2010年2月 Archives

主要国の株価は警戒すべき水準にある

曽我 純:

前年の水準が低いせいでもあるが、前年比伸び率でみた場合、主要国の2月末の株価は警戒すべきレベルに達している。2月末の日経平均株価は前年比+33.8%と3年8ヵ月ぶりの上昇率となったほか、NYダウは46.2%も前年を上回り、ITバブル期を抜き12年7ヵ月ぶりの高い伸びだ。ナスダックは62.4%とさらに高く、伸び率はいずれも株価の危険信号ととらえることができる。

昨年12月の上昇率が前月比2桁増と大幅に上昇したためか、日経平均株価は前月比で2ヵ月連続の下落となった。それでも前年比の伸び率がこれほど高くなれば、買い手は躊躇するだろう。予想株価収益率は30倍と世界の主要株価指数に比べると依然高く、2010年度の利益が50%増加したとしても、予想株価収益率は20倍にしか下がらない。いまから2010年度の利益など、知る由も無いのだから、そのような予想に基づいて、株を買うようなことはできない。

日本株は米国株に追随する傾向が強い。経済規模が日本の2.7倍ある米国経済の日本に及ぼす影響力は大きい。米景気回復を先行するかたちで、米株価は上昇するが、特に、景気回復の初期に力強く上昇していく。それにつれて、日本の株価も上げ足を速める。だが、現在のように、米株の上昇率が稀なところまでいってしまうと、ピークを付けてしまったと考えてもおかしくない。米株にほぼ連動しているのであるから、日本株についても先行き下落するリスクがかなり高いと推測するのが理にかなっている。

米商業銀行の貸付は1月、前年比7.3%減少し、2ヵ月連続でマイナス幅は拡大した。商工業貸付が-17.7%と過去最大の減少率となり、景気回復とは裏腹な動きをみせている。不動産貸付も前年を下回っているが、0.7%の小幅であり、不動産貸付は依然高水準である。米国のマネーは不動産に偏っており、必要とするところへ流れ難くなっている。金融セクターは不良債権の発生を少なくするために、国債や現金での運用比率を引き上げている。治まっているかにみえる信用問題はいつ再燃するとも限らない。

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4月頃にはFRBはFFレートを引き上げるべきだ

曽我 純:

バーナンキFRB議長は2月10日の議会証言で利上げを示唆していたが、その翌週の18日、公定歩合を0.25%引き上げ年0.75%とすると発表した。ただ、FFレートは0.0%~0.25%に据え置いた。FRBは金融政策を徐々に正常な状態に戻す方針だが、インパクトの大きいFFレートについては、実体経済をみながら慎重に判断するのではないか。

17日、FRBは2010年の経済見通しを公表したが、それによると、実質GDP成長率は2.8%~3.5%(第4四半期の前年比)と前回予想よりも下限を0.3ポイント引き上げ、米国経済は正常な姿に戻ると想定している。米国経済がFRBのシナリオ通りに回復するならば、FFレートは第2四半期には引き上げられるであろう。

09年の実質成長率は-2.4%と1946年以来63年ぶりの大幅なマイナス成長になったが、その翌年には約3%程度の成長を達成できるとのシナリオは楽観的すぎると思う。米国経済は住宅バブルの後始末の最中であり、成長を左右する家計の支出が本格化するとは考えられない。住宅着工件数は最悪期を脱したとはいえ、1月も50万戸台と昨年の夏以降ほぼ横ばいである。銀行貸出も前年を大幅に下回っており、これでFFレートが上昇すると、短期金利も上昇し、貸出はますます難しくなる。

とはいえ、昨年10-12月期の米GDPは名目・実質ともに前年比0.8%、0.1%とプラスに浮上した。おそらく今年の1-3月期以降のプラス幅は大きくなるはずだ。力強い回復は望めないが、たどたどしくも前年を上回る成長は持続できるように思う。そうであれば、ほぼゼロという異常な金利を正常化することは必要である。いつまでも異常な金融政策を続けていると、資金コストゼロの恩恵を受ける金融部門を利することになり、金融恐慌を起こした張本人でありながら、非金融部門を凌ぐ成長をみせ、資本・株式市場が実体経済から遊離、バブル化しかねないからである。

昨年10-12月期の米GDP物価指数は前年比0.7%と2四半期連続の1%未満の低い伸びである。09年は1.2%であったが、2010年の上昇率は1%以下に収まるであろう。名目成長率は3%台にとどまると予想され、FFレートが1%に引き上げられたとしても、米10年債利回りは現状の水準から大きく上昇することはない。1-3月期のGDP速報値が公表される頃には、FRBはFFレートを引き上げるべきだ。

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日本の輸出増はいつまで持続するか

曽我 純:

輸出の回復で生産も続伸している。輸出の割合が高い製造業は息を吹き返しているが、内需依存型の企業は苦境から脱するにはほど遠いところにいる。昨年12月の輸出は前年比12.0%と08年9月以来、15ヵ月ぶりのプラスだ。対米輸出は前年割れだが、対EUは1.4%、対アジアは31.1%とアジア主導で回復している。このまま輸出が拡大を持続できれば、輸出依存型企業の業績は拡大が期待できるが、輸出が頓挫するようなことになれば、日本経済はたちまち路頭に迷うことになる。輸出依存型企業が内需型企業の業績にまで影響を及ぼすには至らず、自律的回復軌道に乗っていないからだ。

昨年12月の輸出(季節調整値)は前月比+2.4%と昨年2月を底に10ヵ月連続増と伸びてはいるが、08年1月のピーク比では68%と7割弱の水準でしかない。輸出は底から30.3%増加したが、内需の低迷により輸入の底は輸出よりも4ヵ月遅れの昨年6月がボトムだが、12月はそれを15.1%上回っているに過ぎない。

輸出がどの程度まで戻るかが、日本経済と企業業績の回復の鍵を握る。輸出はアジア主導で回復しているが、アジアで生産したものは日本、米国、欧州に輸出される。いままでは急激に減少した生産・在庫の回復のための生産だったが、米国や欧州の景気が回復しなければ、そうした在庫調整終了後の本格的な需要増に基づく生産の拡大には至らないかもしれない。

米国の輸入(財)は昨年12月、1,509億ドルと4ヵ月連続の前月比プラスとなり回復しつつある。昨年5月のボトムに比べると26.6%増加しており、米国経済の回復を裏付けている。ただ、住宅というストックが傷んでいるだけに、政府のこれまでの厚い支援策が途切れたときに、自力で成長していくことができるかが問題である。

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