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青木講演録/自治体が破産するってホント?(4)最終回

:(C)2002HidekazuAoki&YuujiUrasima,:

社会資本の超寿命化

そして社会資本の寿命を耐用年数を超えるくらい長くもたせる。資産価値とは本当はそういうことだと思う。その資産にたいする保有コストより、利用価値のほうが上回るのが資産であって、それが逆だったら資産とは言えない。例えば、昔は山を持っている人は資産家と呼ばれたが、今では山にある木を切り出すコストすら出ないので、山を持っている人は金食い虫を持っているに等しくなった。山の材木がもたらす利益が、木を切り出したり維持したりするコストよりうんと高かったので資産家と言われた。それを社会全体で考えてみる。そのためには、今ある壊れそうなものはできるだけ修理して使い続ける。で、ちょっと利用にそぐわなくなったものは、改良を加えて使う。また別のものとして転用して使い続ける。例えば、先ほどのクリチバでは、治水についてレルネルさんが出る前までは日本と同じようにダムを作ったり、堤防を強化したりハードの治水対策をやっていた。これはお金がかかる割にはあまり効果がないので、じゃどうしようかということになった。じゃ、あふれさせればいい、溢れたときに危険のないように遊水地を作ろうということになった。常にあふれているわけではないので、普段は公園を作ろう。水の近くだから水を利用した公園がいい。河川敷も水が来なければ建物も使い続けることができるから、スポーツセンターにしようか。さっきの簡単、迅速、楽しく、安い、に合っている。

社会機構の主流を3つのREに転換

そういうかたちで社会資本自体を次の「3つのRE」にすることが重要。(1)修復(Repair)=今あるものをできるだけ修理して長く使う。(2)改良(Reform)=今の利用にそぐわなくなったら、改良を加えて長く使う。(3)機能回復(Rehabilitation)=本来そのものが持っている機能を回復させてやる。この機能回復の中には壊すことも含まれる。アメリカも最近はダムを壊し始めている。ダムを作ることもやめた。それはなぜか?ダムがあることによってむしろ資源がむだ使いされている。ダムを無くすとサケも遡上し、流域全体の生態系が豊かになり、漁獲高も上がるし、観光客も来る。ダムを作る前にはそれをやっていた。逆に今、ダムがあることによってそういうことが全部疎外されているから、自然の機能を回復しようという動きが高まっている。そういう考えでやっている。ということで、機能回復という考えには積極的に壊すということも含まれる。こんな考えで社会改良を進めて行く時にどうしてもお金が必要になってくるがその時に今までと同じお金の回し方でいいか?ということになってくる。自分は働かないでお金だけを働かそうという人たちがいっぱい出てきてしまって、お金だけを働かそうとすることが今の財政破綻の原因になっているわけだから、あるいは経済が行き詰まった原因になっているわけだから、こういう社会改良でお金を使うときにはお金はあくまでも流通の手段に押しとどめるような形にしなければいけない。やはり、ゲゼルがいったような消滅貨幣を行政が積極的に導入しながら、なおかつこういう理想を持って未来に向かわなければならないと思う。

過去の知恵に学ぶとき

はっきりいって、日本の経済は江戸時代からあとは破綻の連続だった。日本にもかつては地域通貨があった。藩札なども地域通貨だった。いろんな評価があるが、藩札は仕方無く始めた。太政官札もしかたなくやった。戦後もちゃんと地域通貨があった。沖縄では復帰前には、日本円とドルとB円というのがあった。B円というのは沖縄の中でしか通用しなかった。本土に持って来ても何の価値もないが、沖縄の中では円ともドルとも交換できた。それはなぜかというと、日本の円を沖縄に持ち込むのをうーんと制限されていたから、そういう代替通貨を使っていた。だから、日本では地域通貨なんて使えないというのは嘘なわけで、やろうと思えばできる。今は、日本だけではなく、世界中で使われている。かなり豊かだけど借金では世界で一番無茶苦茶になってる国アルゼンチンでも交換クラブというところでRGTと言う地域通貨が使われている。交換クラブというのは簡単にいうと市場です。その中でだけ通用する金券がある。その金券をやり取りしながら市場の中では物流があるわけです。そういう地域通貨があるものだから、あれだけ滅茶苦茶になっていても大きな暴動が起きない(一部ではあるものの国全体が崩壊しているわけではない)。やっぱりそういう知恵を働かせているわけです。

財政破綻ではヒトは死にはしない

自治体が財政破綻しても私達は死ぬわけには行かないから、いい知恵を働かせて何とかしなければいけないわけです。理想的な社会改革の話をしたが、そういうふうな知恵を使わなければならない時代がもうすぐそこまで来ているということです。最後に非常に具体的な話しをすれば、むしろ、財政再建団体になった方がいいかも知れない。そうなると、自動的に借金ができなくなる。新しい借金ができなくなるのでいろんなものが止まってしまう。みんな覚悟しなければいけない。今のような現状の行政サービスは受けられなくなる。そこで考えて欲しいんです。自分たちにとって今本当に必要な物は何かとは、ということを。これを自分達で決めなくてはいけない。自分達に一番必要な行政サービスを順番付けしないといけない。たとえば、すごいお金持ちの高齢者にまで無料パスを配るとかはやめましょうよとか。いままではばらまきで行政サービスを受けていただけだから。あれもこれもではなく、あれかこれかの優先順位をどういうふうに決めていくか。それが真剣に自分たちの生活や行政の在り方を決めるきっかけにもなるわけだから、悪いことでも何でもない。もう一つは過度に行政に頼らなくなることにもなるので、市民の自立性がでてくる。

財政再建団体のすすめ

福岡県に赤池町という町があるが、今年の3月でめでたく財政再建団体から抜け出した。かわいそうなのは、まだバブルの余韻があるときに財政再建団体に転落した。だから、いい思いは全然してない、俺たちのところだけいつも不景気だったというくらい。でもそこで住民が自分たちでできることは自分たちでするようになったようだ。でもやはり悲惨は悲惨。小学校のトイレが壊れても3年間直せない。財政再建団体あけに何が一番したいか町長に聞いたら、小学校のトイレ直したいと答えた。そのくらいの苦しみを味わわなければならないが、過剰なサービスを期待することが無くなり、また、何処が過剰なのかがそれによってはじめてわかるはずで、今のままでのんべんだらりと行政サービスを受けていると過剰さすらも自覚できない。ただし、もし、再建団体になったら、市民みずからが原因を徹底的に追及しなければならない。原因がないのに再建団体になることはない。さっきみたように5%のところはつつましやかに健全にやっている。こういうところがあるわけだから、そこを見習うこともできる。ともかく、財政破綻が起こったとしてもそんなに慌てる必要はない。おそらくそれは来るということを頭の中に置きながら、じゃあ、それから次はどうしようかと考えた方がよほど建設的であるし、未来に向かえると思う。どうもありがとうございました。(拍手)

質問1)ヴェルグルの労働証明書のような公債を日本の地方自治体が独自に発行することは現状の法律の範囲内で可能か?また、新たな立法が必要か?

答え)利率ゼロまでの公債なら交付公債の形でも発行可能と思う。ただしそれは給料や請負代金など半強制的なものでないと受け取らないだろう。マイナスの金利を付けられるかどうかは未知数。何せ前例がないから。ただまさに(持ち越し費用がかかる)地域通貨として別組織が発行することにして、そこから自治体が買い上げるという方法は考えられる。そのとき自治体は出資を利率ゼロの公債で行えば、効果としては減価公債を発行したときと同じことになる。ヴェルグルもじつはこういうやり方をした。それから新しい立法を考える前に現行法制度の枠内で精一杯出来ることに知恵を絞り、それでもダメなら法制度を変えるというスタンスがいいのではないか。もっとも本当に切羽詰まれば、法律なんてそっち退けでなんでもやるようになるだろう。アルゼンチンが良い例だ。

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