二人世帯の54.4%を占める勤労者世帯の消費も芳しくない。今年2月は1.9%にすぎず、実質では0.5%である。可処分所得は昨年8月以降プラスだが、昨年12月以降、消費を抑え、消費性向は今年2月まで3カ月連続で前年を下回り、貯蓄を増やしている。
今年2月の勤労者世帯の世帯主収入39.3万円に対して配偶者の収入は9.0万円であり、世帯主の22.9%である。2025年の月平均世帯主収入は47.0万円、配偶者収入は10.7万円、世帯主のたったの22.8%である。10年前の2015年の配偶者収入は世帯主の15.5%、20年前の2005年は13.4%と配偶者が世帯主収入よりも伸びていることがわかる。それでも配偶者の収入は世帯主の四分の一にも満たない。
国税庁の『民間給与実態統計調査』によると、2024年の女性の平均給与(給料・手当+賞与)は年333万円、男性は586万円であった。女性の平均給与は男性の56.8%である。10年前の2014年52.9%、5年前の2019年54.8%と徐々に差異は小さくなってきているが、あまりにも緩慢なうごきである。これでは10年先でも60%に達するかどうか、ではないか。今月から101人以上の企業に「男女間賃金差異と女性管理職比率」の開示を義務付けたが、どれほどの効果があるのだろうか。
OECDによれば、2024年、日本の女性は男性賃金の75.8%であり、OECD平均86.8%を大幅に下回っている。G7(米国80.5%、イギリス83.9%、カナダ84.3%、ドイツ82.8%、フランス87.9%、イタリア89.9%)はすべて80%を超えており、賃金の男女差異では日本は完全に世界から遅れているのだ。
OECDの男女賃金格差は日本の統計に比較してその差異は小さく、実態を表していない。ただ言えることは日本の男女格差はOECDのなかで最も酷いということだ。これだけ男女賃金格差が長年放置されてきたことが、日本経済の消費不振の原因のひとつであることは間違いない。女性の賃金を男性並みにすれば所得は大幅に増え、消費支出は拡大するだろう。GDPに占める消費支出の割合は高くなり、国内経済の規模は大きくなり、輸出依存率を低くすることができる。つまり、より自律的な経済を構築することができるのである。
資本主義経済の目指すところは、いかに利益を増やすかだ。利益につながることであればとことん追求する。利益を生み出す手っ取り早い方法はコストを引き下げ、原価と販管費を抑えることである。これができるならば売上高が一定でも利益を拡大することが可能だ。原材料コストの低下もそのひとつだが、戦前から経営者が取り組んできたのは、いかに人件費を抑えるかである。製造・販売に占める人件費の割合は大きいので、経営者はこれを抑えることに注力してきたし、今もその考えに変わりはない。
日本は直系家族のため、戦前、長男がすべてを相続し、農家の次男、三男は家を出ていくほかなかった。あるいは農閑期には、家を継いだ長男も都市部に出稼ぎに行っていた。出稼ぎは戦後も続き、企業は安価な労働力を手に入れることができた。戦後、中学を卒業して夜行列車に乗って、地方から続々都会へ向かう集団就職する10代の若い労働者が、低賃金で雇用されていた。
高校進学率が上がり中卒で仕事に就く人はほとんどいなくなり、今度は高卒が金の卵になった。年齢が低いほど低賃金で雇えるため、企業は中卒や高卒は労働コストを抑えるには最も適した人材であった。1950年、高校進学率は42.5%だったが、1965年70.7%、1974年90.8%に上昇、中卒はほぼいなくなった。高校進学率が90%を突破した1974年、大学進学率は25.1%であった。30%を超えたのは1994年、2009年には50%を超え、2024年は59.1%である。大学進学率上昇は高卒人材の減少であり、いまでは労働市場への新たな人材の6割が大卒になっている。高学歴者の採用は当然、賃金コストを引き上げることになる。だが、1986年、高校進学率が93.8%のとき「労働者派遣法」が施行された。それまで一部に限られていた非正規雇用が1990年代のバブル崩壊とともに、賃金コスト削減のために雇用されていった。特に、女性は非正規雇用が2025年、52.0%(労働力調査)を占めており、男性の22.3%とは比べ物にならないほど多い。1995年から2025年までの雇用者の伸びを男女別にみると、男性は2.8%とほぼ横ばいであったが、女性は40.6%と急増し、同期間の雇用者増加数922万人のうち実に831万人が女性であった。1990年代は不況の真っただ中であり、失業率は上昇し続けていた。買い手市場のため企業は低賃金で雇える女性を主に雇ったのだ。しかも非正規雇用といういつでも首を切れる企業にとっては使い勝手の良い女性を採用した。
2013年から2025年までの12年間の男性雇用増加数は152万人だが、年齢階級別にみると最大の増加年齢層は65歳以上の144万人増である一方、25歳~44歳までは215万人も減少している。45歳~64歳までは176万人増加しているが、25歳~44歳の働き盛りの雇用減は企業にとっては痛手ではないか。
国税庁の『民間給与実態統計調査』によると、女性が男性と同じ賃金であると仮定した場合、賃金総額は1.23倍に拡大する。財務省の『法人企業統計』によれば、2024年度の全産業全規模の賃金総額は175.6兆円、営業利益は84.8兆円であった。賃金総額が1.23倍に拡大すれば216.0兆円となり、賃金コストは40.4兆円増加することになる。営業利益は84.8兆円から44.4兆円へと半分程度へと激減する。
女性の低賃金によって、日本企業は利益の拡大を図ってきたと言える。戦後ではまず中卒、出稼ぎ、高卒、女性、非正規等いつの時代も低賃金労働者を搾取することで企業は生き延びてきた。国内での搾取が壁にぶつかれば、海外の低賃金を求めて、中国、ベトナム、バングラデシュなどどこまでも進出していった。あるいは海外から低賃金労働者を受け入れる方法も考えだした。いずれにせよ、低賃金で搾取できる仕組みを編み出し、植民地主義的なやり方で利益の多くを捻出してきた。挙句の果てには、ワンマン経営の「ニデック」のように利益水増しにまで手を染める悪事に走るのだ。
日本経済が長期低迷から抜け出せないのは、低賃金を押し付け、搾取しほうだいの企業経営に原因があるのは間違いない。マクロ統計からもそのことがあきらかだ。日本の可処分所得(DI)・GDP比は2025年、50.9%と1994年以降では最低である。1994年以降の最高は2009年の58.3%だが、リーマンショック後の不況で景気が悪化したためであり、同比率は低下傾向を示している。
2025年、米国の同比率は74.4%、ドイツ57.9%、イギリス65.5%(2024年)とドイツよりも7ポイントも低く、日本の可処分所得がいかに低水準に抑えられているか、これでは消費を拡大させることは不可能だ。近年、政府も財界も賃上げを叫んでいるが、DI・GDP比率からは賃上げの効果はどこにも見えない。2022年の54.1%から2025年には50.9%へと低下しており、消費はますます深刻な事態に追い込まれている。
消費の不振には人口問題も大いに関係している。2024年の自然減は91.9万人だ。5年前の2019年は51.5万人減、10年前の2014年は26.9万人減だった。2024年の減少数は総人口の0.75%に当たる。これだけの人口が減少すれば、消費は凡そ2.6兆円減少することになる。しかも超高齢・少子化も加わるので、人口動態からは消費はさら押し下げられるはずだ。
それにしても、日本の死亡数は異常である。2024年の死亡数は160.5万人、5年前の2019年は138.1万人、10年前の2014年は127.3万人であった。2024年/2019年は16.2%増、2019年/2014年は8.5%増と前者は後者の伸びの2倍。新型コロナ感染死を考慮しても、説明し難い死亡数である。新型コロナ感染死が峠を越えれば、死亡は減少するはずだが、2021年以降も死亡数は増加し続けており、2025年の死亡も前年を上回るだろう。
新型コロナ感染死は2022年の47,638人をピーク減少しているが、2024年は35,865人、2025年1月~11月は20,429人と昨年もすでに2万人を超えている。「ワクチン問題研究会」によれば、新型コロナワクチン接種後の副反応疑い件数は67,000件(厚生労働大臣会見、2026年2月20日)、重篤症例9,325件(2024年8月4日)、死亡症例2,302件(2025年9月30日)だが、これらは氷山の一角だろう。これの何倍か何十倍の人が原因もわからずに今も苦しんでいるはずだ。
新型コロナワクチン接種がこれだけの大問題を起こしていながら、政府はもとより、マスコミも関心を示さず、闇へ葬ろうとしている。死亡数の急増は消費といった経済問題だけでなく、国の存亡に関わる最重要案件ではないか。この深刻な問題に目を背けるならば、日本は内部から腐っていき、自己崩壊への道を進むことになるだろう。第2次大戦による破滅を思い起こすまでもなく、問題は外部にあるのではなく、常に、内部にあるのだ。