妄言でも飛び付くたわい無い市場
米大統領選挙が終わり、中国共産党大会で習近平氏が総書記に選出されたが、日本では衆議院が解散され、来月16日に投票が実施される。選挙をしてもこれまで以上に優秀な議員が選出されるとはとうてい考えられず、政治の混迷は深まるばかりではないだろうか。第3極とやらに期待する向きもあるが、野田首相に輪を掛けた右寄りであり、自民党の安倍総裁と同じ穴の狢だ。
貯蓄・投資の法則が財政を決める
米大統領選挙がオバマ大統領の再選という穏当な結果で終わったが、減税打ち切りや歳出削減の不安によって米株式は急落した。はたしてそうだろうか。崖の問題は承知していることであり、これが急落の引き金になったわけではない。経済の足取りが思わしくなく、企業業績も減益に転じたが、株価はFRBのゼロ金利でかろうじて維持されていた。
景気後退の真っ只中の日本経済
経済や業績の急速な悪化にもかかわらず日経平均株価は2週間ぶりに9,000円台を回復した。よく持ち堪えていると思う。だが、収益の悪化は株式が割高になっていることであり、なにかをきっかけに、激しく売り込まれるだろう。
足取り重い米民間部門
企業収益を左右する輸出は9月、前年比-10.3%と4ヵ月連続のマイナスである。対欧州が大幅な減少から抜け出せず、対アジアのマイナスに加えて、対米も0.9%へと鈍化してきた。四半期の7-9月期の対米輸出は32%も増加したが、7-9月期では5%に低下した。だが、7-9月期の米実質GDPは前期比年率2.0%と前期よりも0.7ポイント高くなった。
空虚な金融政策決定会合
企業業績は悪化しているが、日銀の資産買い増し期待によって、日経平均株価は前週比小幅安にとどまった。日銀は先月(9月19日)、資産買入等の基金を70兆円から80兆円に増額したばかりだが、今月また、資産の買入規模を拡大しようとしている。だが、先月の株式に対する日銀効果は発表当日に出尽くし、その後、株価は下落した。
金融危機後も金融偏重を導く中央銀行
米株高と円安によって日経平均株価は5日連続高となり、週末には9月25日以来の9,000円台乗せとなった。だが、株高要因のひとつである米株は週末、200ドルを越える大幅安となり、日経平均株価の9,000円台回復も一過性となりそうだ。米株が崩れれば、それにつれて日本株も下落するのは避けられない。米株急落はGEやマクドナルドなどの企業業績が予想を下回り、収益に不安が生じたからだ。
底の見えない日本株
日経平均株価は4週連続安となり、週末値では6月第1週以来約4ヵ月ぶりの安値だ。株価下落の最大の要因は期待収益率の低下である。輸出の減少で製造業の生産が低下し、粗利益率が低下しているからだ。製造部門の悪化は先行きの給与や賞与の削減を予想させ、消費マインドを悪化させるだろう。消費の不振はすでに下方修正している設備投資計画の一層の下振れを予想させる。
かなりな速度で落ち込む日本経済
FRBの金融緩和策が発表された9月13日までに、株式や商品はその効果を織り込んでしまった。金融緩和策の経済効果よりも金融政策自体が、多くの市場参加者に株式や商品の値上がり期待を抱かせていたからだ。まさに美人投票の結果といえる。CRB指数などは9月14日までの7連騰で4.1%上昇したが、26日には14日比5.4%も下落した。
「専制と隷従、圧迫と偏狭」の野田政権
政府の世論調査では2030年に原発ゼロを求める比率が圧倒的であったが、政府は過半と言い、「今後のエネルギー・環境政策について」では原発ゼロは2030年から2030年代に後退、さらに9月19日の閣議では2030年代に原発ゼロにすることは閣議決定せず、『革新的エネルギー・環境戦略』(9月14日)を踏まえて、「柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」ことだけを閣議決定した。
金融政策でバブル化する米株式
FRBやECBの国債買いオペ期待だけが、株式や商品相場を支えている。まさに相場は買いオペ期待がなくては維持できなくなってしまった。買いオペは麻薬のように市場を麻痺させ、相場を高揚させるが、市場は確実に蝕まれていき、最後は悲惨な事態に陥ることになる。