借りたお金(元本:がんぽん)には利息が付きます。月利といえば、1か月借りた ときいくら利息が付くか、年利といえば1年間借りたときどれくらい利息がつくかを 示していますね。複利というのは、利息の元本への組み入れという考えに基づいてま す(単利はこの組み入れをしません)。 1000円を年利10%で貸し付けたとします。第一年の終わりに単利で100円 つきますね。そこで、第二年の始まりには、当初資金が1100円になるというわけ です。第二年の終わりに単利で計算しますと、利率は10%ですから、利息分は11 0円ですね。これが元本に組み入れられますから、第三年の始まりには資金額は12 10円となります。 同様にして、1210円+121円=1321円、 1321円+132.1円=1453.1円・・・・ つまり、
第一年 第二年 第三年 第四年 ・・・・・
1100 1210 1321 1453.1
(単利の場合は)
1000+1000*10*3/100=1300円 (ここで*は掛けるの意味、/は割るの意味です) つまり複利の基本は毎年の利子の元本組み入れにあるわけです。 そこで
C を円で表現した貸付額
n を貸付期間で、年で表現する
i を一年間の円でみた利子率(例えば、年利8%はi = 0.08)
そうすると(^は続く文字が上付き添え字、_は下付添え字の意味です)
年 年初資本額 年利 年末の年利分の元本 組み入れ後の価額
1 C Ci C+Ci
2 C(1+i) C(1+i)i C(1+i) + C(1+i)i = C(1+i)^2
3 C(1+i)^2 C(1+i)^2i C(1+i)^2 + C(1+i)^2i = C(1+i)^3
n-1 C(1+i)^n-2 C(1+i)^n-2 i C(1+i)^n-2 + C(1+i)^n-2 i = C(1+i)^n-1
n C(1+i)^n-1 C(1+i)^n-1 i C(1+i)^n-1 + C(1+i)^n-1 i = C(1+i)^n
したがって複利で貸付けた額Cのn年後の価額C_nは
C_n = C(1+i)^n
ということになるわけです。
ところでここに4点ほど注目すべきことがあります。 1、複利での利付き貸付でカネがどれだけ増えるかC_n = C(1 + i)^nで表しました が、これ年利で考えてました。もちろん年利以外もあります。 例えば月利なら、毎月末に、利息の元本組み込み(利子の資本への合体)が起こり ます。借金はすごい勢いで増えていきます。 2、上記右辺は幾何級数的に増加する。 3、利子も年々、幾何級数的に増加する。 4、貸し付けることで手に入った価値は C_n – C = C[(1 + i)^n – 1]で、これが利子総額です。 利息が元本に組み入れられていく仕組みとは借り入れた者からみると実に過酷で す。複利の計算でいかに利息部分がふくらむか考えてみてください。これは私たちの 社会で実際に立っている計算なのです。 えっ、こういう式は難しいですか。では、実際の計算練習をしてみましょう。 <問題>5万円を年利9%複利で7年間貸し付けたとすると7年後にいくらカネがは いるか・・・
C_7 = 50000 * (1 + 0.09)^7
= 50000 * 1.09^7
= 50000 *1828039 = 91401.95
やりましたね。9万円を超えました。
でも、ここで、91401.95 – 50000.00 = 41401.95の41401.95円は社会から取り去ら れているんです。つまりだれかが負担させられてます。C_nのnを50年とか100年 にしてみてください。手で計算しないでくださいよ、日が暮れてしまいます。利息と いうものが社会にどれだけ負担を与えているかがわかります。私たちの社会は、誰か が苦労して作りだした値打ちが、利息というかたちで、お金を持っている人の懐に 入っていってしまう仕組みになっていることにも注意しておきたいものです。 Morino,Eiichi