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貨幣システムとエントロピー(1)

:: Morino,Eiichi

貨幣システムとエントロピー(1)
マリオ・セッカレッチアの、ゲゼル理論の基本的性格を明らかにしている、下記のような論文を訳していますので、少しずつ紹介します。
貨幣システムとエントロピー(1) われわれがいま探求しようとしている貨幣理論における、こうした決定的な観念は物理諸科学から19世紀のエネルギー論の潮流を経由して直接に流出してきたもので、空間と時間とエネルギーの概念を巡るあらゆる科学の統一という見通しを伴っていた。
疑いもなく、古典派的及び新古典派的な経済学はニュートン力学を範例としてその理論を定式化しようと考えた(ヒシー及びユー、1991年参照)。
しかし、ミロウスキーが(1998:11-30;1989;chapter5)示したように、新古典派経済学もまた、暗黙のうちに、経済行動の静的均衡モデルのなかに(熱力学第一法則に適合する)いくつかの形でのエネルギー恒存の原理の仮説をとおして、エネルギー論の潮流の考え方を吸収してきてさえいる。
それどころか、その他の、社会的エネルギー論の潮流に属するより「ダイナミックな」経済思想家たちは熱力学のクラシウスの第二法則あるいはエントロピー法則を適用しようと考えた。
この法則は、閉鎖系において、統制を受けない状態へ向かう持続的で不可逆的な傾向が存在すること、あるいは、利用可能なエネルギーが限界を越えた、利用しえないエネルギーへと拡散し、そしてそれゆえ、物質にとってカオスへと向かう傾向が存在するとするものである。
時間それ自体でさえ概念的には自然における進行する不可逆的なエントロピーのプロセスの存在とからみあっている。
したがって、(資本と利子の理論モデルのような)時間の経過を認めうる経済システムの動的モデルはまた同時に、現実世界の実際的なモデルを提供するためにはエントロピーの効果を考慮しなければならない。
ゲオルゲスク-レーゲンがくり返し述べているように(1971:11)生命それ自体や人類の存続は環境から利用しうるエネルギーを獲得し、蓄積することで、この法則を回避しようと試みる切りのないプロセスにすぎず、またそうすることで、自然のなかで進行する特定のエントロピー的なプロセスを蓄積するだけのものにすぎない。

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