世界経済は減速だが、設備投資意欲強い日本企業
世界経済は減速しつつある。特に、減速が著しいのは欧州だ。12月のユーロ総合PMIは51.3、前月比1.4ポイント低下し、約4年ぶりの低水準である。ドイツは52.2だが、フランスは49.3と50.0を割り込み経済収縮の領域に入った。イギリスのEU離脱問題に米中の貿易戦争の余波を受け、欧州経済は試練にさらされている。
米株式価額、GDPの2.45倍に膨れる
米10年債利回りは一段低下し、3ヵ月物短期金利に接近してきた。来年、米国経済は減速すると見立て、将来の値上がりを見込んで国債の購入を積極化しているからだ。米債を購入する半面、米株を売るという姿勢を強めている。債券高株安は続くだろう。米債利回りの低下によって、ドルは安くなっている。ドル安により商品相場はやや戻したが、世界経済の減速には抗えず、軟調に推移し続けるだろう。
来年FRBは利上げできるか
11月28日の講演(テーマ:金融の安定性を監視するためのFRBの枠組み)でパウエルFRB議長は、政策金利は中立金利(経済が加速も減速しない金利)を「若干下回る」水準にあると述べた。即座に株式は反応し、NYダウは大幅高となった。米10年債利回りは週末、2.99%と今年9月17日以来約2ヵ月半ぶりに3%を下回った。米国債利回りの低下は主要国の国債にも波及している。
株式会社制度が問われている
日産前会長カルロス・ゴーンの逮捕は独裁の行き着く先であり、株式会社制度が今のような仕組みではこれからも起こり得るのだということを暗示している。巨大企業日産はゴーン、および限られたその側近で支配されていたのだ。ゴーンは思うままに会社を操縦し、自分で自分の給与を決めていた。こういうことが平然と行われていたのだから、日産は企業としての体をなしていなかったといえる。
FRB副議長、金融政策の変更を匂わす
クラリダFRB副議長の「世界的な減速を示唆する証拠はある」(16日)とFRB当局者からの世界経済に対する懸念発言を受け、円ドル相場は週間で1円の円高ドル安となったほか、対ドルでユーロも上昇した。週末、米10年債利回りは3.06%と11月8日のピークから17ベイシスポイント低下し、10月2日以来1ヵ月半ぶりの水準に低下した。米債利回りの低下によって、主要国の国債利回りも総じて低下した。
商品市況の下落と日本経済
ドルが強い。対円では1年ぶり、対ユーロでは1年5ヵ月ぶりの高値である。米国の経済成長率が日本や欧州よりも高く、先行き、FRBは政策金利をさらに引き上げようとしているからだ。一層傲慢になったトランプ大統領が今後2年間も采配を振る。人種や宗教といった根本問題を持ち出し、民主主義を破壊する動きを強めているが、ドルは強い。ただ、経済が強いか弱いかだけがドルの価値を決定しているのである。
減税による米国経済の拡大
7-9月期の米実質GDPは前年比3.0%増加したが、ユーロ圏GDPは1.7%に低下した。米EUの経済成長率格差の拡大から対ドルでユーロは売られ、昨年6月以来のドル高ユーロ安だ。昨年第4四半期の実質GDPの前年比伸び率はユーロ圏が米国を上回っていたが、今年第1四半期に逆転、第2四半期は0.7ポイント、第3四半期は1.3ポイント、米国がユーロ圏を上回った。
世界経済の減速を示唆する日本の輸出
円ドル相場は今月3日、114円台半ばまでの円安に振れていたが、米株の動揺などによって、112円台まで戻している。円高ドル安に伴い日本株も3週連続安だ。米国経済に金利上昇の影響が少しずつ現れている。9月の米小売売上高は2ヵ月連続の前月比0.1%と弱く、前年比では3.1%へと前月から大幅に鈍化した。しかも3.1%のうち0.9%は値上がりしているガソリンが寄与している。
見直すべき中央銀行の役割・目標
遅ればせながら株式関係者も実体経済に目を向けてきたようだ。トランプ大統領によって世界の政治・経済は掻き回されてきており、その影響が徐々に世界経済に現われてきている。IMFは9日、今年と来年の世界経済の成長率を3.7%と今年4月の予測からいずれも0.2ポイント下方修正した。ごたごたしている貿易問題や新興国の為替問題などが世界経済に悪影響していることは間違いない。
米国の雇用拡大と物価安定の背景
10月3日、パウエルFRB議長が米国経済は「際立って好調」と述べたことから、米10年債利回りは前日比12ベイシスポイント(bp)も上昇した。週末には3.22%と一段上昇、週末値では2011年4月以来7年半ぶりの高い水準だ。米債券関係者もやっと米国経済の実態に目を向けるようになった。