ユーロ高のレールに乗る

投稿者 曽我純, 4月10日 午後8:38, 2011年

福島原発の危機的な状況が続いていることから、原油価格が著しく上昇している。世界的に原発は見直され、原油の需要が増加すると予想されているからだ。先週末の原油価格は3月11日比11.5%上昇し、08年8月以来の高い水準である。原油だけでなく銅(7.5%)や金(3.7%)も値上りしており、S&P500の値上り率(1.8%)を上回っている。大震災による破壊を復旧・復興させるための特需が発生し、需給が逼迫する可能性があるからだ。

米国の株式は高い水準にあり、さらに株式に資金を投入することを見合わせている。ゼロ金利や6,000億ドルの債券買い取りを背景に、投機資金は株式から商品にシフトしている。要は、値上りしそうなシナリオならば、それに飛び乗るというスタンスなのだ。みなが美人とおもう美人のそのまた先の美人…を捜し求めているのが市場なのである。社会的に有益な分野に投資するのではなく、他人を一歩でも出し抜くことに全力を注いでいるといってもよい。

商品市況が高騰しているもうひとつの要因はユーロ高である。原油をはじめ金、銅などはドル建てであるため、ユーロの価値が高くなれば、ユーロの保有者は原油などを買いやすくなる。ドルユーロ相場と原油価格にははっきりした相関が読み取れ、対ドルでユーロが最高値を付けた2008年7月に原油価格も過去最高を更新した。

3月11日から先週末までに円ドル相場は3.4%の円安になったが、ドルユーロはユーロが4.2%高くなった。ECBのトルシェ総裁が3月初めに利上げを示唆してからユーロ圏の長短金利は上昇傾向にあり、こうした金利先高感がユーロ高を招いている。3ヵ月物短期金利はユーロの上昇からユーロドルとの金利差は拡大しており、米独の長期金利は先週末、米が高いもののその差は0.1%まで縮小してきた。

ECBは7日、政策金利を0.25%上げ1.25%としたが、3月のユーロ圏インフレ率は2.6%と前月を0.2ポイント上回り、政策金利を上回っている。ECBはポルトガルなどの金融問題に腐心する一方、インフレにも気配りしなければならない。ユーロ圏だけで17ヵ国もの国のインフレから財政、金融におよぶ難題を片付けることは至難の業である。

 

だが、原油価格等の素原料価格の高騰が、ユーロ圏の期待インフレ率に影響を与えるならば、ECBは政策金利をインフレ率よりも高い水準まで引き上げざるを得なくなる。政策金利の上昇期待がユーロ高を持続させ、そのことが原油価格等の一段の上昇をもたらし、インフレをさらに悪化させる。そうなれば政策金利に引き上げ圧力が掛かり、ユーロ高という流れが強くなるだろう。ユーロ高のレールに乗り込んだようだ。 

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