日米同盟は日本にいかなる意義があるのか

投稿者 曽我純, 3月30日 午前8:59, 2026年

エプスタイン疑惑や中間選挙のためにイランに攻め込んだトランプは自滅するのではないか。イスラエルに政治の中枢と政治資金を握られ、トランプ政権はイスラエルの言いなりに成り下がっている。米国総人口3.42億人の1.8%しかいないユダヤ人、この少数のユダヤ人が米国の政治を支配している。加えて、トランプは妄想、虚構の世界に生き、さらには認知症まで疑われているのだ。法やモラルはトランプには縁のない話なのだ。今しか存在せず、過去を振り返ることは決してしない。その時その時に、思ったことをSNSで発信していくことだけが、トランプの楽しみなのだろう。それによって、株価の変動は大きくなり、トランプの取り巻きは巨額の利益を手にしているとも言われている。米国の統治機構は崩壊していると言える。こうしたどのような方針が出されるのか、直前までわからないトランプ政治に世界は振り回されているが、世界の政治家は一部をのぞけば、「物言えば唇寒し」で、口をつぐんでいる。自由にものも言えない、これではヒットラーやスターリンのような独裁体制と変わりはない。悪事に対して容認する姿勢を示せば、ますます悪事が蔓延り、世の中は悪くなるだけだ。

トランプの行動とそれに対する主要国の対応が民主主義を破壊しているだけでなく、原油価格の高騰などが経済にも悪影響を与えており、世界の81.7億人の生活を脅かしている。限界的な生活を送っている人たちには、すでに影響があらわれているだろう。原油価格の高騰により、物流部門ではガソリンや軽油の供給不安が生じている。原油は生産、販売など経済活動のあらゆる分野に使われているため、高価格と供給不足が持続すれば、特に、ほぼ100%輸入に頼っている日本は、たちまち行き詰まってしまう。ミサイルやドローンが飛来しなくても、原油の輸入が途絶えるだけで、経済が崩壊する極めて脆い国なのである。

高市氏は事あるごとに、日米同盟の強化を口にするのだが、原油や液化天然ガスの輸入が途絶えた場合、米国が面倒をみてくれるのだろうか。米国は自国でそれらを賄えるから値段は上がっても供給面の不安はない。とは言え、2025年の米原油輸出量は1,445百万バレルだが、輸入量は2,209百万バレルと輸入が輸出を上回っている。日本に融通するだけの原油と液化天然ガスはない。

米国一国に肩入れすることのリスクが今回の事態によってより明らかになった。ミサイル配備ではなく、平和外交を重んじる政治のみがいざという時には、力になってくれる。ロシアとは友好条約を結んで、ロシアから原油を輸入することができれば、原油不足を軽減できるのだが、米国一点張りの外交があだとなっている。

日本が原油不足に直面したときに、同盟国の米国は日本の不足を穴埋めすることはできない。エネルギーに限っても米国は当てにならず、食料についても同様である。一体、米国と同盟関係を築いて、日本はなにの価値を得ることができるのだろうか。

原油の輸入が途絶えつつあるなかで、高市政権は原油輸入を再開させる行動を取っているのだろうか。トランプのイラン攻撃、これから最大の被害を受けるのは日本なのだが、わざわざ米国まで出かけ、トランプにおべんちゃらを言っただけだ。ガソリンがなければ車は単なる鉄の塊りでしかないのと同じように、ガソリンがなければ日本経済は止まってしまう。これほど危機的な事態に陥るかもしれないときでも、高市はトランプにイランへの戦争を一刻も早くやめるべきだ、と言えないのだ。力による一方的な変更は許されないといいながら、言わなければいけないときには、アメリカの暴力を容認する二枚舌政策なのだ。

今回のアメリカのイラン攻撃によって、ペルシャ湾湾岸諸国に展開する米軍基地や石油施設などが攻撃された。カタール、バーレーン、クウェート、サウジアラビアは米国の「非NATOの主要同盟国」なのだが、イラクからの攻撃で石油・液化天然ガス施設などが破壊された。湾岸諸国にある米軍基地からイランは攻撃されることから、そうした米軍基地や施設を標的にしたのだ。米軍が駐留していても、イランからの攻撃を防ぐことができなかったのである。むしろ、米軍基地があったからこそ攻撃されたのであり、米軍基地がなければ、そのようなことは起こらなかったであろう。

今回のアメリカとイスラエルのイランへの理由なき攻撃とイランの報復によってあきらかになったことは、アメリカ軍が駐留し、「非NATOの主要同盟国」でありながら、アメリカは湾岸諸国を防衛することはできなかった、ということである。カタールは米中央軍前方司令部が置かれている中東最大の米軍拠点であり、アルウデイド空軍基地などに1万1,000人が配備されている。海軍第5艦隊司令部が置かれているバーレーンには9,000人、クウェートには地上部隊の拠点が置かれ1万3,500人が駐留しており、湾岸諸国には計3万人~4万人の米軍が駐留している。

これだけの米軍が駐留しているにもかかわらず、米軍は湾岸諸国やホルムズ海峡を守ることができず、多くの米兵が命を落とし、どこかに行ってしまった。日本には湾岸諸国を上回る約130カ所の米軍施設等があり、5万人超の米軍人が駐留している。なにか事が起きれば、日米安全保障条約によって米軍は防衛してくれることになっているが、ペルシャ湾での有事をみると米軍はまったく当てにならないことがわかる。当たり前のことだが、他国のことで血を流すことはしない。また、日米合同で相手に立ち向かったとしても、とうてい相手の攻撃を防ぐことはできないことも知らしめた。高価な迎撃ミサイルを配備しても、すべてを撃ち落とすことはできないのである。米国は軍事費に年1.15兆ドルも投じているが、ホルムズ海峡さえ支配できない。このことはいくら軍事費を増やしても、相手のドローンやミサイルを防ぐことはできず、軍事費だけでは戦力を推し量ることはできないのである。日本には米軍の専用施設だけで76カ所もあり、これらは即攻撃対象になり、米軍の駐留は攻撃されるリスクを高めるだけだ。日本円で米軍事費は184兆円にもなる。これだけの金を軍事に振り向けても守れないことは、日本の8兆円でなにができるのか。憲法9条を守り防衛費は最小限に抑えるべきだ。これでなにの不都合も生じないことが、今回のアメリカとイスラエルのイラン攻撃で得られた有意義な結果である。

石油と天然ガス以外にはなにもないモノカルチャーの湾岸諸国は極めて脆弱であり、まさに「砂上の楼閣」なのだ。石油と天然ガスの販売による巨額なドル資産が米国に還流する仕組みを米国は作り上げてきた。米株等への投資と兵器購入を通して米国にオイルダラーを還流させ、米株と軍需産業を支えているのだ。

米財務省のTICDaTaによれば、2025年末の海外からの対米投資残高は70.4兆ドル、10年前に比較して2.28倍に拡大している。同期間、直接投資は3.0倍、証券投資は2.3倍だったが、証券投資のうち株式等は3.6倍に急増した。2025年6月末の湾岸5カ国の対米証券投資残高は1兆2,740億ドル、そのうち株式は8,803億ドルである。海外からの対米株式投資額19兆8,426億ドルの4.4%と、日本の1兆1,686億ドルを下回っている。だが、もし、トランプが強硬姿勢を貫き、戦闘が激しくなり、イランが本気で湾岸諸国を攻撃することになれば、淡水化プラントなどのインフラが破壊されるだろう。そこまで戦争が拡大、激化すれば、湾岸諸国は存立できなくなり、証券類は手放すことになるだろう。その前に石油の生産は止まってしまい、株式等は紙屑になってしまう。アメリカもそこまでイランを追い詰めることはないと思うが、サイコパスのトランプでは最悪の事態を完全に否定することはできない。

日米安全保障条約第1条「締約国は、国際連合憲章の定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武器の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する」。

日米は互いにこの条約に拘束され、条約を守る義務がある。佐世保基地を母港とする強襲揚陸艦トリポリと沖縄駐留の海兵隊部隊が3月27日、中東に着いたという。トランプ政権はあきらかにこの条約に違反しており、日本政府は強くアメリカに抗議しなければいけない。抗議しなければ、日本は日米安保条約を遵守しないことになる。米国が条約を守らないのであれば、日米安保条約を終了させる意志を通告し、通告1年後に条約は終了となる。その手続きを取るべきだ。

 

★次号は休みます。

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