2009年1月 Archives

曽我 純:

日経平均株価は8,000円を下回り、週末ベースでは昨年10月第4週以来の低い水準に沈 んだ。だが、この株価水準でも株価収益率(PER)は16倍を超えており、欧米に比べて高 く、割高である。日経によれば、PER算定の基になる、今期の1株当たり利益は482円、 前期比55.1%の減益を想定している。12月調査の『短観』によると、大企業全産業の今下 期の当期純利益は前年比15.1%減少する見通しだが、日経の減益予想はこれをはるかに上 回る。『短観』では今上期は21.3%減であるから、日経並みに通期の利益が落ち込むので あれば、下期は80%を越える減益になる。『法人企業統計』によると、昨年7−9月期の 大企業全産業の営業利益は前年比21.8%減少したが、10-12月期は50%を上回る減益とな り、09年1−3月期はほとんど利益がでないのではないか。PDFを読む
曽我 純:

昨年11月23日、米政府はシティの救済策として200億ドルの資本再注入、不良資産の 政府負担を発表したが、それでも事業継続は危ぶまれ、16日、シティグループは事業の解 体へと進まざるを得なくなった。同時に、昨年10-12月期の業績を発表したが、82.9億ド ルの最終損失を計上し、不良資産は底なし沼の様相を呈している。事業の分割を発表した ものの、株価は下げ止まらず、シティの行方は混迷度を深めている。中核部門の総資産は 1.1兆ドルと約半分に縮小したが、それでも依然巨大であり、さらに規模を小さくしなけ ればならない。090119.pdf

quote of the day ドル崩壊の予兆?

アジアタイムスの金融危機に関する一文を読んだ。金融パニックがドル崩壊の予兆かもしれないとの議論が目にとまった。

「現在の危機と1929年のクラッシュとの間には平行するものが多くあるが、主要な相違は米ドルのグローバルな様相である。1929年には、ドルは上り坂で、まもなく世界の準備通貨として英国ポンドの影を薄いものにしていった。さらに米国経済は基本的にはたいへん強力であったので、1934年に米国は通貨を金に結びつけることができた唯一の大国であった。

以来、米ドルの特権化された「リザーブ通貨」の地位は米国の持続的な繁栄の主要な要因であった。このドルの難攻不落の地位が、米国の富の枯渇をごまかし、いまや公表された債務がGDPの100%近くにのぼるところまで米国国債を首尾良く増やすための米国の支配を成功させてきたのである。米国政府の債務の総量は、IOUや一時借り入れを含め、いまや驚異的な50兆ドル、GDPの5倍にもなっている。ドルがたんに別の通貨であったなら、このことはけっして可能ではなかったであろう。

しかし今日の危機で、ドルはグローバルな金融のドラマのなかで、おそらく主演俳優として最後の主役を演じている。別の、より強く、債務を背負い込んでいない通貨が舞台の袖で老いた紳士が最後の役目を終えるのを待っている。

ドルの崩壊は連邦政府が無視することで促進されている。米国経済を再構築し、生産性を取り戻し、インフレによらずに富を創造する政策を実行するのでなく、議会は単に、古くさい崩壊している建物にファイナンスしている。」(ジョン・ブラウン)

住宅バブル破裂による凹みと政府・FRBの膨張

曽我 純:

昨年10月の米住宅価格(S&P/Case-Shiller Home Price Indices,Composite-10)は前年比19.1%減となりマイナス幅は前月よりも0.6ポイント拡大した。英国の住宅価格(Halifax House Price Index)は昨年12月、前年を18.9%下回り、米国とほぼ同じ下落率だが、米国は07年1月に前年割れしたのに対して、英国は昨年3月からであり、10ヵ月という短期間で米国並みに落ち込み、住宅価格下落のショックは英国のほうが大きいように思う。ちなみに、日本の地価も反落傾向を強めている。六大都市商業地(日本不動産研究所)は07年3月末の前年比19.6%をピークに伸び率は鈍化し、08年9月末には-1.2%と3年半ぶりに前年を下回った。PDFファイルを読む

quote of the day 100%リザーブ

いま、昨秋の金融・経済危機を歴史の一こまにするかのような期待が、オバマの大統領就任の日に向けてふくらんでいる。噂では7000億ドルにものぼる経済刺激策が発表され、これが本年下期には経済を危機から脱出させるにちがいないという期待だ。

しかし、昨秋来経験している信用崩壊の現実は、より根本的な私たちの金融システムへの懐疑をもたらしているはずだ。

部分準備の金融システムが債務マネーをふくらませてきたことへの反省が、かつての大恐慌後提起された100%リザーブのシカゴプランへの関心を喚起している。

そんな折、「金融資本が産業資本を麻痺さる仕方:部分準備銀行業の役割」という一文を読んだ。文中に、ジョン・ホットソンからの引用を見かけたので、ちょっとご紹介。

「100%リザーブプランが・・・債務マネーを終わらせるだろう。・・・政府貨幣[法定通貨]が「良貨」である。なぜなら利子や債務とは無縁に流通に投ぜられるからだ。そうして改革の後、比較的僅かな置き換えの費用で貨幣の有用な機能が紙幣や鋳貨を歓迎されないものとする。・・・商業銀行が作り出す貨幣は「悪貨」である。なぜなら利付きで流通に投ぜられるからだ。そして誰かが利子の支払いを受け入れ、銀行が貸し付けを続ける意思がある限りでのみ存在するものにすぎないからだ。」(ジョン・ホットソン、「債務マネーシステムの終焉」[Hotson, J. "Ending the Debt Money System", Challenge, March-April 1985, pp.48-50.])

quote of the day 090104

| No Comments
イスラエル軍地上部隊、ガザ侵攻。

第一次世界大戦に反対して暗殺されたジャン・ジョレスの言。

「雲が嵐をもたらすように資本主義は戦争をもたらす。」

ということなのかもしれない。

金融・経済危機で昨年、1バレル140ドル台から30ドル台まで急落していた原油価格は反転上昇の兆し。この2日には、WTIは46.34ドルをつけた。これにつられてか、コモディティ市場はどれも上昇に向かう気配だ。投機マネーが再びコモディティ市場に戻ってくるようなことがあれば、世界経済の不安定性は増すばかりだろう。

ケインズの『一般理論』第六篇末尾

「現在、人々はふだんと違っていっそう根本的な診断を待望しており、それを受け入れようとする気持ちはとくに強く、それが少なくとももっともらしいものであれば、それを試みてみることを熱望している。しかし、このような現在の機運は別としても、経済学者や政治哲学者の思想は、それが正しい場合にも間違っている場合にも、一般に考えられているよりもはるかに強力である。事実、世界を支配するものはそれ以外にはないのである。どのような知的影響とも無縁であるとみずから信じている実践家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である。権力の座にあって天声聞くと称する狂人たちも、数年前のある三文学者から彼らの気違いじみた考えを引き出しているのである。私は、既得権益の力は思想の漸次的な浸透に比べて著しく誇張されていると思う。もちろん、思想の浸透はただちにではなく、ある時間をおいた後に行われるものである。なぜなら、経済哲学および政治哲学の分野では、二五歳ないし三十歳以後になって新しい理論の影響を受ける人は多くはなく、したがって官僚や政治家やさらには扇動家でさえも、現在の事態に適用する思想はおそらく最新のものではないからである。しかし、遅かれ早かれ、良かれ悪しかれ危険なものは、既得権益ではなくて思想である。」

いま、根本的診断が必要なときではないのか。

「お金」崩壊に突き進む世界経済

こんにちは。 4月に集英社新書から『「お金」崩壊』という本を出しました。最初は、この書名、あまりいい題ではなかったかなと思っていたのですが、最近になってみれば、本当にお金が崩壊し始めてしまいまして、まあこれで題名だけでも売れるチャンスがでてきたかなと。でも、この本が売れれば売れるほど、日本の状況も世界の状況も悪くなっているということで、痛し痒しというか、ちょっとばかりそういうことを祈っているのは、メフィストフェレスに魂を売ったファウストのように、悪魔の手下になるのも同然なことなのかもしれない。だから、やっぱりあまり売れないほうが世間様は幸せなんでしょう。PDFを読む

このアーカイブについて