ドルと米株に圧し掛かる双子の赤字
先週、米10年債の利回りが2.9%を超えたが、円ドル相場は106円台を持続した。円ドル相場が106円台では日本株の戻りも弱くならざるを得ない。FOMC議事録で政策金利は上向く可能性が高いと言及されたが、為替相場への影響は限られたものであった。これだけ米国の金利上昇観測が強まっても、円安ドル高にならないのはすでに円安ドル高ドルが実現されてしまったからだ。
検証・反省もなく再任される日銀総裁
対ドルで円は大幅に上昇し、2016年11月以来の円高だ。円高ドル安により、米株などに比較して、日本株の反発は弱く、週間、TOPIXは0.3%にとどまった。1月の米消費者物価指数が予想を上回る上昇を示したことなどが、ドル安に繋がったようだ。黒田日銀総裁の再任は円安ドル高材料と考えられるが、日銀はすでに金融緩和の壁にぶち当たっており、日銀の為替相場への影響力は出尽くしている。
金融中毒が日本経済を蝕む
週間、対ドルで円は上昇したが、ユーロは下落した。米債券利回りの上昇はドル高要因だが、円とユーロではその影響は逆方向にでた。株式との結びつきが強い円ドル相場は振れが大きくなっている。円高ドル安の進行は企業業績の悪化を予想させ、日本株は売られ、日経平均株価の週間下落率は8.1%とNYダウの5.2%を上回った。先月の19日以来のドル高ユーロ安となったため、商品市況は軒並み値を下げた。
日銀とGPIFで100兆円の株式を保有するリスク
1月の米雇用統計によって米国経済が予想以上に底堅いことが確認された。なかでも週平均賃金が前年比2.9%と3ヵ月連続の上昇となり、2009年6月以来9年5ヵ月ぶりの高い伸びとなったことに株式・債券市場関係者の関心は集まった。賃金が上昇し続けば、物価が上がり、FRBは利上げにより積極的になるのではないか。そうした懸念から債券は売られ、10年債利回りは4年ぶりの水準に上昇した。
円ドル相場と米GDPを探る
米株は過去最高値を更新し止まるところを知らないが、ムニューシン米財務長官の発言により、対ドルで円が急伸したことから、日本株は押された。円ドル相場は昨年9月以来の円高となり、輸出への懸念が広がっている。昨年12月の輸出は前年比9.3%増加したが、昨年6月以来6ヵ月ぶりの一桁増にとどまった。輸出の伸びは昨年7-9月期にピークを付け、すでに下り坂に入っている。
米債利回りと株式
週末値で円が対ドルで110円台を付けるのは昨年9月第2週以来約4ヵ月ぶりである。円高ドル安にもかかわらず、日経平均株価は上昇し、1991年11月以来約26年ぶりの高値だ。依然、過去最高値を更新している米株に牽引されてはいるが、世界的な株高により出遅れ感からも買われている。ただ、為替相場が円高ドル安に一層進むことになれば、企業利益のマイナスシグナルとなり、売りがでるのは避けられない。
日本の企業利益は輸出次第
米株は過去最高値を更新し続けている。円高にもかかわらず、米株高に支えられ日本株も高止まり状態である。ユーロは対ドルで約3年ぶりの高値である。ECBが政策変更を示唆しているからだが、それほどユーロ圏経済は持ち直しているのだ。EU28の失業率は昨年11月、7.3%と約9年ぶりの水準に低下した。
日本企業は利益拡大を持続できるか
昨年末の実効ドル相場(名目)は前年比6.0%下落した。特に、対ユーロでドルは14.1%も下落したからだ。短期金利は米国の上昇を除けば、ほとんど横ばい状態であり、長期金利は3回も利上げした米国も上昇せず、国債相場は静かだった。ドル安によって、原油や金は上昇したけれども、総合指数のCRBはほぼ前年末並みである。大きく動いたのは株式であり、年間では主要株価指数はいずれも大幅に値上がりした。
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消費拡大を図る政策を
2018年度の一般会計政府予算案が週末、閣議決定された。「人づくり革命」、「生産性革命」と言葉は踊るが、中身が変わったかといえばほとんど過去の踏襲にすぎない。「革命」とは程遠い内容である。このような予算を作るためにも膨大な時間と金を掛けているが、無駄と非効率な日本の現状を象徴している。