企業収益を左右する輸出は9月、前年比-10.3%と4ヵ月連続のマイナスである。対欧州が大幅な減少から抜け出せず、対アジアのマイナスに加えて、対米も0.9%へと鈍化してきた。四半期の7-9月期の対米輸出は32%も増加したが、7-9月期では5%に低下した。だが、7-9月期の米実質GDPは前期比年率2.0%と前期よりも0.7ポイント高くなった。
7-9月期の輸出は前年比8.1%減と2四半期ぶりのマイナスとなった。輸入は0.1%と4四半期連続で低下しており、国内需要の低迷が顕著になってきている。輸出がこれだけ減少すれば、7-9月期の大企業製造業の売上は当初の予想を下回り、厳しいものになるだろう。売上が減少すれば粗利益率が悪化し、収益は相当下振れするのではないか。
7-9月期の米実質GDP伸び率は前期を上回ったが、1-9月期では2011年の1.8%をやや下回っており、10-12月期が弱ければ2011年を下回り、2年連続の伸び率低下となる。GDPの内容も米国経済の好転を示すようなものではなかった。個人消費支出は前期比年率2.0%伸びたが、個人消費支出の3分の2を占めるサービスは0.8%に低下し、1-9月期では1.4%と2011年を0.5ポイント下回っている。
民間設備投資は前期比年率-1.3%と2011年1-3月期以来6四半期ぶりのマイナスと冴えない。9月の非国防資本財受注(航空機除く)は前年比10.0%も落ち込んでおり、10-12月期の民間設備投資はさらに深刻になるだろう。
7-9月期の実質GDPは2.0%増加したが、そのうち0.64%は国防支出によるものである。国防支出は13.0%増と4四半期ぶりのプラスとなり、しかも2009年4-6月期以来13四半期ぶりの高い伸びとなった。国防支出と非国防政府部門を除いた伸び率は1.29%となり、非政府部門の伸び率は3四半期連続で低下した。2011年の非政府部門の成長率は2.47%だが、今年1-9月期はそれよりも0.7ポイント低く、しかも伸び率が鈍化していることは、米民間部門の足取りは依然たどたどしく、いつ失速してもおかしくない状況にあるといえる。