円ドル相場と米GDPを探る
米株は過去最高値を更新し止まるところを知らないが、ムニューシン米財務長官の発言により、対ドルで円が急伸したことから、日本株は押された。円ドル相場は昨年9月以来の円高となり、輸出への懸念が広がっている。昨年12月の輸出は前年比9.3%増加したが、昨年6月以来6ヵ月ぶりの一桁増にとどまった。輸出の伸びは昨年7-9月期にピークを付け、すでに下り坂に入っている。
米債利回りと株式
週末値で円が対ドルで110円台を付けるのは昨年9月第2週以来約4ヵ月ぶりである。円高ドル安にもかかわらず、日経平均株価は上昇し、1991年11月以来約26年ぶりの高値だ。依然、過去最高値を更新している米株に牽引されてはいるが、世界的な株高により出遅れ感からも買われている。ただ、為替相場が円高ドル安に一層進むことになれば、企業利益のマイナスシグナルとなり、売りがでるのは避けられない。
日本の企業利益は輸出次第
米株は過去最高値を更新し続けている。円高にもかかわらず、米株高に支えられ日本株も高止まり状態である。ユーロは対ドルで約3年ぶりの高値である。ECBが政策変更を示唆しているからだが、それほどユーロ圏経済は持ち直しているのだ。EU28の失業率は昨年11月、7.3%と約9年ぶりの水準に低下した。
日本企業は利益拡大を持続できるか
昨年末の実効ドル相場(名目)は前年比6.0%下落した。特に、対ユーロでドルは14.1%も下落したからだ。短期金利は米国の上昇を除けば、ほとんど横ばい状態であり、長期金利は3回も利上げした米国も上昇せず、国債相場は静かだった。ドル安によって、原油や金は上昇したけれども、総合指数のCRBはほぼ前年末並みである。大きく動いたのは株式であり、年間では主要株価指数はいずれも大幅に値上がりした。
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消費拡大を図る政策を
2018年度の一般会計政府予算案が週末、閣議決定された。「人づくり革命」、「生産性革命」と言葉は踊るが、中身が変わったかといえばほとんど過去の踏襲にすぎない。「革命」とは程遠い内容である。このような予算を作るためにも膨大な時間と金を掛けているが、無駄と非効率な日本の現状を象徴している。
税制の改悪と物価を下げる米利上げ
米税制改革法案実現への期待から米主要株価は過去最高値を更新した。15日発表の米議会共和党の税制改革法案によれば、法人税率は現行の35%から21%へ、所得税率の最高税率は現行の39.6%から37%に引き下げられる。企業と富裕者を優遇する政策であり、一時的に企業は潤うが、長期的には米国の経済力を弱めることになるだろう。
日本を貶める安倍首相
火に油を注ぐようなトランプ大統領のエルサレムをイスラエルの首都と認める宣言。この突飛な米指導者の発言に主要国は反発したが、安倍首相はだんまりを決め込む。ここまで対米追随を貫けば、世界から日本は相手にされなくなるだろう。日本を貶めているのはまさに安部首相の主体性のなさなのだ。大事なことはすべて米国の言いなりになり、自主独立国家とはとてもいえない。
利益急増の実態
米株式市場は法人税減税を織り込んでしまったようだ。米個人消費支出の動向など実体経済は代り映えしないが、株式だけは過去最高値を更新しており、S&P500のPER(株価収益率)は30倍を超え、バブルは膨らんでいる。
株高の好循環は続くか
為替が円高ドル安に向かっても、米株式が最高値を更新し、輸出が好調を維持していれば日本株も底堅い。日本のゼロ金利長期継続はだれもが一抹の不安も覚えない株式投資の不動の前提になっている。米国でさえも利上げに慎重な姿勢を取り続けており、過去の利上げ局面に比べれば利上げ速度は極めて緩い。ECBの金融政策の変更も利上げまでの道のりは遠い。