米政策金利は容易に引き上げることはできない
住宅指標が改善傾向を示したことにより、NYダウは年初来高値を更新した。新車の買
い替え補助制度を24日で終了することや住宅ローンの延滞率、差し押さえ率の上昇とい
った悪材料を脇に置いたまま、米株式市場は強気ムードに包まれている。株式相場は強気
が支配しているが、対円・ユーロでドルは弱含みとなっており、対円では一時93円台の
円高ドル安を付けた。各種世論調査が民主党の圧勝を報じ、予算配分が家計を潤すことに
よる消費の回復期待、日米の短期金利が限りなく接近、今週は日米逆転し、円高ドル安に
弾みをつけるといった思惑が為替相場に影響しているようだ。PDFを読む
楽観できない日米経済
FRBによれば「米経済活動は横ばいになっている」ようだが、昨年10月以降の政府の
金融安定化法と景気対策への依存度が高く、民間部門が自律的に下げ止まっているわけで
はない。住宅部門や金融部門は依然厳しい状況下にあり、不良資産処理が進み、金の流れ
がスムーズになったともいえない。昨年10月からの09年度の財政赤字は10ヵ月で1兆
2,669億ドルと過去最大となり、こうした政府の財政支出によって最悪期は過ぎたようだ
が、政府の補給がなくなれば、再び足元がぐらついてくるという不安は残る。PDFを読む
日米の景気格差により円安ドル高の動きが強まる
7月の米雇用統計の発表により、米株式とドルは買われ、米債は売られた。米景気悪化
のテンポは緩やかになってきたが、短期金利は下がり続けている。米債は売られ、利回り
は大幅に上昇したが、TB3ヵ月物のレートはほとんど変わらず、超低金利で推移している。
米景気が本当に底打ちする兆しを示せば、短期金利は急上昇するはずだが、そうした変化
が見えないことは、先行きの景気について、市場参加者は慎重にみているようだ。PDFを読む
実体経済から掛け離れた日本の株式市場
週末値で日経平均株価が1万円を回復するのは6月第2週以来、7週間ぶりである。7
月第4週、外人は日本株を3,742億円買い越したが、先週もその流れは続いたと考えられ
る。依然、日本株の動向を支配しているのは外人だ。米株式の反発や新興国市場の回復、
米金融機関が曲がりなりにも収益を上げたことなどが、外人の日本株買い増しに繋がった
のだろう。ただ、日経平均株価の予想株価収益率は40倍を越えているため、日本株保有
リスクは非常に高くなっているといえる。6月の東証1部の売買回転率は年率193%と昨
年10月以来となり、市場の投機性は強まっており、株式の流通市場は異常な様相を呈し
ている。景気や企業業績の楽観的な見方も株式を支えているが、商いがそれほど落ち込ま
ないのは、主要国がゼロないしそれに近い金融政策を継続しているからだ。そのため、一
部の余剰資金保有者が短期利鞘を求めて、頻繁に売買を繰り返しているのだ。PDFを読む