経済を悪化させる消費税率引き下げと日銀の利上げ

投稿者 曽我純 , 9月28日 午後3:46, 2026年

サイコパスの「自慢と脅し」に溢れた国連演説、知性も理性の欠片もない国連演説がかってあっただろうか。国連などあって無きがごとしで、まったくその存在が眼中にない人間にとっては、そこでなにを話そうが、知れたことではないのだ。ひとりで世界の経済と政治を混乱に陥れていることなど、彼の頭には微塵もないのだ。そのような男に寄り添い、同盟を強めることに、なにの不安も恐れも感じない我が首相。なんと政治の世界は地に落ちたことか。過去数百年を振り返ってみても、ヒットラーを凌ぐほどの異常な人間が、大統領を務めた時代はなかったのではないか。

自分の好きか嫌いかで物事を判断し、推し進める手法は両者同じである。安倍を超える右へ右への旋回、こうした動きになにの疑問も抱かず、勇ましさに引きずられて人気を維持している。野党も左は壊滅的であり、与党に引きずられて、全体的に右へ傾いている。思想や理念といった難しいことを言えば、有権者は離れていくだけという時代になり、ただ、声高に威勢よくたわいないことを連呼していれば議席を確保できるのだ。日本人は難しい理屈に弱いし、そもそも受け付けないのである。その時の動静に乗って、どこへでも行ってしまう、という危険性をたぶんに持ち合わせている国民なのである。

飲食料品の消費税率を2年間引き下げることを閣議決定(9月15日)したが、閣僚だれひとり反対することはなく、決まっていく。閣議は単なる容認機関にすぎない。このような酷い政策が、なにの問題もなく決まってしまうことに、苛立ちを覚える。日本の政治が今まで以上に貧困で空疎そのものであることを裏付けている。

マスコミも引き下げ反対の論陣を張らず、徹底抗戦することはなかった。日本経済をまともな体にする策を打ち出すことはなく、政府の流す情報をそのまま右から左へ流す機関に成り下がってしまった。

飲食料品の消費税率が下がれば、売れ行きが拡大し経済は、少しはましな状態になるのだろうか。決して、そのようにはならないはずだ。引き下げ期間が2年間限定であることが分かっていれば、消費者は財布の紐を緩め、消費行動を大きく変えることはないだろう。2年間は多少贅沢な食生活を送れることになるが、2年後のことを思えば、無闇に食費を増やすことはできないのではないか。飲食料品だから値段が下がったからといって、胃袋の制約があり、それほど消費量を増やすことはできない。

下がるまえには買い控えが起こり、引き下げ後には需要は盛り上がり、引き上げ前には買いだめが発生、引き上げた途端に大幅に需要は後退するだろう。

飲食料品は必需品だから、引き下げ前と引き上げ後を含む全期間を均してみれば、需要の大きな変化は起きない(需要の弾力性は小さい)。ただ、需要の変動が起こり、経済の攪乱が起こるだけである。2029年第2四半期のGDPは大幅に悪化し、景気後退へと進むだろう。経済を混乱させる政策を閣議決定したのである。2029年4月以降の閣僚は今とはすっかり入れ替わっており、景気悪化の責任をだれに負わせればよいのだろうか。

飲食料品だけの消費税率を下げることは、非飲食料品(飲食料品よりも需要の弾力性は大きい)の価格はそのままであり、非飲食料品は飲食料品に比べて高くなる。相対的に高いものの需要は減少することになる。非飲食料品の需要は大きく減少することはないけれども、総需要を低下させ兼ねない。飲食料品の消費税率を下げても、経済が良くなるかどうかは非常に疑わしい。

飲食料品の消費税率は来年4月に8%から1%になる。これがそのまま飲食料品の値段に反映されれば、108円であったものは101円になり、6.5%の価格下落となる。日本の消費者物価指数(CPI)に占める食料(外食、酒を除く)のウエイトは21.35%である。飲食料品の消費税率が8%から1%への引き下げは、CPIを1.38%p低下させることになる。

今年2月のCPIは前年比1.3%まで低下していたが、トランプのイラン攻撃で原油等が高騰し、8月には1.9%に上昇している。物価はまさにトランプ次第なのだが、ウクライナ戦争前の2021年までの5年間、さらに遡り過去10年間のCPIはそれぞれ年率0.33%、0.6%であった。これから予測するならば、戦争がなく平穏な状態であれば、日本のCPIは1%未満の低水準で極めて安定的に推移するのだ。

今年8月のCPIは前年比1.9%であり、来年4月以降のCPIの伸びも同じだと仮定すれば、CPIは0.52%まで低下することになる。もし、トランプがイランから手を引けばWTIは60ドル前後へと急落するだろう。日本だけでなく世界的にCPIは大幅に低下し、物価は問題ではなくなる。

来年4月のCPIが前年比1.9%であったとしても、その後、0.52%への低下が見込まれる。そのときまでにWTIが下落していれば、CPIは前年割れになり、デフレ経済がやって来ることになる。デフレは経済を痛める。貨幣価値が上がることによって、実物資産は目減りする半面、負債は増えるからだ。デフレが続くと見なされるならば、消費を控えるだろう。来年4月以降のCPIの伸びは、経済を判断する重要な指標になる。

9月18日、日銀は政策金利を0.25%p引き上げ1.25%としたが、来年4月の飲食料品の消費税率引き下げによるCPIの低下を視野に入れれば、経済を危うくする利上げだと言える。約半年後には、CPIの伸びが間違いなく低下することがわかっていながら、日銀は利下げした。日銀が目標とする生鮮食品を除くCPIは8月、すでに1.7%と2%以内に収まっている(今年の1月から8月まですべて2%未満)。8カ月連続で目標に収まっていながら、先行き物価が上がりそうだからだという理由で引き上げた。それでは2022年の物価高局面では、なぜ金利を上げなかったのだろうか。

2022年4月、生鮮食品を除くCPIは2.1%と日銀の目標を超えた。この2%目標超過状態は2025年12月まで3年9カ月も続いた。利上げしたのはCPIが2%超になってから約2年後の2024年3月だが、マイナスから0.1%への利上げと言えない利上げだった。物価が目標を突破してから約2年も政策金利を放置し、利上げしたとはいえ、0.1%というほぼゼロといえる超微増だった。最初の利上げから4カ月後の2024年7月に0.25%、その翌年の2025年1月0.5%、同12月0.75%と利上げしていった。だが、CPIは2025年の5月(3.6%)をピークに低下し、今年4月には1.4%まで下がった。CPIの伸びが低下しつつあり、しかも2%の目標内に収まっていながら、2回の利上げを行なったのだ。根拠なき利上げを2回実施したことになる。おそらく直近2回の利上げは、物価ではなく、為替や米国の要請によるものであったと考えられる。こうしたルールを逸脱した金融政策は、足取りのおぼつかない日本経済の体力を奪うことになるだろう。

すでに日銀の利上げによって10年物国債利回りは3%超まで上昇してきた。これは間違いなく経済活動にマイナスに影響する。今年第2四半期の名目GDPは前年比3.5%増だが、過去10年間では年率2.2%にとどまっている。家計消費支出(帰属家賃を除く)に限れば年率1.9%しか伸びていない。現状のGDPは物価の上昇で押し上げられており、物価がより落ち着くことになれば、名目GDPは2%前後で推移するだろう。今の国債利回りはこれを1%p上回っており、実物経済の長期の伸びを超えている。

日銀の政策はいつも後手後手だし、目標と政策が矛盾し理屈に合っていない。日銀の金融政策は経済を適切な方向へ導くのではなく、株式や不動産をバブル化させるなど経済を深刻な不況に陥らせる種を蒔いている。金融政策は名目GDPの長期成長率に整合した運営を心がけていれば十分なのだ。物価は需給で決まり、金利で制御することはできない。その無力な金利を0.25%上げ下げすることは、政府が飲食料品の消費税率を引き下げることと同様、空しい政策と言える。

まず、飲食料品だけでなく、すべてのものとサービスの消費税を10%から7%に引き下げ、数年後には5%へという具合に段階的に消費税廃止に向かっていくことが、家計消費の回復に繋がる最善の政策だと思う。

消費税の導入と引き上げによって、家計の負担は重くなっていった一方、企業は法人税率の引き下げにより企業収益は拡大していった。今度はその逆の税制を構築すればよい。さらに所得税の累進性を強め、株式の有価証券取引税の復活、配当や売買益を所得と合算することで十分な税収を確保できる。軍事費を削減するだけでも数兆円の資金が確保できる。ミサイルなどに税金を使うことなど金をどぶに捨てることと同じである。

狂気の米帝国主義をみれば、米国は間違いなく崩壊過程にあり、世界の国々は米国から離れて行っている。そのような泥船に付き添っていれば、日本の衰退はこれまで以上に早く進むことになるだろう。戦後の日本の基本的な政策は米国の意に沿ったものであった。日本は米国と違う国であり、米国流の政策では機能しない。バブル崩壊後、日本が長期停滞から抜け出せないのは、日本に合った経済政策が取られなかったからだ。米国からの押し付け政策を続けている限り、日本が良くなることはない。米国の軛から逃れることができるかどうかで、日本の針路は決まる。

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