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地域通貨をもし、いざ実施と言う段階で、なにか 法的な規制が日本にはトウゼンあるのでしょうね。

:: Morino,Eiichi

[gesell 203] RE 法的規制の件

このへんが問題ですね。実は私自身、法律のほうはあまり 詳しく調べていません。

基本的な問題はいくつかありますが、 ひとつは、地域通貨がどう法的に解釈されるか、です。 日本は、貨幣に関してはかなり厳しい法律があります ので・・ しかし、地域通貨は、円貨ではありません。ですからこの点で 「おもちゃ」の通貨なんで問題ないでしょうとなる可能性があり ますね。

それから、地域通貨の貨幣としての性格ですが、これは無担保 の、その意味でなんらの有価証券にも該当しないはずです。つま り、なにかの価値物を表象しているわけではないのです。そうした 意味では円やドルと同様、発行主体が発行した債務証書(といっ ても、不換紙幣ですから、この債務が弁済される可能性はない) にすぎません。しかし、解釈でどうなるか議論にはなる可能性が あります。とすると有価証券に関する法律をみてみないといけな いかもしれません。

ようするに、地域の信頼だけが頼りのfiat moneyとして発行される わけですが、とすると、マグドナルドや手抜き美容室が街角で配る 「クーポン券」や「割引券」と、「法的には」同じなのかどうか、また、 その当初の流通圏域の限定性を当局がどう考えてくださるか・・・ 地域通貨は交換の輪のなかにいるひとにとっては「価値物」で紙 券に印刷した場合は「有価証券」ですが、輪の外のひとにとっては 「おもちゃ」で、無意味な書き付けのある紙切れです。それは火星 人にとってドルが紙切れであるのと同じです。

しかし、その輪が小さいうちはいいですが、法的にどう当局が考えて くださるか、協議が必要になってくるはずです。 そして法的な次元ばかりでなく、国から考えると、円を補完する通貨 があちこちの自治体でやられたら、これを果たしてどう考えるか、が 当然問題になってきます。地域を振興させ、地場に仕事と産業を生む のに有効な手段として、ニュージーランドやオーストラリアのように、 支援してくれるものか、それとも、あくまで、そうした課題は国家レベル でやるべきだといって、かつてルーズベルトは地域通貨を禁止し、国家 規模のスペンディング政策(ニューディール政策)を採用しましたが、そ うなってしまうかもしれません。しかし、そーした政策はバブル崩壊以降 莫大なカネを投じてやってきているわけで、それで効果が十分でないの は皆よく承知しているところですし・・

そしていちばん、当局、それも課税当局と問題になるのは、消費に税を負 担させている国で問題になる、課税回避の問題です。カナダでも3年前ほ ど前、私がLetsのMLに入った頃ですが、消費にかかる税をどうするかが 問題になっていました。結局は課税当局と友好的な協議がことを解決する としかいえません。最近、地域通貨が課税回避のよい手段だと触れ回って いるひとがいるようですが、それはこうした取組にとってマイナスだと思いま す。スイスのWIR(ヴィア銀行)のように、本位貨幣(スイスフラン)と地域通貨 (ヴィア)の両建てで取引が行われるケースでは、消費税様の当地の税は、 内税として、スイスフランのほうで負担されている格好になっています。 例えば。フラン、ヴィア、それぞれ50%、50%で代金が支払われる場合、 フラン50%分のほうに内税で消費にかかる税が入りこんでいるという処理 です。しかしこの場合、税額の計算のさい、フラン建て50%分にたいして税 が計算されるのか、フラン建て50%、ヴィア建て50%、トータル100%の数字 に対して税が計算されるのか、まだ調べがついていません。

とにかく、地域通貨がうまくいけばいくほど、課税回避の可能性が与えられ ます。しかしそのへんをクローズアップすると、地域通貨の本来の狙いである、 地場の活性化をはかり、職を創造し、地域を再建するという目的がぼけてし まいます。そうした意味でも、課税当局との協議が必要と思います。そしてそれ は実際に取組が始まるなかで具体的に協議のなかで解決されていくべき性質 の問題ではないかと考えています。

税の問題などについては、わたし自身外国の具体的処理の仕方など十分に 調べがついていません。わたなべさまが英国に調査にいかれましたら、このへん を詳しく聞いてきていただけると助かります。取組をはじめようとしている方々ばか りか、行政当局にも役立つはずです。

[gesell 205] 法的規制-補足

森野です。 下記のように書きましたが、紙券について若干補足します。

>地域通貨は交換の輪のなかにいるひとにとっては「価値物」で紙 >券に印刷した場合は「有価証券」ですが、輪の外のひとにとっては >「おもちゃ」で、無意味な書き付けのある紙切れです。それは火星 >人にとってドルが紙切れであるのと同じです。

地域通貨のような交換経済が紙券を使う場合は、紙券 使用に伴う独自の事情が発生します。例えば、ある地域 通貨なんか認めないひとが、路上で地域通貨の紙券を 拾った。そのひとは、これを受け入れてくれる店にいって この紙券を使って買い物をした・・と。いま電子決済 方式の地域通貨がありますが、紙券を使うことで実現でき ていることに、保有者をもって所有者と推定すること、紙券 が信用を表現し、紙券の保有者自体の信用が問われたり、 保有者自身の情報の譲渡が要求されない、ことなどがあり、 これは通常の通貨でも同じです。そこで、紙券を使う場合は 購入しうるモノが地域通貨の参加者の輪の規模で制約される という点で通常の法定通貨との相違があるといえます。火星 人もドルを持っていれば、地球上で買い物ができますが、地球 以外の商店にしかないものは購入できない、そういう制約です。 ただ、そーいう地域通貨を受容する人に対しては請求権が成 立し、別のそれを受容しないひとに対しては請求権をもたない 通貨が、法律関係者にどう解釈されるか、です。法定通貨は このへんを法律で強制通用させるようにしているわけですが。

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