株主の権利

株主は部分的ではあっても株式会社の所有者ですから、会社でいちばん強い権限を もっています。株主総会が株式会社の最高意思決定機関で、株式会社を経営し、運営 する取締役や会社の業務に不正がないかどうか監査する監査役を任命します。また会 社があげた利益の処分を決定します。  株主総会の議決は多数決で決まりますが、株主一人一票で投票して決まるわけでは なく、株数に応じて決定されます。ですから会社の株式を多数保有する大株主は経営 陣を自分の意思で決定できるわけです。このことは株主の権利の基本が経営に参加す る権利にあることを示しています。  また、株式は持ち分に応じた会社の所有権を表します。その所有権の対象には会社 が保有する有形固定資産である土地や設備、さらには無形の資産である営業権など会 社資産すべてが含まれます。そこで、株主は不幸にも会社運営が失敗し解散となった 場合には負債を返済した後の残余財産分配請求の権利をもっています。  株主にとって関心の高い権利に、会社の利益を配当として受ける権利があります。 これは決算して算出した税引後利益の一定割合(配当性行)を配当として受け取る権 利です。投資家は配当総額を発行済み株式数で割った額(一株当たり配当)を投資の 目安の一つにします。株式市場で、多くの投資家が会社を判断するさい、会社がどれ くらいの資産をもつか(残余財産分配請求がどれだけできるか)、どれくらい利益を 配当する力量があるか(利益配当請求権)が重視されます。そして投資家は他の投資 家たちがどのように判断し株価がどう動くかを自分なりに予測し、株式を買ったり 売ったりするわけです。  貯蓄された資金は会社の部分的な所有権を入手することに使われ、社会にとって有 用な使われ方をします。投資家は投資を通して社会に参加しているわけです。なぜな ら株式会社は広く社会から資金を集め経済社会を支えているからです。貯蓄された資 産を株式市場で取引され、価値が変動する株式に変えて、値上がり益を求めるばかり が株式購入ではないことは心得ておくべき大事なことでしょう。 Morino,Eiichi

株式市場

 一般に市場ではモノやサービスを売り買いします。株式市場は当然、株式を売買し ますが、株式とはなんでしょう。株式は有価証券の一部です。価値のある証券ですか ら、価値物の所有権を表している紙で、権利や所有権を表象しているわけです。この 証書は表す価値額が大きいとき小口化した証券に分割されます。これも有価証券で す。小口化されると売買しやすくなり、証券の流動性が高くなります。これは証券保 有者にすれば、現金が必要なときにいつでも換金できることを意味します。市場があ ることで証券はきわめて現金に近い性格をもつわけです。  株式も会社の持ち分、つまり株式会社の所有権を小口化した証券で、市場で売買さ れます。多くの市場参加者が株式を売買していますから、価格が形作られ、値段は 日々、変動します。人は売り買いを通して値上がり益を得たり損失を被ったりしま す。投資家は投資の一手法として株式を購入しますが、基本は株式を発行している会 社の所有権を一部分購入し、会社の部分的な持ち主になっているわけです。 Morino,Eiichi

信用取引

信用取引は6ヶ月以内に反対売買で決済する必要がある。買いより売りが先にくるわ けで、必ず期限内に買い戻さなければならない。信用取引の売り方が一気に買い戻す ことで上昇する相場を踏み上げ相場と呼んでいる。 Morino,Eiichi

ハード・カレンシー(Hard Currency)

この表現は、昔、金本位制が採用されていたころ、保有していても、いつでも自由 に、ハードな(Hard 堅い)金属つまり金に変換可能な通貨をさしていました。今日 では一般に額面価額の通りに受け入れられる健全な通貨を指す表現となっています。 Morino,Eiichi

変動相場制 floating exchange

外国為替市場において自由な値指しと言い値によって決定される比率で、ある通貨と 別の通貨とが交換されるシステムをいいます。1972年以来、ほとんどの国民通貨 がこの体制のもとに置かれています。 Morino,Eiichi

抵当

英語ではモーゲージといいますが、この言葉はフランス語に由来しmortは死、gageは ギャンブルを意味します。財産を抵当に入れて借り入れることは死のギャンブルを意 味していたわけです。銀行は融資をすることで新規に貨幣を供給しますが、生産者は 生産コストを賄うために貨幣(元本)を借り入れることでギャンブルを強いられるわ けです。製品の販売を通して元本(P)と利子(I)を回収しなければなりませんか ら、販売額は膨らみます。なぜならP+I分の財の総価格は、消費者はPの分だけの使い うる貨幣しかもっていないのですから、決して全部売れることで実現されるわけであ りません。財のうちの最小限の額が売れ残らざるを得ないし、少数の生産者は破産 し、差し押さえの危機に直面せざるをえないのです。ケインズはこの「死のギャンブ ル」を椅子取りゲームにたとえています。全員には足りない椅子を巡って、音楽にあ わせデス・ギャンブルの生き残りゲームが展開されるわけです。ちょうどそれと同じ ように、世の中には、P+Iを賄うのに足りない貨幣しかなく、デス・ギャンブルが行 われるのです。生き残れる可能性は常に利子率によって決定されています。 Morino,Eiichi

計算単位 unit of account

多くの貨幣システムにおいて貨幣の諸機能の一つです。この単位を使って価値が計算 され、比較されます。例えば、豚肉が1グラム当たり3円で、りんごが1グラム当た り2円であるとすると、ここで共通の単位、円で二つの品物の価格や価値を容易に比 較することができます。 Morino,Eiichi

価値の保蔵 store of value

貨幣は価値の保蔵つまり価値を蓄積する方法としても使用することができます。しか し歴史的にみると、貨幣を価値の保蔵手段として使用しなかった多くの事例が存在し ます。産業社会以前には、主要な価値の保蔵手段は土地と土地の改良でしたし、ま た、家畜でした。今日、人は、時の経過のなかで価値を維持したり、あるいは増やそ うとして資産を株式に投資したりして、価値を維持しようとします。貨幣を価値の保 蔵手段として利用することには社会的なコストが発生します。なぜなら、他の人々の 取引を不可能にしてしまうからです。人々をして価値の保蔵手段としてではなく、た だ交換の媒介物として貨幣を利用するように促すには、貨幣保有に持ち越し税を課す 方法などがあります。 Morino,Eiichi

貨幣の流通速度 velocity of money

1930年代に米国の経済学者アーヴィング・フィッシャーが作った用語で、通貨が 流通する速度を指します。例えば額面1000円の紙券が月に50回流通するとする と、このことは1000円券が月に50回取引されることで、総計5万円の取引を発 生させたことになります。ふつう貨幣の数量方程式でVで表されます。 Morino,Eiichi