利回りは4.4%と昨年11月第4週以来、約4カ月ぶりの高い水準に上昇した。米利回りの上昇によって株式は勢いを失い、ドルは買われた。ドル高にもかかわらず、商品は買われており、昨年末比、WTIは21.3%、金は13.2%それぞれ上昇している。中東情勢が不安定さを増していることや今年11月の米大統領選挙による混沌とした社会情勢に対する不安などが、資産のモノへのシフトを促しているようにも思える。本来の資産選択であれば、債券利回りの上昇期待はモノよりも流動性の確保に向かうはずだが、短期金利の高止まり観測がインフレ期待を高め、モノの選択に走らせているのだろうか。

CRBは300に接近しており、2022年8月以来1年8カ月ぶりの高水準であり、日本の輸入は再び増加に転じるだろう。CRBの高騰は日本の物価に影響し、CPIに悪影響を及ぼすことになるだろう。輸入の拡大により貿易収支は悪化し、円安ドル高が一層進行し、為替もCPIの上昇要因になる。CPIは商品市況の高騰と円安ドル高という二重の上昇要因に直面している。

米10年債利回りの上昇や日本の貿易収支悪化予想が円安ドル高圧力を強めている。150円台で止まることはなく、160円を目指す展開になるだろう。米国経済の成長率はFOMCの予測を上回ることは間違いなく、しかも時間の経過とともに予測値の杜撰さが露わになっていくからだ。そうなれば、今年の米政策金利の変更は利下げではなく、横ばいか場合によっては利上げせざるを得なくなるかもしれない。FOMC予測値と実際の経済との乖離の広がりの程度によるが、乖離幅が広がれば、FRBはそれに沿った行動を取らざるを得ない。理事が口先で景気の強さを発信したり、6月のFOMCで経済予測を大幅に上方修正することで乖離を埋めようとするだろう。

米国経済は実質3%程度の成長を持続できそうだという見通しが認められているあいだは、10年債利回りは4%台の水準を保ち、そのことが円安ドル高への要因となる。日銀は予想される円安ドル高とCPI上昇にいかに対処するのだろうか。0.1%の引き上げでは為替相場へのインパクトは限られる。最低0.25%の利上げでなければ円安ドル高を止めることはできないのではないか。だが、そこまでの利上げが日銀にできるかと言えば、否定的にならざるを得ない。

今年度の一般会計の歳出は112.5兆円、昨年度(補正後)は127.5兆円であり、15兆円の減額であり、国債費を除けば16.8兆円少ない。これは2022年度の名目GDPの3%に当たる。一般会計が補正されなければ、公的支出は減少し、景気に少なからず影響することは必至だ。足元の経済も消費は思わしくなく、家計最終消費支出は前年比1%前後で推移するだろう。そこへ公的支出減が加われば、今年度の日本経済成長率は2023年度よりも低下するはずだ。

 

★しばらく東京を離れるため1カ月ほどレポートは休みます。

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