ピーク近い景気先行指数

曽我 純:

2月の景気先行指数は前月比1.0%増加し、これで12ヵ月連続のプラスだ。先行指数は伸びているが、週末、3ヵ月物短期金利は0.23%に低下した。資金需要は引き続き弱く、3月末の全国銀行貸出は前年比2.5%減、しかも減少率は拡大している。なかでも都市銀行は5.4%も減少し、日銀の金融緩和策は銀行の民間部門への資金供給拡大に結びついていない。一方、預金は2.5%増加しており、預金と貸出の差は145兆円に拡大した。金利が下がれば、資金需要が出てくるはずだが、これだけ低下しても、借手があらわれないことは、国内では利益が期待できる分野が見当たらなくなっているからである。

景気先行指数の前年比伸び率は前年が落ち込んでいたため31.4%増と過去最高の伸びとなった。先行指数のディフージョン指数も昨年10月、すべての指標が3ヵ月前を上回る100%となり、経済の全分野で景気が改善していることを示した。その後も高い数値を維持し、2月も90%を付けた。一致指数のディフージョン指数は2月までの4ヵ月のうち3回が100%となり、景気はこれ以上好転しない状態にある。

景気先行指数と株価の連動性は強く、先行指数が底を付け、急上昇しているときには、株価も騰勢に転じる。今回、昨年2月に同時に底打ちしており、3月末の日経平均株価は昨年2月末比46.5%上昇した。過去の景気先行指数上昇期における株価上昇率は50%前後となっていることから、今回の株価上昇もほぼ天井に達したと考えられる。

80年代後半のバブル期には先行指数は株価がピークを付ける1年前に最大となっていた。07年6月に1万8,000円台まで上昇したときも約1年前に景気先行指数はピークに達していた。バブルが膨らむときはいつも景気先行指数が下りはじめても、なお株価は上昇し続け、実体経済から離れていった。そのようなバブル期の株価上昇率は2.3倍と通常の上昇率をはるかに上回った。

景気先行指数は2月まで上昇を続けているが、いつこのトレンドが変わるかもしれない。おそらく数ヵ月の間には方向が変化するだろう。先行性の強い一致・遅行指数比率は2月、前月比減と2ヵ月連続して低下していることも、先行指数のピークが近いことをあらわしている。景気先行指数が数ヵ月内に下降することは、株価も同じような軌跡を辿ることになろう。景気先行指数の反落は、企業業績についても不透明感が強まることでもあり、収益面でも株式の魅力は減退する。

企業収益を支える財政赤字

機械受注の足取りは依然おぼつかない。2月の受注額合計は前月比0.4%の微減だが、2ヵ月連続のマイナスである。外需と民需は8.4%、1.1%それぞれ増加したが、官公需が21.2%も減少したからだ。機械受注を支えているのは外需であり、昨年5月を底に回復しつつあり、2月は昨年5月比約2.4倍に拡大した。官公需は昨年10月まで減少していたが、その後も弱く、2月は昨年10月を1.8%上回っているに過ぎない。民需の底はさらに遅く、昨年11月である。船舶・電力を除く民需も同様に昨年11月が最低であり、2月は昨年11月比9.5%増と回復は緩やかだ。

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この記事は「編集者」の寄稿です。2010年4月11日 19:39.

大企業の増益率は09年度下期でピークに達する は以前の記事です。

金融依存型経済の終焉 は以降の記事です。

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