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地域通貨でできること が、どうして通常通貨ではできないのか。

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地域通貨でできること が、どうして通常通貨ではできないのか。

Morino,Eiichi 現実にそれがないわけですが、なぜ存在していないのでしょうか。
なぜ本位貨幣ではできないのでしょうか。
ひとの愛が足りないのか、 こころが曲がっているからか、いやひとをしてそのようにさせるシ ステムで成立しているからだと考えています。
もちろん、本位貨幣 を地域通貨の性格をもつような(ゼロ利子ないしマイナス利子)もの にする通貨政策はあります(マクロ・ゲゼル主義)。
しかし、それに は長い政治的なプロセスが必要です。
現行の貨幣システムでなぜ利子がゼロにならないかを考えてみて ください。
以前利子率の2階建ての構造をいいました。
1階部分は 貨幣のもつ流動性のプレミアムです。
貨幣はなんとでも交換できる 力を私たちが付与しているので、誰でもがこれを欲しがり、それを 持っているものが貸し付けることで、その流動性、交換可能性の 放棄に代償を与えています。
流動性の代価です。
それ故、現行の 貨幣には銭権が成立することになります。
カネをもっているものは 強いのです。
歴史的にこの1階部分は4から5%の水準で決まって きました。
これが貨幣に対する需要が減少した場合でも利子がゼ ロにならない理由と考えています。
しかし利子率はこれだけでは 決まりません。
貨幣には人為的な希少性が成立する可能性が常に 存在します。
モノの価格も人為的にその供給が切り下げられると 引き上げられます。
それと同様です。
お金を都合つけるときの価格 つまり利子ですが、お金を欲しているひとが多いのにその供給が 制限されていれば価格は上昇します。
商工ローンの年利が40% なんていうのは、お金の供給が限られているから成り立ちます。
いま日本のGDPは98年の第4四半期で474.5兆円と95年の 同期以来の低水準を示していますが、この金額は国民が生産 したモノの売れた金額でもあります。
つまり代金としてのお金が 取引を実現しているわけです。
ところで、いまいわれるような通常 通貨は市中にいくら出回っていますでしょうか。
つまり簡単にいっ て日銀が刷ったお札といってもいいです。
50兆円に足りません。
同じお札が何回も使われた(貨幣の流通速度)のでしょうか。
い いえ、貨幣の流通速度V(マネー・サプライをベース・マネーで除 したもの)は、99年の第1四半期、2を若干超える数値を示しま したが、99第4四半期には1にまで落ちています。
どうみても お金が足りませんよね。
しかし474兆円分の取引は存在した のです。
足りない分は金融機関が信用創造というかたちでお金 を作りだしているわけです。
こうしたソフトマネーは貸し借りによっ て作り出されます。
ということは、これには当然プラスの利子が つきます。
千円札は明日までもっていても千円です。
そうした 意味でゼロ利子です。
しかし千円の債務は時間がたてばプラス の利子を支払わなくてはなりませんでしょう。
お札の50兆円が 2回使われたとしましょう。
50*2で100兆円、474兆から 100兆を引いて374兆円、これは金融システムが水道の 蛇口を開けたり閉めたりするような力をふるえる(これまた 銭の権)お金であり、蛇口のゆるめ具合を決めるのは利子率 の2階の部分、つまりお金が希少であることの代価なわけです。
ではこうした金融システムをどうやって変えましょうか。
わたしは 基本的には、信用創造を制限し、社会の生産に見合ったお金 を国が発行すべきだと考えていますが、それにういての詳細な 議論をひろめていくしかないのが現状です。
では、なにもすることはないのでしょうか。
地域通貨です。
地域通貨は住民自らがそのイニシアティブで 始められます。
自分たちでお金を作ります。
金融機関が握って いた貨幣供給人為的コントロールという銭権の支配を受けま せん。
ですから、ゼロ利子やマイナス利子も実現できます。
つまり地域通貨のなかでは、取引に必要なときにお金は生ま れ(胎化)、プラスポイント、マイナスポイントが清算されるとき にお金は死にます(不胎化)。
お金はもはやプラスの利子があ るシステムにおけるように生産活動に対する支配権を失い、 交換の役に立つだけのもととなります。
こうした地域通貨の原理を国レベル、国際的なレベルでも実行 することは可能です。
しかし、それに至る道筋に私たちがたてる のは、地域で、分権的に、そして自主的に、自分たちのイニシア ティブでいまの本位貨幣とは違った貨幣による関係を作りあげて いくことによってだろうと思います。
かつてマルクス主義者は私たちにパラダイスを約束しました。
そしてその理想にいたるには政治権力を掌握して専制的な 独裁が必要と説きました。
すべてが政治権力のために捧げら れるべきだとしたのです。
しかし地域通貨はそんなことはいい ません。
地域通貨は万能の解決策だなどとも、思い上がって はいません。
ただ地域通貨が力を付けるほどに、その程度に 応じて現行の貨幣のシステムのなかでの問題が確実に解決 されていくのではないかと考えています。
たしかにいまは微弱 な取り組みです。
当然、それがもたらす「解決」といったって たかがしれています。
しかし、目的に向かった途上にいます。
一緒にはじめませんか。
通常の通貨をどうすべきなのかも、その地域通貨の途上の なかで提起されるべきと考えています。

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