「石油はあるが水はない」ペルシャ湾岸諸国

投稿者 曽我純, 3月16日 午前8:38, 2026年

トランプの暴挙によって、原油の高騰が続いている。今回は値段の急騰だけでなく数量の確保ができなくなり、もし、この事態が長期化すれば、ほぼ100%輸入に頼っている日本の経済活動は止まってしまうことになる。これほど深刻な事態を引き起こしているトランプに主要国のトップはなにの発言もしない。トランプの仕掛けた理不尽な攻撃を止める行動を取る以外には解決する方法はないのだが、悪を悪と言うだけの肝っ玉の座った首脳はいない。

第2次世界大戦前の欧州の政治状況に似てきた。トランプのような法を法と思わない悪弊が伝播することによって、世界はますます無法国家が跋扈することになるだろう。隣家に押し入り強盗や殺人を犯しても、罰せられないことが罷り通る世界を、世界の指導者は容認している。モラルの欠如の極みと言える状態ではないか。

今月18日に訪米する高市首相は「揺るぎない日米同盟を改めて示す機会となることを楽しみにしている」そうだが、米国のイラク攻撃にどのように言及するのだろうか。拉致、殺人を平気で行うモラルの欠片もないトランプ、そうした人物に会い、おべっかを使うことになれば、高市首相は「同じ穴の狢」と蔑まれ、モラルのない覇道を地で行き無秩序な世界をつくることに手を貸すことになる。まさに「飛んで火に入る夏の虫」ではないか。だが、ファシズムを共有していることから高市は、トランプに追随することにはなにの抵抗も感じないのだろう。

米軍がホルムズ海峡の封鎖を解除できないことは、米軍はペルシャ湾やオマーン湾周辺では軍事力を喪失していることにほかならない。攻撃のリスクをさけるために航空母艦は陸地からはるか離れた海上にいるようだ。ペルシャ湾湾岸諸国の米軍基地はイラクの攻撃を受け機能しなくなっている。レーダー網も破壊されていることに加えて兵器も枯渇しているようだ。米軍はお手上げの状態に陥っており、トランプは日韓英仏だけでなく中国にもホルムズ海峡に艦船の派遣期待する有様なのだ。中国にも参加を促すとは、トランプはもう恥も外聞もなくなっており、米国とイスラエルのイラク攻撃も最終局面に入ったのではないか。

ホルムズ海峡の封鎖によって、原油価格は急騰し、先週末、WTIは98.71ドルへとイラク攻撃前に比べて47.3%も上がり、2022年7月以来3年8カ月ぶりの高値となった。原油高騰と原油輸入減の影響を受ける最大の国は日本。このまま封鎖が長引けば、日本経済が立ち行かなくなる可能性が大きく、円安ドル高が進行している。貿易収支も大幅な赤字となり、このことも円安ドル高要因となる。そして円安ドル高がさらに原油等の円建ての価格を押し上げるという悪循環に陥るだろう。しかし、なんといっても原油が国内に入ってこなければ、備蓄などはすぐになくなり、日本社会は麻痺してしまう。これもすべてトランプとネタニヤフの暴力主義に起因する。米国とイスラエルは暴力と戦争で成り立っている国家なのだ。

米国は民主主義とは程遠い国である。所得・資産格差は世界最大であり、超富裕層と貧者では天国と地獄の差がある。一握りの超富裕層が政治経済を支配し、自分たちの利益になる社会を築き上げてきた。米国では依然ブラック・ボーイを育てることは大変だと言われている。経済格差や人種の違いなど、米国社会は常に戦争状態なのだろう。うかうかしていると命まで失ってしまい兼ねない社会と言える。だから米国にとって、戦争は日常茶飯事なので、特別なことでもなんでもないのだ。嘆かわしいことだが、米国には、力が正義という考えが染みついている。

WTIは昨年末比71.9%も急騰、この水準と原油輸入が持続するとしても年10兆円兆の負担増となるだろう。米国とイスラエルが攻撃を続けることになれば、WTIがどこまで値上がりするかわからない。場合によっては200ドルに達するかもしれない。

WTIの急騰によって、米ガソリン価格もイラク攻撃以降、3月14日までに34.9%、昨年末比では77.8%も値上がりしている。車社会の米国ではガソリンの高騰は生活を直ちに圧迫することになる。WTIはガソリン価格だけでなく、CPIとの相関性が極めて高く、2月には前年比2.4%に落ち着いてきている米CPIは数カ月後には3%、4%台に乗るだろう。CPIが上昇すれば、消費支出は減退し、米国経済の動きは鈍くなるだろう。日本のガソリン価格(レギュラー)は直近、179円を突破、過去2週間で19.8%上昇しており、運輸業などは厳しい経営を強いられることになる。

イラクはペルシャ湾岸諸国の米軍基地や石油施設を報復攻撃しているが、海水淡水化プラントは攻撃対象から外している。ペルシャ湾岸諸国にとっては、水は国家の存亡に関わる資源だからだ。イスラエルも飲料水の多くは淡水化に依存しており、そうした設備の破壊は直ちに生活を直撃する。水はあるが石油はない日本とは真逆の国なのである。だから、イランは淡水化設備の攻撃は控えている。だが、米国とイスラエルの攻撃が継続することになれば、最後は、淡水化プラントの攻撃をはじめるだろう。そうなれば、ペルシャ湾岸諸国では生活が行き詰まり、人は去ってしまい、国は機能不全となり、石油関連施設は停止を余儀なくされる。そして、日本も「砂上の楼閣」となる。軍備の増強にいくら金をつぎ込んだとしても、石油が途絶えるだけで、日本は簡単に崩壊する国なのである。

ペルシャ湾岸諸国が水を確保することができなくなれば、国民はもとより米軍もそこにとどまることはできなくなる。イランの最終目的は水を止め、米軍を湾岸地域から一掃することではないか。淡水化設備の破壊は世界経済の破壊でもある。嘘っぱちの投稿を繰り返し、現実を糊塗しているトランプが、墓穴を掘るまでの時間はわずかだ。

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