2010年1月 Archives

米「新金融規制」の実現を願う

曽我 純:

オバマ大統領は今月14日、「金融危機責任手数料」を打ち出したが、21日には「新金融規制案」を発表した。金融規制が強まるという観測から金融株を中心に米株式は大幅に下落した。預金を受け入れている銀行などが、リスクの高いヘッジファンドや未公開株を手掛けるファンドの所有やそれに投資すること等を禁止し、投資銀行には負債を制限する措置を講じるという内容だ。

1980年代以降のマネタリズム、合理的期待理論が学界を席捲し、米国社会は市場原理万能主義に染まってしまった。1975年、株式委託手数料の自由化、取引所集中義務の撤廃がなされ、1983には預金金利自由化が完了し、金融資本市場も市場原理が貫かれることになった。80年代のはじめ第2次石油危機による激しいインフレに見舞われ、長期金利は急騰したが、それも1984央にはピークアウトし低下していった。長期金利の低下により、資本の現在割引価値は上昇する。当然、企業の資産価値も上昇し、実際のバランスシートに記載されている数値を上回っていく。長期金利の低下につれて米株価は力強い上昇基調を描いていった。

米国民所得統計から金融部門と非金融部門の利益の推移をみると、80年代後半から金融部門の利益の拡大が顕著になっていることがわかる。1929年を100として指数化すると、1985年にはほぼ同じ値であったが、1990年になると、両者の差は一気に開き、この傾向は2006年まで続いた。長期金利の長期低下による株式価値の増価に加えて、銀行・証券の分離政策(2000年)が実質撤廃されたことなどが、金融部門の肥大化に拍車を掛けた。

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週刊マーケットレター(100125).pdf

甘い汁を吸う日米の金融機関

曽我 純:

11月の機械受注のうち船舶・電力を除く民需が前月比11.3%も減少し、過去最低を更新したが、外人買いは持続し、日経平均株価は1万1,000円近くまで上昇した。前回でも指摘したが、外人が強気に転じたのは米雇用統計が改善傾向を示しているからだ。雇用が増加すれば、米国経済の主力エンジンである個人消費が回復し、民間設備投資も力を取り戻すことができる。ほぼゼロの政策金利は、中間選挙を控えているなどで、今年いっぱいは据え置かれるだろう。09年末の米商業銀行の預金は前年比6.1%増加したが、貸出は前年を7.4%も下回っており、マネーは有価証券等へ向っている。超低コストの資金が溢れているため、日本にもホットマネーが流入してきているのだ。

ただ、先週末の日経平均株価は前年比36.9%増とNYダウやFT100等よりも上昇率が高くなってきた。日経平均株価の伸びを上回っているのはナスダック総合(51.4%)くらいで、株価の下落リスクは非常に高くなってきている。リスクは高くなっているが、ヘッジファンド等の運用成績が向上していることから、リスクを取る余裕が生まれていることも、日本株を買う要因になっていると思う。

OECDの景気先行指数は09年11月、前年比8.6%も伸び、1976年5月以来、33年半ぶりの高い上昇率となった。前年が大きく落ち込んでいることの反動ともとれるが、それでも先行指数の急上昇は、株価との相関性が高いだけに、株価回復を裏付ける材料になる。今回の先行指数の急落急騰は第1次石油危機の時の変動に類似している。第1次石油危機後の不況では先行指数は1974年11月に底を付け、76年2月のピークまで15ヵ月上昇した。今回は09年2月に前年比-9.6%まで沈んだ後、11月まで9ヵ月連続で改善している。不況の原因は違うけれども、ショックという観点からは、先行指数は同じ様なパターンを辿る可能性がある。今年の春頃には先行指数の前年比伸び率はピークを付けるだろう。
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週刊マーケットレター(100118).pdf

上昇余地乏しく下落リスク高まる日本株

日経平均株価は09年末、1万546円と前月末比12.9%も上昇し、月末値では08年9月末以来の高い水準に上昇した。これほど株価が上昇したのは外人が日本株を昨年12月、1.2兆円超も買い越したからである。特に、12月第1週は6,326億円と07年7月第1週以来の大幅な買い越しとなり、株価を前週末比1,000円以上引き上げ、5週間ぶりに1万円台に乗せた。外人が日本株を積極的に買いに出たのは、ドバイショックで11月27日、日経平均株価が301円安の9,081円まで下落し、当面の底値近くに達したと判断したからだと思う。

その後、11月の米雇用統計の内容が予想よりも改善していたことなどから、買い越しが持続し、その傾向が新年入り後も続いている。12月の相場がきわめて好調に推移したため、09年末の日経平均株価は前年比19.0%と3年ぶりにプラスとなり、NYダウの年間上昇率を僅かばかり上回った。

後200円ほど上昇すれば日経平均株価は1万1,000円に到達するが、たとえば1月末にそれが実現されることになれば、前年比上昇率は37.6%となる。月末値の前年比がそこまで上昇すれば2000年2月のITバブル並の高い伸びであり、90年以降でみても5番目の高い伸びだ。さらに2月末には1万1,500円に上昇したと仮定すると、52.0%も前年を上回ることになり、前年比伸び率は限界に到達したと考えてよい。1981年以降50%を超える上昇率(月末ベース)は5回を数えるだけであり、極めて稀な現象であるからだ。NYダウは1981年以降、前年比50%超の伸びを経験したことは1度もない。それくらい前年の水準を50%も越えるというのは珍しいことなのである。

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週刊マーケットレター(100111).pdf

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