2010年5月 Archives

次回のゲゼル研究会・講演会について、会場が変更となりましたので、ご連絡させていただきます。

変更点:

現:専修大学神田キャンパス・2号館2階 208教室
新:専修大学神田キャンパス・1号館4階 ゼミ44教室

講演会次第は下記です。

「支え合いの仕組みから考える持続可能なコミュニティ」

ながらくコミュニティの紐帯を新たに作り出すためにタイムバンク導入を推進さ
れてきたヘロン久保田さんをお招きして、持続可能なコミュニティ構築のための
仕組みについて考えていきたいと思います。


  ■日 時  6月12日(土)14:00〜17:30(開場13:45)
  ■会 場  専修大学神田キャンパス・1号館4階 ゼミ44教室
         千代田区神田神保町3-8
         地下鉄九段下駅 出口5より徒歩3分、
         神保町駅出口A2より徒歩3分、
         JR水道橋駅西口より徒歩7分
    地図 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html
    構内 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06b.html

  ■講 演   ヘロン久保田雅子さん「お金で買えない貴重な時間:時代を変
        えるためのタイムバンク」(60分)
        村山和彦さん「都市計画のツールとしての"ピーナッ
        ツ"」(40分)
        森野 榮一さん「持続可能なコミュニティとは?」(40分)

  ■参加費  資料代として700円
  ■主  催  ゲゼル研究会( http://www.grsj.org/ )
  ■問合せ  泉留維まで
        メール rui.izumi at gmail.com (atを@に変更してメール
をお送りください)
  ※どなたでもご参加いただけます。
  小規模な部屋で開催を予定していますので、参加される方はメールでご一
報いただけると助かります。なお、講演会終了後の懇親会に参加される方は、で
きるかぎり事前にメールでご連絡ください。



【講師プロフィール】

ヘロン久保田雅子

米国タイムバンク・エリア代表、フロリダ・インターナショナル・大学(FIU)、
講師。著書は、『この世の中に役に立たない人はいない』(創風社 2002)、
『お金で買えない貴重な時間』(Time Banks USA  2010)など多数。1990年代初
めより、コミュニティにおける新たな相互扶助構築のためにタイムバンク導入を
推進している。


村山和彦

(株)みんなのまち代表取締役社長、都市計画・まちづくりコンサルタント。著書
は、『地域通貨の可能性−「ピーナッツ実践報告」』(千葉まちづくりサポート
センター、2001)など多数。地域通貨ピーナッツの生みの親であり、コミュニ
ティービジネスとしての地域通貨導入を推進している。


森野 榮一

経済評論家、ゲゼル研究会代表。WAT清算システム会員。著書、論文は『消
費税完璧マニュアル』『商店・小売店のための消費税対策』(ぱる出版)、『エ
ンデの遺言』、『エンデの警鐘』(共著、NHK出版)、『なるほど地域通貨ナビ』
(編著、北斗出版) など多数。1999年、NHK BS1特集「エンデの遺
言」の番組制作に参加・監修。その後、町づくりのアドバイスや地域通貨の普及
活動に努めている。

曽我 純:

日経平均株価は2週連続9,000円台で引けた。4月末と比較すると11.7%も下落しており、ギリシャ問題で揺れた欧州のFTSE100(-6.6%)やDAX(-3.1%)をはるかに上回る下げとなっている。NYダウの下落率は7.9%と欧州よりも大きく、震源地の株式が最も軽いとは意外な感じがする。

日本の株価の下げがきついのは、日本の株式市場の担い手が外人だからだ。東証1部の委託に占める外人の比率は4月の58.8%から5月第3週には67.1%に上昇しており、日本の株価はまさに外人次第という様相を強めている。株価は下落しているが、円高ユーロ安が急速に進行しており、ユーロベースでは円高の恩恵を受けていることも、欧州の機関投資家の売りを加速させているのかもしれない。

実体面では、ユーロは対ドルでも約4年ぶりの安値となっているため、欧州の輸出は大幅に伸びるだろう。輸出主導の景気回復期待などにより、ドイツなどの株式の下落率は小幅にとどまっている。

週末のドイツ国債との利回り格差は、ギリシャが5.0%と5月初めの10%超に比べれば大幅に縮小したが、その後は5%前後で推移している。スペインやポルトガルは1.5%、2.0%とギリシャに比べればスプレッドは小さいが、やや開き気味であり、問題国の国債保有リスクは引き続き高いといえる。過去の金融史を振り返ってみても、スプレッドの大きい国債は債務不履行に陥る場合もあり、そうした国の国債処分売りは続くだろう。さらにリスクのある資産も流動性の高い安全なものに変えたいという立場から日本株も処分されている。

ユーロ圏の各国は財政赤字削減を打ち出しており、経済成長率は鈍る見通しである。ユーロ圏の中心を占めるドイツの国債利回りは2.6%台に低下しており、米国発の金融危機が引き起こした急速な利回り低下の時期を下回り、過去最低の状態にある。債務不履行リスクのある国債から安全な国債へのシフトだけでなく、ドイツの経済成長率の低下見通しも、ドイツ国債の利回り低下に関係しているように思う。


欧州機関投資家による日本株売りは円高ユーロ安だけでなく、日本経済の脆弱性もその原因に挙げられる。1-3月期のGDP速報値(5月20日発表)によると、名目GDPは前期比+1.2%と2000年1-3月期以来10年ぶりの高い伸びとなった。だが、発表当日の株価は下落し、その翌日には1万円を割り込んでしまった。同期の名目GDPが前期比1.0%の米国よりも高い成長となったが、まったく評価されなかった。

なぜなら成長の中身が自律的成長とは程遠く、成長の展望も描けないからである。名目GDPは2四半期連続の前期比増で、前年同期は上回ったものの、2年前との比較では6.8%下回っている。主力の民間最終消費支出は前期比0.1%と低迷し、設備投資は1.3%伸びたものの、寄与度は0.2%に過ぎず、成長を引き上げたのは輸出と民間在庫品であり、寄与度はそれぞれ1.3%、0.5%である。政策の後押しがあったにもかかわらず、最終消費が伸びなければ、これからも消費はほとんど期待できないと考えておいたほうがよい。消費が振るわなければ、設備投資も現状維持にとどまり、結局のところ、日本経済は輸出の動向に左右されることになる。輸出が拡大していれば、なんとか景気は浮上するけれども、輸出が縮小すれば、たちどころに沈んでしまう経済なのである。

09年度の名目GDPは3.7%減の475.8兆円と1991年度以来18年ぶりの低い水準に落ち込んだ。08年度に次ぐ過去2番目のマイナス成長であり、2年間で39.8兆円も経済規模が縮小してしまった。因みに米国は暦年ベースだが、09年の名目は1.3%減少しただけである。日本のほうが米国の約3倍の規模で落ち込んだのは、日本の消費不振とウエイトの大きい設備投資の大幅減が効いた。米国は消費のウエイトが7割を超えているが、0.4%の減少にとどまったことが大幅な落ち込みを防いだといえる。

4月の失業率は前月比+0.1ポイント上昇の5.1%と2ヵ月続けて前月を上回った。男は0.1ポイント低下したが5.5%と依然高く、女は0.4ポイント上昇の4.7%と昨年12月以来の水準だ。有効求人倍率も0.48倍、前月比0.01ポイント低下し、雇用環境はやや悪化した。失業率の上昇などから、耐久財や半耐久財の消費が大幅に減少し、4月の家計消費支出は前年比2.1%減と2ヵ月ぶりに前年を下回った。消費水準指数(季節調整値)も前月比5.8%も減少し、4-6月期のGDPは反落しそうである。

公立高校学校の授業料無償化等の影響から消費者物価指数(生鮮食品を除く)は4月、前年比1.5%低下し、昨年11月以来の下落率になった。食料・エネルギーを除くは1.6%減と過去最高を更新した。1-3月期のGDPデフレーターは前年比3.0%減と過去最高を更新、物価の下落は激しさを増しており、ものよりも現金選好は強まり、消費控えと物価下落の悪循環に陥っている。

4月の輸出(数量)は前年比39.5%と伸び率は2ヵ月連続で低下した。対米・欧州は前月よりも伸びたけれども、対アジアは1月をピークに3ヵ月連続の鈍化となった。急速に進んだ円高ユーロ安は5月の貿易統計にあらわれ、アジア等にもその影響が及び、輸出の伸びは鈍化するだろう。輸出の勢いが弱くなれば、日本経済は即打撃を受けることになる。そうした判断が5月の貿易統計から明らかになるはずだ。

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週刊マーケットレター(100531).pdf

soga100530.epub

ユーロはどこまで下がるのだろうか

曽我 純:

5月10日、EUとIMFによる7,500億ユーロの緊急融資制度の創設、欧州中央銀行(ECB)の国債買い入れ、日米欧6中銀のドル資金供給の再開などを打ち出したにもかかわらず、ドルユーロ相場は先週末、1ユーロ=1.236ドルと週末ベースでは06年4月第3週以来約4年ぶりのユーロ安ドル高となった。リーマンが破綻する前の08年7月以降、ユーロは急激に下落しているが、そのときの安値を下回り、新たな水準を模索する展開になっている。

ユーロ安ドル高の急激な進行が、ユーロ建ての債権価値の目減りに拍車を掛け、投機業者たちは資金をドルなどに疎開させている。ユーロ安により、ドル建て商品の購入メリットは消滅、景気の不透明感も広がり、原油価格は1ヵ月で12.6%も下落した。OECDの景気先行指数は3月、前年比12.8%も伸び過去最高を更新している。おそらく伸び率は近々ピークアウトするはずだ。商品市況は景気先行指数に遅行する傾向が強いことから、このまま続落するだろう。最高値を更新した金も例外ではない。

ユーロ安ドル高はユーロからの輸出を促すことになり、景気にはプラスに作用する半面、輸入物価の上昇を惹起し、インフレに過度にこだわるECBの金融政策を引き締めに傾かせることになる。ユーロ圏の消費者物価指数は4月、前年比1.5%と昨年7月(-0.7%)を底に上昇しつつある。物価上昇率はユーロの政策金利(1.0%)を超えており、ECBにとっては、いまの政策金利の水準は到底容認できるものではない。金融危機に陥っている異例のケースだから、やむなく据え置いているが、金融システムが安定すれば、実体経済を考慮することなく、ECBは利上げに踏み切るのではないか。それによって、欧州経済の成長は再度後退を余儀なくされることも考えられる。

急速なユーロ安ドル高が進行しているが、ドイツの長期金利は2週連続、2%台を維持している。先週発表された1-3月期のドイツの名目GDPは前年比3.0%と前年同期が-5.2%と大幅に落ち込んでいたため、5四半期ぶりに前年を上回った。ただ、08年1-3月期にはとどいておらず、水準そのものは依然低く、景気回復の足取りは重い。回復に力強さは感じられないことから、2010年の名目成長率は2%台にとどまるだろう。ただ、成長率から予想すれば、ドイツの長期金利は下限近くまで低下してきており、米独の長期金利差の観点からのユーロ安圧力は減じてきている。

ユーロはどこまで下がり続けるのだろうか。これに対する答えは、ユーロ経済が米国経済に比較して強くなれるかどうかにかかっている。経済が強いか弱いかの指標として実質GDPを使用することにする。99年の統一通貨ユーロが誕生してから2008年までは概ね、ユーロの経済成長率(前年比)が米国を上回っていた。それが、2009年以降は第2四半期を除けば、2010年1-3月期まで、金融危機の震源地である米国の成長率がユーロ圏を凌駕している。特に、09年10-12月期の格差は1.3ポイントと96年以降では最大になった。こうした米国の経済成長率がユーロを上回る状態が続くことになれば、ユーロの地位はさらに低下するだろう。

ユーロ圏の各国は緊縮財政を迫られているが、1-3月期のユーロ圏の実質経済成長率が前期比0.2%のような千鳥足で、財政支出をカットすれば、経済はもっと疲弊することは必至である。経済が悪化すれば、財政はますます逼迫し、財政の脆弱な国の国債は売り込まれ、ユーロ売りが加速することになる。今回のEUの基金創設(5,000億ユーロ)のうち600億ユーロは欧州委員会が債券発行し、融資資金を調達する仕組みになっているが、財政危機に直面している国に対しては、しばらくこうした方法による資金手立てに依存せざるを得ない。

続きをPDFで読む↓
週刊マーケットレター(100517).pdf
下記の要領で、東京にてゲゼル研究会主催の講演会を開催します。
お時間が許しましたら、是非、ご参加下さい。


以下、転載、転送、大歓迎です。


「支え合いの仕組みから考える持続可能なコミュニティ」

ながらくコミュニティの紐帯を新たに作り出すためにタイムバンク導入を推進さ
れてきたヘロン久保田さんをお招きして、持続可能なコミュニティ構築のための
仕組みについて考えていきたいと思います。


■日 時  6月12日(土)14:00~17:30(開場13:45)
■会 場  専修大学神田キャンパス・2号館2階 208教室
千代田区神田神保町3-8
地下鉄九段下駅 出口5より徒歩3分、
神保町駅出口A2より徒歩3分、
JR水道橋駅西口より徒歩7分
地図 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06a.html
構内 http://www.senshu-u.ac.jp/koho/campus/index06b.html

■講 演   ヘロン久保田雅子さん「お金で買えない貴重な時間:時代を変
えるためのタイムバンク」(60分)
森野 榮一さん「持続可能なコミュニティとは?」(60分)

■参加費  資料代として700円
■主  催  ゲゼル研究会( http://www.grsj.org/ 
■問合せ  泉留維まで
メール info@grsj.org 

※どなたでもご参加いただけます。
小規模な部屋で開催を予定していますので、参加される方はメールでご一
報いただけると助かります。なお、講演会終了後の懇親会に参加される方は、で
きるかぎり事前にメールでご連絡ください。



【講師プロフィール】

ヘロン久保田雅子

米国タイムバンク・エリア代表、フロリダ・インターナショナル・大学(FIU)、
講師。著書は、『この世の中に役に立たない人はいない』(創風社 2002)、
『お金で買えない貴重な時間』(Time Banks USA  2010)など多数。1990年代初
めより、コミュニティにおける新たな相互扶助構築のためにタイムバンク導入を
推進している。


森野 榮一

経済評論家、ゲゼル研究会代表。WAT清算システム会員。著書、論文は『消
費税完璧マニュアル』『商店・小売店のための消費税対策』(ぱる出版)、『エ
ンデの遺言』、『エンデの警鐘』(共著、NHK出版)、『なるほど地域通貨ナビ』
(編著、北斗出版) など多数。1999年、NHK BS1特集「エンデの遺
言」の番組制作に参加・監修。その後、町づくりのアドバイスや地域通貨の普及
活動に努めている。
曽我 純:

ギリシャ問題の影響は欧州だけにとどまらず米国、アジアへと広がっていった。スペイン、ポルトガル、イタリアなどもギリシャと同じ問題を抱えているため、もし当該国の国債が売り込まれたら、信用不安は格段に強まることになる。特に、欧州の銀行は問題国へ多額の資金を貸し付けており、巨額の債権が焦げ付くことになる。こうした観測によって、信用不安は伝染、増幅され、金融・株式の買いポジションは大急ぎで解消された。

信用不安に基づく金融危機がさらに深刻になれば、実体経済に影響してくるのは必至であり、特に、足取りの弱い欧州経済は景気後退に後戻りするかもしれないという不安が出ている。7日開催のユーロ圏緊急首脳会議で金融危機対応策が策定され、そこで合意したことのひとつに、財政赤字削減が挙げられており、財政赤字をGDP比3%以下に押えることがより厳格に適用されることになる。緊縮財政をユーロ圏各国が強化すれば、景気は悪化し、財政赤字はますます増加することになるだろう。ユーロ安は止らず、非ユーロ建ての債務は膨らみ、借入の返済が難しくなるだけでなく、ユーロの値下がりによってユーロ圏から資金が流失することにもなりかねない。景気後退下の物価上昇という事態も予想され、欧州経済の舵取りは一層難しくなる。

欧州中央銀行(ECB)の総裁はフランスのトリシェだが、インフレを最重要視するドイツの影響力は強く、ユーロ安によって物価が上昇すれば、ECBは政策金利を上げるだろう。4月のユーロ圏消費者物価指数は前年比1.5%と前月比0.1ポイント上昇し、2ヵ月連続で政策金利1%よりも高くなった。こうした物価の上昇から、トリシェ総裁は金融危機に陥っているにもかかわらず、政策金利(1%)を据え置かざるを得なかった。ECBは利下げに踏み切らないという予測から、投機筋は株式やユーロの売り浴びせたのだろう。ECBの金融政策はあまりにも見え透いている。

3月のギリシャの消費者物価は前年比3.9%とユーロ圏(1.4%)を大幅に上回っており、政策金利とは掛け離れた水準にあり、物価だけを取り上げても、ユーロ経済が矛盾を抱えている状態にあることがあきらかである。長期金利は市場で決まるため、ギリシャの10年国債の利回りは7日、13.17%に上昇し、ドイツとの利回り格差は10%を超えた。ポルトガル、スペインの国債利回りは7.01%、4.6%とギリシャに比べれば低いけれども、ドイツとの格差は広がりつつある。ドイツ国債買い、ギリシャ、ポルトガル、スペイン国債売りが続く限り、ユーロ圏経済の安定はない。

***

日本を含む主要国の株式市場は急落し、世界の主立った株価指数は昨年末の水準を下回った。欧州の金融危機が下落の引き金を引いたが、その主因はバブル化していた部分が剥がれ落ちることに求められる。加えて、景気回復期の初期段階ともいうべき段階が終わり、今後、不確かな局面に移りそうな段階に達したことも、売りを加速させた。

日経平均株価の予想株価収益率は24倍だが、欧米の主要株価指数はほぼ10倍台であり、日経平均株価の割高感が突出している。ギリシャ、ポルトガル、スペインの予想株価収益率は10倍前後とさらに低く、利回りも最低のギリシャが3.5%、スペインにいたっては5.5%と日本(1.5%)とは比べものにならないほど高い。株式を取り上げれば、日本がギリシャなどよりもよほど危機的といえる。日本経済がまだ世界第2位の地位を占めていることから、資産配分上しかたなく組み入れているのだ。だから売買代金の半分以上が外人で占められているのである。だが、世界経済の地位が低下するにつれて、日本株の組み入れ比率は間違いなく低下していくだろう。ある時、不連続的な組み入れの変化が起こるとも限らない。

株価が急落すれば、いつものことながら、市場が警鐘を鳴らしているとの論評をみかけるが、ゼロ金利状態を15年も続け、「貯蓄から投資へ」と煽り、株価が利益から掛け離れたところまで引き上げられていれば、何かをきっかけに売りがでれば一気に崩落することは、市場の警鐘でもなんでもないのだ。単に、実体経済からみて途轍もなく舞い上がっていたのが、実体経済に見合った水準に戻るだけなのである。もとより下にも行き過ぎはあるが、配当をしっかり出しているような企業であれば、買いは入るはずだ。

続きをPDFで読む→週刊マーケットレター(100510).pdf
曽我 純:

ギリシャ国債のジャンク債への格下げを始めポルトガル、スペインの格下げ、ゴールドマン・サックス問題などにより、各国の市場は乱高下した。欧米の主要株価指数は週末比2~3%下落する一方、国債は軒並み買われ、金も値上りした。日本の長期金利は1.2%台に下落したほか、欧米の長期金利も低下し、IMFによる2010年の実質GDP成長率の上方修正とは反する動きをみせている。

独Ifo景況感指数は4月、101.6と前月比3.4ポイント上昇したが、ドイツの長期金利は08年央以降、長期低下傾向を示しており、マインドと長期金利は反比例になっている。ギリシャなどの国債の信用が揺らいでいるなかで、不安を除去するためには、ドイツの経済的負担が増えることは間違いなく、そのことがドイツ経済の回復の足枷になるだろう。ユーロ圏全体で経済的負担が増えることに加えて、ユーロ圏各国が財政赤字をGDP比3%以下に押える財政規律の厳格化を目指していくならば、ユーロ圏の経済の拡大は期待できなくなる。景気拡大によって表面にあらわれなかった生活習慣、気質、家族関係の違う16ヵ国を一緒にしてひとつの経済圏にすることの難しさが、景気低迷が長引くにつれて、より顕在化してきたといえる。

09年10-12月期のユーロ圏実質GDP(16ヵ国)は前期比横ばいと前期よりも0.4ポイント低下した。中心となるドイツが横ばいになったほか、問題になっているギリシャ、ポルトガル、スペインは-0.8%、-0.2%、-0.1%といずれもマイナスである。経済のパイが拡大しない状態で政府赤字を削減しなければならないのは辛い。財政赤字の縮小は、当然、2010年の経済成長率に悪影響するはずだ。

ドルユーロ相場は先週、一時1.31台と昨年4月以来、約1年ぶりのドル高ユーロ安となった。財政の規律を厳しく適用すればするほど、ユーロ圏経済の回復の足取りは重くなり、場合によっては再びマイナス成長に転落するかもしれない。なかでもユーロ圏の26.9%(2009年)を占めるドイツ経済とドルユーロ相場の結びつきは深く、ドイツの経済成長率が力強いときはユーロが強く、弱いときはユーロ安という関係をはっきり読み取ることができる。財政規律の厳格化やギリシャへの資金支援など、多くの難問がドイツ経済の前に立ち塞がっており、回復したとしても回復のペースは遅々としたものになりそうだ。

昨年10-12月期のドイツ名目GDPは前年比-1.4%と4四半期連続の前年割れである。09年1-3月期は5.2%も落ち込んだため、今年の1-3月期はプラスに浮上する見通しだが、足取りは弱いものになりそうである。2010年のドイツ実質GDPは1.2%と予想されているが(ちなみにユーロ圏0.7%、ギリシャ-0.3%、スペイン-0.8%、ポルトガル0.3%)、この見通し程度の成長であれば、名目でも2.2%と予想され、現在の長期金利を下回っている。

現在、ドイツの長期金利は3%程度だが、景気回復力が予想以上に弱くなれば、昨年1月に付けた2.88%を下回ることも考えられる。そのときにはユーロはさらに売り込まれることになろう。

先週末、1-3月期の米GDPが発表されたが、それによれば、実質GDPは前期比0.8%増加した。これで3四半期連続のプラスとなり、金融危機の震源地であった米国経済の回復力がドイツよりも強いことを印象付けた。ドイツやユーロ圏よりも相対的によいだけであり、米国経済が本格的に回復しているかというとそうではない。

前期比伸び率は昨年10-12月期よりも0.6ポイント低下したし、成長の中身もつまびらかではない。成長率の8割方は個人消費支出が寄与し、消費の回復を声高に主張するコメントも見受けられるが、消費の中身を検討すると、手放しで消費が強いなどとは言えない。さらに、在庫の寄与度が前期に比べれば低下したもののそれでも0.4%と高い。在庫は3四半期連続で増加したが、その間(2010年1-3月期/09年4-6月期)の在庫寄与率は55.6%と成長率の半分以上は在庫変動要因で説明できる。3四半期連続で回復しているとはいえ、在庫要因を取り除けば、米国経済は横ばいに近い状態である。

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週刊マーケットレター(100503).pdf

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