1月のCPIは前年比2.2%に低下したが、現金給与総額(毎月勤労統計)は同2.0%、勤労者世帯の世帯主収入(男、家計調査)は同0.0%とCPIの伸び以下である。昨年の春闘の妥結結果によれば、3.99%の賃上げが実現された。だが、これだけ賃金が上昇した指標は、どこにも見当たらない。今春闘の連合による第1回目の集計によれば、5.28%と1991年以来33年ぶりの高い賃上げだそうだ。
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米非農業部門の雇用拡大は続いている。2月も前年比1.8%と伸びは鈍化しているけれどもまだまだ高い伸びだ。これから年末にかけて前月比20万人前後の雇用増が期待でき、米国経済は実質前年比2~3%程度で成長するだろう。FRBは物価をみながら政策金利を恐る恐る引き下げるのだろう。引き下げなくても、米国経済は順調に推移しているのだから、弄る必要はないのだ。
ナスダック総合は2月29日、2年3カ月ぶりに過去最高値を更新し、米株は全面高だ。昨年第四半期の米実質GDPは前年比3.1%伸び、経済は拡大しているが、これだけの株高を説明できるほどの勢いではない。今の米株高は先行きの政策金利に期待しているところが大きい。ウォール街は共和党であり、トランプの返り咲きに賭けている。
2月22日、日経平均株価は1989年末の過去最高値(38,915.87円)を抜いた。円安ドル高の持続が利益への期待を高め、株価を押し上げている。この強気相場に乗る以外にはないと買い意欲が旺盛だが、期待で上がっているだけに、その期待に少しでも疑念が生じることになれば、相場は終わりになるだろう。
日経平均株価は1989年末の過去最高値(38,915.87円)に限りなく近づいた。円安ドル高が株価を押し上げている。出来高や売買代金はうなぎ登りとなり、16日のプライム売買代金は6.72兆円と2023年の一日平均3.83兆円の1.75倍に急増している。出来高は22.04億株と昨年の15.63億株の1.41倍に拡大。売買代金などからみれば日本株は超熱狂過熱相場だ。
S&P500は初めて5,000を超えた。ナスダック総合も2021年11月19日の過去最高値を0.4%下回るところまで近づいた。米株式は絶好調と言える。米10年債利回りが株式配当利回りを大幅に上回っていながら、株式が買い進まれている。前号で取り上げたメガハイテク企業6社のうち2社は配当なし、残り4社のなかで最も高いのがマイクロソフトの0.71%という超低配当企業なのである。
NYダウは11週連続高だ。米10年債利回りは4%程度であり、株式配当利回りを大幅に上回っているが、値上がり益期待が配当よりもはるかに魅力的なのだろう。FRBは政策金利を5.25%~5.50%の高い水準に保っているけれども、株式は高金利もまったく意に返さず。もし株式に異変が起これば、FRBが政策金利を急低下させることを期待し、行けるところまで行くという雰囲気である。
日銀のマイナス金利政策の継続期待が、円安ドル高を保っている。現状程度の円安ドル高水準が持続するならば、来年度の企業業績も悪くはないだろう。昨年12月の輸出(季節調整値)は前月比5.8&伸び過去最高を更新した。日本取引所グループの『統計月報』によれば、昨年12月のプライムの平均株価収益率(PER、単純平均)は16.2倍だ。今はこれよりも高くなっているが、懸念するほど高くはない。
日米の株式は活況そのものだ。NYダウに加えS&P500も約2年ぶりに過去最高値を更新した。昨年末比では日経平均株価が7.5%高と米株などに比較にならないほど値上がりしている。10年債利回りは、昨年末比、日本の5bpに対して、米国25bp、英国40bp、ドイツ32bpそれぞれ上昇しており、米国よりも欧州の上昇が目立つ。
欧米の先週末主要株価は昨年末をやや下回っているが、日経平均株価は6.3%もの大幅高だ。これは、元日の能登地震によって、日銀がマイナス金利を継続する見方が支配的となったからだ。復興には相当の時間を要し、マイナス金利からプラス金利にするようなことは日銀には到底できないと踏んでいる。日銀の金融政策に変更がないことから今年に入り、為替も円安ドル高に振れている。