ドバイショックで円は対ドルで急騰、一時、84円台まで上昇した。なぜこれほどまでに投機資金は円に向うのだろうか。日本経済の回復期待感が欧米よりも強いのであれば納得できるが、日本に対する期待が低いにもかかわらず、円が買われるという奇妙な現象が起こっている。日本企業の収益力は著しく低下しているし、地価の下落率も拡大するなど円の魅力は乏しい。それでも円が強くなる、その仕組みを抉りだそう。
ドバイの問題は限定的だと考えられるが、米国をはじめ欧州でも、デフレにより負債者の負担は増し、ドバイのような問題を抱えていることが、通貨価値に影響していると考えられる。米主要10都市の住宅価格は9月まで5ヵ月連続で上昇しているが、米金融機関の不良債権・貸出比率は9月末、4.9%と1983年以降最悪となり、金融機関の破綻も増え続けている。新たな金融危機のリスクが投機家の脳裏に浮かんだことも、ドル離れに走らせたのではないか。PDFを読む 週刊マーケットレター(091130).pdf