週間マーケットレター 2006

来年のポイントは金利、米の利下げと日本経済の低温に悩む日銀 2006-12-24

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 外人の日本株買い越し額が11月第3週にプラスに転じてから、毎週、純流入額は拡大し、12月第3週には6,204億円と8月第3週以来の規模に膨れた。おそらく、先週も外人の買い越し基調は続き、それによって日経平均株価は今年5月以来の17,000円台乗せになったのだと思う。外人は株式だけでなく、債券も大幅に買い越しており、11月の約1.8兆円に続いて、12月も第3週までにすでに前月並みの規模に達しており、外人の対内証券投資は勢いを増している。

証券優遇税制の延長と超低金利継続期待に踊る株式市場

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 日経平均株価は5営業日連続で上昇し、4月に付けた年初来高値(17563円)に迫りつつある。企業減税や証券優遇税制の延長、米の金利据え置きと日本の利上げ観測の後退、NYダウ最高値更新による外人買いの持続期待などの好材料が日本の株式市場を強気ムードに変えた。

非製造業の設備投資、バブル期以来の3期連続の2桁増

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 財務省の『法人企業統計』によると、7−9月期の全産業売上高は前年比7.3%と前期より伸び率は1.3ポイント低下したものの依然高い増収を維持している。売上原価は売上高の伸びを上回ったが、販管費が下回ったため、営業利益は+12.5%と2四半期連続で拡大し、05年1−3月期以来6四半期ぶりの2桁増益となった。これで営業利益の前年比プラスは4年以上続いており、前回(ITバブル期)のときの8四半期を大きく超えた。経常利益は営業外収入が増加した一方、営業外費用が減少したため、15.5%と2四半期連続の2桁増となり、06年度上期の利益計画を大幅に上回る好業績を収めたといえる。

曖昧な根拠で売られたドル 2006-11-27

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 主要通貨に対してドルは下落し、特に、対ユーロでは1.3ドル台へと週末ベースでは05年4月以来の低い水準まで下げた。重要な経済統計の発表がなく、米株式や債券が売られた形跡もないなかで、なぜドルが値を下げるのか判然としない。米国経済はユーロ圏や日本に比べて景気の減速が大きいわけでもなく、先行きの景気も米国のほうが深刻になるという見方も説得力はない。米国とユーロ圏の景気波動はほぼ同じであり、景気のずれからくる通貨の強弱を判断することは難しい。7−9月期の実質GDPは米国が前期比0.4%、ユーロ圏も0.5%と似たり寄ったりである。米国の経済成長率は2四半期連続の低下となり、ユーロ圏よりも減速の程度は大きいが、住宅の急激な落ち込みが止れば、成長率の回復はユーロ圏より期待できそうである。

実体経済を反映しない日本のGDP統計 2006-11-19

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 GDP速報発表当日の日経平均株価は上昇したが、その後は3連敗とだれた。債券相場も公表日は弱気が優勢となり売られたが、売りが続くことはなく、地合いはしっかりしている。7−9月期の名目GDPは前年比1.9%と前期の伸びを0.5ポイント上回り、債券利回りよりも高くなったが、民間最終消費支出の伸びがゼロとなったことに不安を募らせたようだ。消費が伸びなければ、今景気を牽引している民間設備投資も早晩失速することは避けられないからである。

消費不振の日本経済 2006-11-12

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 給与は増えず消費は不振に陥っている。9月の『毎月勤労統計』によれば、現金給与総額は前年比横ばいであったが、所定内給与は-0.2%と5ヵ月連続のマイナスとなり、企業収益が拡大しても、企業は給与の抑制姿勢を緩めていない。こうした、企業の賃金政策によって、勤労者世帯の消費は9月、前年比5.9%減少し、今年は一度も前年を上回っていない。自動車等の耐久財だけでなく、ここにきてサービスの不振も目立つ。可処分所得は0.1%増加したが、消費の削減幅が大きく、平均消費性向は前年比5.2ポイント低下した。景気拡大期間は最長を記録しているが、給与の上昇は期待できないと諦めたような、消費行動になっている。

米住宅部門の不振、80年代後半のようには深刻化せず 2006-10-30

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 週末に発表された米GDPの伸びが予想を下回ったため、資金は米株式市場から債券や商品に流れた。過去最高値を更新していただけに、NYダウも経済成長率の減速を嫌気し、ドルも主要通貨に対して売られた。ただ、消費や設備投資関連の指標は米国経済の底堅さを示しており、米株式が急落するとか、ドルが下がり続けるような事態には至らないと思う。成長率の減速やデフレーターの低下によって、債券は強含みで推移するだろう。

原油高の足枷外れ世界景気の拡大期待強まる 2006-10-23

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 OPECは20日の緊急会合で11月から120万バレルの減産を決めたが、減産は加盟国の自主性に任せられていること等から、原油価格は下げ止まらず56ドル台に下落した。原油価格は3週連続安となり、昨年11月中旬頃の水準に戻ったが、これまでの異常な値上がりの反動安は容易に止ることはなく、実需と見合う水準を模索する動きが続くだろう。
 世界の最終生産物価格が数%の緩やかな上昇にとどまっているため、原油産出国の購買力は飛躍的に拡大している。原油収入の急増により、原油産出国は生産財や消費財の購入を増やしているが、財やサービスの購入にも限度があり、産油国の収入は支出を上回っている。こうした産油国の貯蓄超過が世界景気に悪影響を及ぼしていると考えられるが、現在進行中の原油高の修正は、産油国の超過貯蓄や資金の偏在の解消につながり、世界経済の改善要因になる。

金融不安定性を高める日本の超低金利政策 2006-10-16

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 NYダウの高値更新による外人の買い増し余力増などから、日本株も3週連続で上昇し、回復力を強めている。外人は10月の第1週までの2週間で約8千億円を買い越し、いつもの通り、今回も外人主導の上げだ。米インフレ懸念の後退から米政策金利の据え置き、ひいては日銀も様子見姿勢をとり、超低金利が続きそうだ。日本の超低金利が投機的資金需要を増大させ、そうした資金が株式市場に流入していると考えられる。不透明な景気をよそに、超低金利が株価を支えるといった、実体経済とはどこか違う感じを抱かせる市場になっている。
 実体経済に関連する分野の資金需要が弱いため、超低金利政策は投機的なところばかりへ資金が流れやすくなる仕組みを作り出している。過去5年の年平均名目成長率がたったの0.1%であったことを想起すれば、実体経済に関わる資金需要は弱く、超低金利だからといって貸出が増えるものではない。借りやすいけれども、実際は借りる必要はなく、投機的な分野へと資金は集まっていった。実需が伴わない状況下での超低金利政策は、将来に金融不安定性を高める政策なのだということを今一度、90年代の教訓として思い起こす必要がある。

インフレになることなく原油価格は下落する2006-10-11

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 原油価格(WTI)は今年2月以来の60ドル/バレル割れとなり、世界的にインフレ懸念は後退しつつある。債券利回りの低下は一服しているが、まだ下がる余地はある。NYダウが2000年1月以来、約6年9ヵ月ぶりに最高値を更新したり、欧州や日本の株式が堅調に推移しているのは原油価格などの商品市況が下落しているからである。先週、CRB指数も約1年4ヵ月ぶりに300の大台を下回り、インフレ懸念が薄れ、債券利回りの低下が期待できそうだ。
 これまでの行過ぎた資源高の調整がはじまり、原油価格は大幅に下落するだろう。06年1月の世界の原油備蓄量は1.29億バレル、前年を27.2%も上回っており、最新の米在庫も前年比7.4%と高い水準を保っている。原油価格の高騰により、供給は増加する一方、需要は減少しており、原油はだぶついている。いつまでも法外な値段が持続することは、過去の経験からみてもあり得ない。

原油価格下落の米消費と設備投資に及ぼす影響 2006-10-02

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 NYダウは債券利回りの低下により、瞬間的には過去最高値を更新した。商品市況の下落によりインフレ懸念が薄れ、景気も緩やかに減速していることが、株式市場を底堅くしている。ただ、景気の減速は企業収益の減少につながるため、株価が本格的に上昇することにはならないはずだ。債券利回りと収益を天秤にかけながら、慎重な判断が要求される難しい時期といえるだろう。

物価よりも景気が心配になってきた米国経済 2006-09-24

 商品市況の急落は米金融政策にも影響を及ぼしている。20日のFOMCで政策金利を前回(8月8日)に続いて据え置きとし、年5.25%がピークになる可能性が高くなった。これほど商品市況が落ち込み、先行き物価が低下すると見込まれるときに、利上げなどできない。

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株高、企業業績の拡大により綻びを逸らした小泉政権 2006-09-18

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 景気拡大は56ヵ月目に入っており、いざなぎ景気を超えようとしているが、庶民の実感としては、本当に景気はよいのだろうか反問せざるを得ない。確かに、企業業績はすでに4年連続の増益となり、雇用等は大幅に改善しているが、家計の消費行動をみればそのような改善もさしたる影響をおよぼしていないように思う。企業の体力は回復したけれども、家計の力は衰えており、政府の財政は瀕死の状態にある。日本全体が好転しているのではなく、どこかが良ければ、ほかのところが綻びているというのが現実ではないだろうか。家計や政府の犠牲の下に、企業の体力は回復しているといってよいだろう。

商品市況変調来たす2006-09-10

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 原油価格は5日連続安となり、4月上旬以来約5ヵ月ぶりの安値となった。商品市況をあらわす代表的な指数であるCRBも3月下旬以来の低い水準に下落し、資源高の下降局面入りを窺わせる。資源高が世界経済を熱くしていただけに、もし市況が急激に冷えることになれば(市況とはそういうものだが)、世界経済に及ぼす影響は相当なものになるだろう。

資源高特需で拡大する米国経済2006-09-03

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 米GDP改定値によれば、4−6月期の実質経済成長率は前期比年率2.9%と速報値よりも0.4ポイント上方修正された。名目ベースのGDPは13.2兆ドル、個人消費支出だけで9.2兆ドル(1ドル=117円円換算で1,076兆円)もあり、米国経済の規模は桁違いに大きく、世界経済の行方は米国次第だということを再認識させられる

日本の金融政策を決定付ける米国の利上げ休止 2006-08-27

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 8月第3週の外人の日本株買い越し額は6,747億円に拡大した。これで5週連続の買い越しとなり、しかも05年9月第2週以来、約1年1ヵ月ぶりの規模に膨れ、日本株回復を主導した。先週は大幅買い越しの後だけに、外人も手控えた模様で、週間ベースで日経平均株価は6週間ぶりに反落した。
 7月末発表の6月の『鉱工業生産指数』が伸び、8月9日発表の6月の『機械受注』が予想をはるかに上回り、4−6月期の『GDP速報値』(8月11日発表)も拡大したことなどが、外人買いの背景と考えられる。この間の値上がり幅は約1,700円に達し、株価収益率は20倍を超え、7月中旬から1.7ポイント上昇、株価は実体経済を織り込んでしまったと言ってよいだろう。

米国の原油輸入減で原油高もピークか 2006-08-20

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 米鉱工業生産指数は7月、前月比0.4%と2ヵ月連続のプラス、前年比も4.9%増加し、米国の生産は拡大している。生産は拡大しているが、06年1−6月期の米石油関連製品輸入量(原油含む)は前年比2.0%減と半期ベースでは02年1−6月期以来、4年ぶりのマイナスとなった。原油価格高による節約の影響もあらわれているが、米国景気が減速に向かっている兆候なのかもしれない。原油の輸入量に限れば、05年7-12月期に前年割れとなり、06年1−6月期も2.7%減少した。原油価格は1バレル=70ドルを依然超えているが、すでに1年、米国の原油輸入量は前年を下回っており、需要は減退している。原油市場がこうした事実を直視することになれば、中近東の不安材料はあるものの、原油価格は間違いなく大幅に下がるだろう。

資源高による景気拡大は続くか 2006-08-13

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 週末に発表された4−6月期の『GDP速報』によると、名目で前期比+0.3%と伸び率は2四半期連続で低下し、日本の景気は減速しつつあることが読み取れる。民間最終消費支出は0.6%と前期よりも伸びは高くなり、民間企業設備も3.7%と好調だったが、民間住宅、外需さらに公的需要の減少が成長の足を引っ張った。

好調な輸出と低調な内需が混在する日本経済 2006-07-30

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 週末に発表された4−6月期の米GDPがコンセンサスを下回ったことから、次回FOMCによる利上げが見送られる観測が強まり、米長期金利は約1ヵ月半ぶりに5%を下回った。一方、為替レートは米国経済減速、金利差縮小を期待し、主要通貨に対してドルは売られ、円ドルレートも114円台に振れた。景気減速という不安材料を脇に置き、利上げ打ち止めという好材料だけを評価し、米株式相場は反発した。
 日経平均株価も4−6月期の業績を好感し、15,000円台を回復した。6月調査の『短観』によれば、大企業製造業の経常利益は前年比6.0%減の見通しだが、4−6月期の出だしはそれほど悪くないようだ。製造業の業績が伸びている最大の要因は、輸出が好調なからである。6月の数量ベースの輸出は前年比8.6%と前月よりも伸び率は低下したが、それでも高い伸びであり、こうした好調な輸出が企業業績を押し上げているのだと思う。

日米の金利低下と株式不振 2006-07-23

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 日銀はゼロ金利を解除したが、週末、長期金利は1.815%と2週連続の低下となった。20日には1.81%まで下がり、7月6日の直近ピークから0.165%低下した。ユーロ円(3ヵ月物)は上昇を続けていたが、日銀がゼロ金利を解除する前日の13日をピークに低下しており、金融市場は行過ぎていた金利を修正しつつある。日本経済の成長がさらに高くなるよりも低くなる可能性が大きく、政策金利の早期引き上げは行われないだろうという見方が優勢になっている。翌日物と短期金利の差が大きいため、短期金利の低下はまだ続き、それに伴い長期金利も緩やかに下がるだろう。

名目経済成長率伸びず超低金利続く 2006-07-17

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 14日、日銀は01年3月から続けていたゼロ金利を解除した。0.25%に引き上げたが、すでにユーロ3ヵ月物は0.4%を超えており、市場の動きに約1ヵ月半遅れて引き上げたにすぎない。市場金利が顕著に上昇しているときに、0.25%の利上げを9人もの高給取りが集まり決定すべきことなのだろうか。それこそ金と時間の無駄だと思うが。独立しているといいながら、国債の買い入れ額は現行通り月1.2兆円を維持し、政府に貢ぎ続けるのである。結局は国のいいなりになり、国の放漫財政を許し、財政赤字の拡大に加担していることを日銀はどのように考えているのだろうか。

政府の「骨太の方針」、3%程度の経済成長を前提 2006-07-11

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政府は7日、「骨太の方針2006」(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006)を閣議決定し、06年度の政府経済見通しを改定した。それによると、06年度の名目GDPは当初見通しを0.2ポイント上方修正し2.2%とし、07年度は2%台半ばを見込んでいる。06年度は0.6%のゲタを履いているけれども、それでも06年4−6月期以降、前期比0.6%強の成長を続けなければ見通しにはとどかない。

FRBの利上げはまだ続く 2006-07-02

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 FRBは28、29日開催のFOMCで政策金利を0.25%引き上げ年5.25%とした。FOMCの声明は、今後の追加利上げは物価と経済成長の両面を睨みながらになると述べ、金利引き上げが最終段階に差し掛かっていることを窺わせた。声明を好感し、米株式と債券相場は上昇した半面、主要通貨に対してドルは売られた。ドル安により金や原油等の商品市況は強含んだ。
 米1−3月期の実質GDPは年率5.6%に上方修正され、4−6月期がこのような高い成長から減速することは間違いないが、05年の3.5%程度は確保できるのではないだろうか。1−3月期の伸びは05年10-12月期が1.7%に低下したことの反動であり、05年9月から06年3月までの半年でみれば3.7%と05年4月から9月までの成長率と同じである。やや長い期間をとれば、米経済成長率は低下しているとはいえない。FRBは「最近の指標をみると、経済成長は06年初めの極めて力強いペースから減速しつつある」と心配しているが、4−6月期は適正な姿に戻るだけで、減速という表現は相応しくない。

円安ドル高と外人の日本株売り 2006-06-25

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米国の利上げと日本のゼロ金利継続見通しにより、対ドルで円は約2ヵ月ぶりに116円台に値下がりした。5月の米住宅着工件数は195.7万件、前月比5.0%増加し、4月まで3ヵ月連続減と先行きを不安にさせていたが、ひとまず増加に転じ、景況感にプラスに作用したようだ。米長期金利は5.2%台まで上昇したが、長期的にはまだ低い水準にあり、住宅着工を著しく阻害する要因にはならないだろう。住宅着工が緩やかに減少していけば、消費者物価を落ち着かせることにもなり、景気拡大を支えることにもなる。  設備投資もまだ高い水準を維持できそうである。5月の米耐久財受注によると、資本財(航空・軍需除く)は前月比1.0%と2ヵ月ぶりにプラスとなり、前年比では10.0%の増加だ。在庫は前年比4.0%増にとどまっており、受注の伸びを下回っている。米国企業の設備投資意欲は旺盛であり、いまのところ長期金利の上昇もさほど影響していない。

日銀の信用揺らぎ金融規律は緩む 2006-06-18

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 日銀の福井総裁が村上ファンドに1千万円を拠出していたことがあきらかになった13日、株式は614円安と米同時テロ直後の01年9月12日以来の下げ幅を記録した。ゼロ金利は容易に解除できないという見通しが強まり、債券は買われ円は売られた。
 福井総裁は村上ファンド以外にも株式を保有しているという。日銀の最高幹部であり、金融政策決定会合の議長である日銀総裁が、株式の取得・売却を報告義務だけで済ますことができる日銀の内規にも問題があるが、福井総裁はあまりにも地位にふさわしくない資産管理をしていたといえる。日銀の内部規定も杜撰であり、一部の政策委員には信託に預けるように忠告していたようだが、身内の総裁にたいしては具申することも憚られるのか、あるいは信頼しきっていたのか、株式を信託に預けることもなく、村上ファンドへの投資も放置されたままになっていた。
 日本銀行の接待汚職事件で98年3月、日銀副総裁を退任した福井総裁は、99年に村上ファンドに拠出したという。日銀不祥事のことは忘れて、不祥事を起こし逮捕された人物のファンドに関っていたのである。村上はインサイダー取引で金儲けをして捕まったが、福井総裁もインサイダーを他人事のように考えていたのであろうか。これだけインサイダー取引が喧しく言われているなかで、金融政策のトップがインサイダーに疎い資産管理をしていたとはもってのほかで、金融政策など論じる資格はないのではないか。一度不祥事の責任を取り辞めた人物が、最高幹部のポストに就くという人事を遂行した責任は重い。

欧米に相対的に劣る日本の景気と株価の上昇 2006-06-11

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 1週間でTOPIXは108ポイント、4月7日の年初来高値から285ポイントの急落である。いつものことだが、いったん相場が下げだすと不安が不安を呼び、つるべ落としのように下落する。日本経済が過去数ヵ月で劇的に変化したわけではないが、株価が実体経済から遊離していたため、なんらかの不安な兆しがあらわれることになれば、一気に売り姿勢に傾いてしまう。特に、集団志向が強い日本人は、外人の売りにつられて株式市場の出口に殺到している。
 景気は拡大しているとはいえ、6月で拡大期間はすでに53ヵ月に達しており、戦後2番目の長期拡大である。これだけ景気拡大が続いていることは、景気は成熟し、ピークアウトするときが近づいていることでもある。いま景気が好調であるという報道を鵜呑みにするわけにはいかないのである。景気の長期拡大が先行きを不安にし、市場を神経質にしているのである。

金を増やす巧い話は無い 2006-06-04

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 経営を正すという触れ込みで企業の株式を買い占めていた「村上ファンド」の実態が暴かれようとしている。ライブドアの虚偽事件が冷めやらぬうちに、「中央青山監査法人」の業務停止処分や今回のインサイダー疑惑が持ち上がり、証券市場は疑惑の巣窟の観を呈している。暴利を得るためには、市場を首尾よく利用することが最も手っ取り早く、ルールすれすれの取引や嘘の報告、内部情報といった違法行為がはびこる土壌の改善は容易ではない。これからも同じような違法行為が手を代え品を代えてあらわれるだろう。

景気減速による債券高・株安 2006-05-29

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前週末、日経平均株価は16,000円を割り込み、昨年末の値段を下回ってしまった。外人が日本の株売り、債券買いの姿勢を引き続きとっているからだ。5月第3週、外人は日本株を4,835億円売り越し、債券を8,377億円買い越した。日本経済の長期的な成長率から判断して、国債利回りの2%超えは、行き過ぎだと捕らえたからである。名目経済成長率は01年度を底に、4年連続の上昇となったが、それでも05年度は1.7%にすぎず、実体経済に照らしあわせば、債券はあきらかに売られすぎだし、株式は前年を5割近くも上回っており、買われすぎなのである。

米住宅着工の減速により物価の安定続く 2006-05-21

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 4月の米消費者物価指数(CPI)発表後、NYダウなど米株価は軒並み急落した。予想よりもCPIの上昇率が高く、インフレ懸念が強まり、FRBの利上げがまだ続くということが下げの要因になったようだ。CPIコア(食品・エネルギーを除く)は前月比0.3%と前月と同じ上昇率であり、前年比では2.3%と3月よりも0.2ポイント高くなった。これだけの理由でなぜこれほど下げたのだろうか。商品市況が過去最高を更新するなかで、物価上昇に点火するかもしれないといった不安が市場心理を冷やしたのだろうか。

実体経済からみてドルは売られすぎ

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 一次産品価格の高騰は衰えることなく、CRB指数は過去最高を更新した。米債券・株式相場は下落し、米国から投機資金は流失、ドルは大幅安となった。10日、FRBは政策金利を0.25%引き上げ年5.0%とし、今後の変更は経済動向次第だと声明に明記した。とはいえ、物価は安定しており、政策金利を引き上げるにしても、小幅な上昇にとどまるはずだ。政策金利の上昇が限られたものであれば、米債券利回りの上昇も最終局面にあるといっていいだろう。

夏頃には円安ドル高へ 2006-05-03

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先週、週初から急激な円高ドル安が進み、週末には113円台へと昨年10月以来の円高となった。原油高によって原油消費量の多い米国景気が減速に向かい、政策金利の引き上げも最終局面に近づきつつあるとの見通しからドルは売られた。バーナンキFRB議長の政策金利の早期打ち止めを示唆する議会証言や1−3月期のGDPの高い伸びも4−6月期以降減速するとの見通しからドル売り材料になった。
 米長期金利は5%強に上昇し、政策金利よりも高くなった。長期金利と政策金利の相関性は強く、長期金利が政策金利の方向を予想しながらやや先行する傾向がある。インフレが2%前後にとどまるという期待のもとでは、長期金利はほぼ政策金利の上昇を織り込んでしまった。長期金利が上昇する過程では、米債券投資は手控えられることから、ドル需要は減少し、円高ドル安に向かいやすい。

資源高でもつ脆い世界経済の地盤 2006-04-24

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 原油価格は過去最高を更新しているが、3月の米消費者物価指数(コア)は前月比0.3%、前年比2.1%と落ち着いている。過去1年間を振り返ってみても、前年比2.0%〜2.2%の狭い範囲の動きとなっており、原油高の影響は限定的である。衣料やコンピューター関連製品価格は引き続き前年を下回っており、消費者物価を引き下げている。原油多消費国の米国でさえこの程度の値上がりにとどまっていることは、欧州の物価はさらに安定し、日本にいたってはかろうじてプラスというのもうなずける。世界のコア上昇率も2%程度であり、物価については理想的ともいえる伸びといえるだろう。

今の2%近い長期金利は行き過ぎ 2006-04-16

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 原油価格が昨年9月以来の高い水準に上昇したほか、銅も6,000ドルを突破するなど商品市況は高騰を続けている。国際エネルギー機関の幹部が「現状の原油価格は需給では説明できない」と述べているように、69ドルの原油価格は世界経済の動向を反映しているとは言いがたい。だが、これだけ原油等の値段が高水準に維持されていることは、なにか高水準を保つことができる要因があるはずだ。イランの核問題も供給不安につながるし、原油の利権をめぐる中国の動き、さらにロシアの資源外交も原油需給に影響しているのだろう。

ゼロ金利による株高、バブル膨らむ2006-04-09

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 3月調査の日銀「短観」の業況判断は足踏みを示したが、日経平均株価は5週連続の上昇となり、00年7月以来の高い水準で引けた。一方、債券相場は下落し、利回りは急上昇したが、米国の堅調な景気を反映して、為替相場は円安ドル高となった。銅や金などの市況は引き続き強く、商品市況と一般物価水準の開きはますます拡大してきている。そのため資源供給国の資金は潤沢となり、そうした資金が世界の株式市場になだれ込んでいるようだ。

ゼロ金利と外需に委ねた設備投資の危うさ 2006-04-02

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 27日に発表された1−3月期の「法人企業景気予測調」によると、大企業製造業「貴社の景況判断BSI」(「上昇」−「下降」)は3.1%と前回調査時の予想を下回り、前期比7.4ポイント低下した。大企業非製造業は7.9%、前期比2.6ポイントの低下となり、大企業の業況は悪化した。4−6月期以降の景況判断は改善する見通しだが、原油が60ドル台半ばに上昇するなど、原材料高が収益を圧迫することも予想され、先行きは不透明である。景気の影響を受けやすい中小、中堅企業(製造業)の景況判断は大幅に悪化し、マイナスに転落した。

米物価安定と景気不安材料2006-03-26

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 2月の米消費者物価(コア)は前月比+0.1%と安定した動きをしており、インフレに進むような気配は感じられない。総合指数も0.1%にとどまり、前年比では3.6%と昨年9月から1.1ポイント低下した。生産者物価も2月、前年比3.7%と昨年9月の6.9%から大幅に低下しており、消費者物価の低下要因になろう。原油価格は依然バレル60ドル台にあるが、前年比では10%台に低下しており、物価への影響は薄れ、夏にかけて消費者物価のコアは前年比1%台に低下するであろう。
 FRBは今週のFOMCでFFレートを0.25%引き上げ4.75%にする見通しだが、物価ではなく実体経済の強さを和らげるための利上げなのだろう。バーナンキ議長をはじめとする理事・総裁は、実体経済は予想を上回る成長を維持しているととらえており、実体経済の強さがいずれ物価に波及するとみているのではないか。

3月20日号は著者都合により休刊となります。

量的緩和解除によりマネタリーベース収縮へ2006-03-12

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 3月9日、日銀は01年3月に導入した量的緩和の解除を決定し、即日実施すると発表した。金融市場調節の操作目標を日銀当座預金残高から無担保コールレート(翌日物)に変更するが、日銀は現状と同じゼロ%で推移するように促すことを声明に書きとめた。
 新聞は量的緩和解除をトップ記事として大々的に報道したが、量的緩和とはなにかについて核心を突く記事はみられなかった。準備預金の調整は政策金利の変更と並んで金融政策の中心をなす。銀行は預金の一部を日銀に無利子で預ける仕組みが準備預金制度だが、法律で定められた金額以上の預金を日銀に預けることは、それだけ銀行にとっては貸出等運用にまわす資金が少なくなることであり、金融引き締めになる。預金が貸出され、貸出が他の銀行の預金になるという貨幣の流れによって信用が創造されるが、銀行預金のうち日銀に預ける割合が大きくなれば、信用は収縮することになる。

量的緩和という曖昧な中身2006-03-06

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 日銀の量的緩和解除観測が株式・債券市場に影響を及ぼしていると言われている。株価と債券相場は下落し、為替はやや円高ドル安に振れた。量的緩和解除が実体経済に悪影響するのであれば、株式は下落するが、債券は上昇し、円は売られるだろう。量的緩和が解除された後には、金利の引き上げが控えており、そのことが相場に影響しているのだろうか。日銀のことだから、ゼロ金利をすぐに1%に引き上げるようなことはせず、0.1%程度の微調整がやっとだと思う。それでも不安なのは、実体経済に自信が持てないからである。すこしでも金利が上がることになれば、長期的に拡大している景気の腰を折ることになりかねず、デフレに舞い戻ってしまうと考えているのだろうか。

米国景気の拡大によりドル高円安へ 2006-02-27

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 原油等の鉱物性燃料の輸入増や一般機械、電気機器の輸入拡大によって、輸入が輸出を上回り、1月の貿易収支は3,489億円の赤字となった。赤字は01年1月以来、5年ぶりである。地域別には、対米国・欧州の黒字は増加したが、対中東や中国の赤字が拡大し、黒字を維持できなかった。
 貿易収支は赤字だが、対米輸出は好調であり、金額ベースでは1月、前年比21.7%伸びた。一般機械、電気機器も堅調だが、特に、自動車が好調であり、前年比43.1%も伸び、対米輸出の伸びの5割強を自動車が占めた。対EUの輸出も14.8%増と2桁増となったが、対アジアは5.1%と6ヵ月ぶりの低い伸びとなった。
 対米輸出は数量ベースでも12.0%と昨年7月のマイナス1.0%を底に拡大しつつある。日本からの輸出がこれだけ伸びていることは、米国の消費は強く、景気は拡大していると考えてよさそうだ。OECDの米景気先行指数によると、04年以降、05年の半ばまで米景気は踊場にあったが、その後、拡大しつつあることがわかる。

米実体経済強く利上げ続く 2006-02-19

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 バーナンキFRB議長の議会証言はFOMCの内容を踏襲し、金融政策は今後の経済の動きいかんだという、ごくありふれたものであった。1月の米鉱工業生産は前月比0.2%低下したが、電力・ガスの落ち込みによるものであり、製造業は0.7%増と底堅い。小売売上高は1月、前月比2.3%、前年比では8.8%も増加した。自動車等を除いては前月比2.2%、前年比9.9%も増加し、米国の消費は力強さを増したといえる。ただ、2月のミシガン大学消費者センチメント指数は前月よりも悪化し、消費者心理は統計数値のように良くない。1月の生産者物価指数は前月比0.3%、前年比5.7%伸び、コア(食品・エネルギーを除く)は前月比0.4%と高めだが、前年比では1.5%と昨年7月の2.8%をピークに大幅に鈍化してきており、物価上昇圧力は低下してきている。生産者物価指数の前年比伸び率の鈍化は、しばらくして消費者物価の低下につながるだろう。実体経済は堅調であり、物価も沈静しつつあるのであれば、金融政策を弄る必要はないように思うが、FFレートは4.5%と名目経済成長率を下回っており、5%台半ばまで引き上げる可能性は高い。

金利上昇のにおいを嗅ぎ取る株式市場 2006-02-13

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 日銀は3月8、9日開催の金融政策決定会合で量的緩和を解除するようだ。福井日銀総裁は「日本経済については、理想的とまでは言わないが、どの角度から見ても比較的バランスの良い経済の姿になって」おり、消費者物価(除く生鮮食品)も「1月分の指数は、これまでの数字に比べよりはっきりとしたプラスになっていくと見込んでいる」と述べ、量的緩和を解除する条件が整ってきている点を強調している

米長短金利の逆転 2006-02-05

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 日経平均株価は昨年来高値を更新したため、債券は売られ、日米金利差のさらなる拡大を背景に円安ドル高が進行した。OPEC総会で原油生産量を現状維持にすることが決まったことから原油価格は値下がりしたが、銅を始めとする非鉄金属の値段は鰻登りの様相を呈しており、ロンドン市場で銅先物価格は先週末、前年比67.8%も値上がりした。米株式相場の上値は重く、債券相場も膠着状態にあるためか、投機資金は商品市場に向かっているようだ。

個人は株になぜこれほど強気になれるのか2006-01-29

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 日経平均株価はライブドア事件後の急落を完全に埋め、昨年来高値を更新した。ライブドア事件が発覚し急落した1月20日までの1週間に個人は5,296億円と約18年ぶりの大幅な買い越しを記録した。13日までの1週間でも3,755億円を買い越し、年初からでは9,145億円となり、外人(2,756億円)の買い越し額の3倍強に膨れた。

「貯蓄から投機」に導いた政府・日銀の政策、ライブドア問題の根源 2006-01-22

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 数々の疑惑が明らかになり、上場廃止になると思われるライブドアに売りが殺到、その影響が市場全体に波及している。18日には東証は売買停止に追い込まれ、昨年からのシステムダウンの教訓がまったく活かされることなく、またも大失態を演じた。
 実体経済が良好なので株式市場の調整は一時的であり、日経平均株価は15,000円台から大きく値下がりしないだろうという見方が一般的だが、ライブドア一社の問題によってなぜこれほど激しいパニック的な売りが出てくるのだろうか。基本的には実体経済を無視した水準にまで値上がりしていたことが、このような爆発的な売りを引き起こしたと理解すべきではないか。

信用買い残の急増 2006-01-15

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 1月6日時点の信用買い残(3市場)は5.45兆円、前週比2,227億円も増加し、上昇の起点になった8月からは約2倍に拡大した。個人は現物では昨年5月以降売り越しているが、信用では同8月以降買い越しており、12月は9千億円超と外人の買い越し額を上回った。信用買いによって株価は上昇し、さらに信用買いを誘い込むという構図になっている。

5割近い株式の値上がりは続かない2006-01-09

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 昨年からの強基調を引き継ぎ、年明け以降も3営業日連続高となり、日経平均株価は昨年来高値を更新した。株高にもかかわらず、長期金利は低下気味であり、為替相場は大幅な円高ドル安となった。原油や金の再燃からCRB指数は過去最高を記録し、今年も一次産品価格の動向が経済や市場を支配する気配が窺える。
世界の主要株価指数なかでも日本株の上昇がトップクラスだが、実体経済面からそれを裏付けることができるだろうか。日経平均株価のPERは24倍を超え世界的に割高になっているが、この割高を正当化できるほど期待経済成長率が高くなったのだろうか。国勢調査により人口減に突入したことがはっきりしたが、これが長期期待経済成長率にどのように影響するのだろうか等々を考えることなく、市場は見切り発車してしまったようである。

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この記事は「編集者」の寄稿です。2006年11月14日 08:54.

人間の経済 2006 は以前の記事です。

第29号 Date: Mon, 5 Jul 2004 は以降の記事です。

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