2009年11月 Archives

FRBの甘い経済見通しとドル安

曽我 純:

ドバイショックで円は対ドルで急騰、一時、84円台まで上昇した。なぜこれほどまでに投機資金は円に向うのだろうか。日本経済の回復期待感が欧米よりも強いのであれば納得できるが、日本に対する期待が低いにもかかわらず、円が買われるという奇妙な現象が起こっている。日本企業の収益力は著しく低下しているし、地価の下落率も拡大するなど円の魅力は乏しい。それでも円が強くなる、その仕組みを抉りだそう。

ドバイの問題は限定的だと考えられるが、米国をはじめ欧州でも、デフレにより負債者の負担は増し、ドバイのような問題を抱えていることが、通貨価値に影響していると考えられる。米主要10都市の住宅価格は9月まで5ヵ月連続で上昇しているが、米金融機関の不良債権・貸出比率は9月末、4.9%と1983年以降最悪となり、金融機関の破綻も増え続けている。新たな金融危機のリスクが投機家の脳裏に浮かんだことも、ドル離れに走らせたのではないか。PDFを読む 週刊マーケットレター(091130).pdf
曽我 純:

20日の月例経済報告によると、日本経済は「緩やかなデフレ状況にある」と文言にデフレを挿入したが、今は緩やかと言える生易しい状態ではなく、かなり深刻なデフレ経済だ。11月16日発表の7-9月期のGDP統計によれば、実質は前期比1.2%増加したが、名目は0.1%減と6四半期連続のマイナスとなり、1992年1-3月期以来、17年半ぶりの低水準に落ち込んだ。われわれの生活水準は17年半前に後戻りしたということだ。
しかもIT関連の製品は目まぐるしいほど新製品が次から次ぎへと登場していることから、GDPの内容は悪くなっているのではないか。内容に大きな変化がなければ、2年で買い換えるのと4年で買い換えるのでは、GDPは2倍の差がつく。企業は目先の利益追求に、内容はほとんど変わらない製品を表面的に、さも目新しい新製品のように宣伝し、売り出す。こうした本当は新製品でない新製品を作り出すことに精を出し、自転車操業といえる経済体制を構築したことが、GDPを著しく内容の乏しいものにしてしまった。内容が粗末なだけでなく、走り続けなければならないという問題まで抱え込んだからだ。
携帯電話やパソコンはその最たるものだが、本来、家庭でしなければならないこと、作らなければならないものを外部に求めすぎたことも、経済の収縮を大きくしている。不況になれば、所得の減少により外部に求めることができなくなり、家庭への回帰が一層経済に打撃を与えている。PDFを読む

惰性に従って失敗を選ぶ日本の株式市場

曽我 純:

NYダウは年初来高値を更新しているが、日経平均株価は3週連続で値下がりした。主 要国の株価と比較して日本株の割り高が顕著になり、外人の買い超し額が減少しているか らだ。日経平均株価の予想株価収益率は33倍に低下してきたとはいえ、成長力の期待が 喪失している日本経済を目の当たりに見れば、株価は異常に高く、予想株価収益率は10 倍前後に低下してもおかしくない。常識的に考えれば、5,000円でもまだ高いのだ。そん なわかりきったことを無視して、日々の超短期売買に現を抜かしていれば、結果がどのよ うになるかは明らかである。PDFを読む

厳しさを増す日米の雇用

曽我 純:

10月の米失業率は前月よりも0.4ポイント高い10.2%と1983年4月以来、26年半ぶり の高い水準に上昇した。10月の失業者は15,700千人、前年比5,479千人の増加だ。失業の 仕方もレイオフではない失業者が前年を90.5%も上回り、失業期間も長くなっている。失 業期間が27週間以上の長期失業者(5,526千人)は前年比147.8%も増加し、失業者に占め る比率は38.0%に上昇した。15〜26週間失業している人(2,883千人)も79.5%増加してお り、失業期間は長期化しつつある。非農業部門雇用者は前月比19万人減と前月よりもマ イナスは縮小したが、製造や建設だけでなく小売業も減少するなど、幅広い産業で人員削 減が行われており、雇用の厳しい状況は続くだろう。 PDFを読む

信用不安が募る米国経済

曽我 純:

10月25日、米商業用不動産金融大手のキャップマーク・フィナンシャル・グループの 破産申請に続き、同30日にはノンバンク大手CITの破産法申請が近いということから、 再び、米国では信用不安が強まっている。信用不安は株式市場を直撃し、NYダウは30日、 249ドル下落した。「株式の暴落は、投機的な確信あるいは信用の状態のいずれかが弱ま ったことによるものであった」(『一般理論』、p.158)というケインズの指摘がそのまま 当てはまる。PDFを読む

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