2004年11月 Archives

第28号

  • 特集 マルクスとゲゼルの資本理論
  • 搾取とその原因、そしてそれとの闘争 シルビオ・ゲゼル
  • 自由地と自由貨幣による自然的経済秩序 第三部 貨幣論-金属貨幣と紙幣(下) シルビオ・ゲゼル

週刊マーケットレター 2004

■ 日本株保有の魅力失せる 2004-12-19

 欧米の株高や長期金利の低下等によって、日本の株価も値を保っていると言われているが、実体経済の悪化には逆らえず、下値を探る展開となろう。欧米の株式が堅調になれば、日本株も底堅く推移するというコメントをよくみかけるが、過去の関係をみると相関関係の強いときもあるし、逆相関の期間も認められる。90年代以降のトレンドはほぼ逆に動いており、欧米の株高が直ちに日本の株高に結びつくというのはあまりにも単純だ。米国の収益増加率はピークアウトしており、米株価は実体経済からずれてきているのではないか

■ 設備投資の冷え込みによる景気悪化のリスク高まる 2004-12-13

バブル崩壊後の経済成長率としては、消費税税率の引き上げによる駆け込み需要で伸びた97年1−3月期以来となった今年1−3月期の名目成長率(前年比3.2%)は、その後、1%台前半に低下した。名目前期比では4−6月期マイナス0.6%、7−9月期横ばいと冴えず、景気は後退といえる状況にある。

■ 国内景気の減速ピッチ速まる 2004-12-06

 国内の景気減速は強まっているが、今後、さらに厳しい状況に陥るであろう。株価は11,000円台に戻ったが、景気減速下での買いは限定的であり、実体経済からズレた動きは長続きするはずがない。景気循環に則るならば資産運用は株式から債券に移すのが定石といえる。機関投資家を始めとする多くの資産運用者は実体経済をろくに見ることなく、資産運用に取り組むという愚を犯している。実体経済を読み解く訓練を怠ったことによる運用損は計り知れない。

■ バブルが癒えぬまにまたバブルに染まる日本の株式市場 2004-10-25

 日本のハイテク企業の業績は米国に連動しているため、米国のハイテク企業の不振は、即日本の不振となり、株価にも反映されることになる。今週、ハイテク企業の業績発表が集中するが、決して株価を回復させるような内容にはならないであろう。むしろ、回転売買等により、吊り上っている投機相場の矛盾が噴出しそうである。
 東証1部の売買高は10億株を上回り、売買代金は1兆円前後を維持している。信用買い残はピークに比べれば5,400億円減少したが、依然2.5兆円もが売り圧力として現存している。個人参加者が短期売買を繰り返していることが、売買高が高い水準を維持できている要因と考えられるが、実体経済を無視した思惑だけの材料株中心の商いでは、早晩、行き詰まるのは目に見えている。
 売買手数料の低下が、個人投資家を株式市場に呼び込むことに成功したようにいわれているが、実際、相場は超短期売買中心になり、日本は米国以上に投機性の強い市場となった。投機が行き過ぎることになれば、どのような結末になるか、80年代後半のバブルで懲りたはずである。そのバブルの痛手から完全に立ち直らないうちに、再びバブルに染まるとは、日本の株式市場はもはや救いようがないとしかいいようがない。
 流動性が増せば増すほど投機性が強まり、相場は不安定になることが明らであるにもかかわらず、流動性を高める政策を推進した市場関係者の責任は重い。90年代以降、世界経済史に類を見ないバブル崩壊に見舞われたが、それに対する考察、反省がないままに、バブルを生み出す政策が取られてしまった。
 当局は直接金融に肩入れするために手数料の自由化を導入し、証券会社は手数料欲しさに個人を回転売買に走らせている。株式相場が右肩上がりのときは、首尾よくいくが、一旦相場が下降しだすと、すべては悪い方向に進むことになる。相場の厳しい下落は参加者を排除するだけでなく、期待収益率を低下させ、設備投資マインドに悪影響する。景気は下振れし、そのことが株式相場を一層冷やすことになるのである。日本の株式市場は、超短期売買という極めて脆弱な仕組みの上に成り立っていることを忘れてはならない。 来週は休刊いたします。

■ 不安募る米雇用統計 2004-10-11

 市場関係者だけでなく選挙関係者も注目していた9月の米非農業部門雇用者数は前月比9.6万増と予想や前月の数値を下回り、米国の雇用改善が弱まってきていることを裏付けた。今年3月には35.3万人増加したが、その後増加ペースは落ちてきており、米国経済の勢いは弱まりつつある。過去数ヵ月、労働時間は一定だし、時間当りの賃金も微増に押さえられており、原油価格は53ドル台まで急騰したが、インフレが心配されるような情勢ではない。
 個人消費支出は8月、前年比5.1%増と03年7月以来の低い伸びとなり、米国経済のエンジンである消費の減速が、企業の雇用政策に影響を及ぼす段階に差し掛かってきた。資本財受注の前年比伸び率も緩やかに低下しており、米企業は設備投資に慎重になりつつある様子が窺える。ITバブル期でさえも資本財受注の伸びが10%を超えたのは2ヵ月に過ぎなかったことから判断しても、今回の拡大がいかに強いものであったかがわかる。だが、いつのときも設備投資は行き過ぎる傾向があり、好調であればあるほど落ち込みも大きくなるものだ。米資本財受注の伸びはピークを付けた可能性が高く、資本財受注の先行性から推し量れば雇用の悪化する時期は近いのではないか。
 9月のISM製造業景況指数は58.5と2ヵ月連続で低下し、今年1月に付けたピークから5.1ポイント低下した。水準自体は50を超えており、製造業の拡大を示しているが、雇用統計に先行する傾向があり、ISM製造業景況指数のピークからの低下は、その後に雇用の伸びが反落に向うことを示唆しているようだ。

■ 投機支配の脆い相場 2004-09-13

 経済実態など眼中にないその日暮らしの相場が続いており、日本の株式市場は空前のマネーゲームの様相を呈している。個人投資家や証券会社が飛びつきそうな低位の危ない銘柄に商いは集中しているため、10億株を割り込んでいた出来高は9月3日以降、ほぼ15億株を上回ってきており、低下していた売買回転率は上昇しつつある。投機相場は投機的確信が揺らぐところまで持ち堪えるが、いつ投機心理に変化が生じるか予測はできず、リスクの高い不安定な相場といえるだろう。
 市場参加者は景気に対して不安を感じ始めていることも、投機相場に拍車を掛けているのだろう。横並び意識の強い日本人の心理からすれば、市場全体に景気懸念が一気に広がることも予想され、そうなれば株価は急落し痛い目に合うからだ。そもそも、遠い将来の利益を得るために株式を買う人はいないも同然で、大半は今日中にも利益を得ようとしているのである。だが、短期売買で儲かるのであれば、証券会社は顧客などいらないことになる。自己売買で稼げばよいのだから。これが通用するのは右肩上がりのときだけであり、相場が横ばいないしは下向きになると、個人同様、自己もお手上げになるのである。すでに相場は下降していることから、短期売買で利益を上げることは至難の業である。4月末の高値で掴んだ信用買いの期日も近づいてきた。傷口が大きくならないうちに、手掛けている信用取引を手仕舞い、戦略を練り直すことが必要である。目先の利益だけを追うという超短期売買に耽っている場合ではないのではないか。

■ ITバブルの再来 2004-09-06

 米非農業部門雇用者増加数(前月比)は3月を最高に減少していたが、先週末発表の8月分は前月比144,000人増と7月の73,000人増を上回った。だが、8月の主要小売業売上高が低迷するなど、個人消費は減速に向っており、米国経済が再び力強さを回復することはないであろう。米国の新車販売台数が8月まで3ヵ月連続の前年割れになったほか、ハイテク企業の代表であるインテルが7−9月期売上高を下方修正するなど、ハイテク企業の業績にも暗雲が垂れ込めてきており、米国の株価は下値を探る展開が予想される。一方、米国債券は雇用統計により売られたが、米国経済の減速傾向が強まるにつれて買われるはずだ。1−3月期までの強い経済統計の発表時期でさえドルの戻りは一時的であったことから推測すれば、円ドル相場は年末にかけて、円高ドル安に向うのではないか。日本の株式市場も米国経済・株式の影響を受けざるを得ず、4月下旬をピークとした下げが、どの程度まで続くかに関心は向っている。
 前回のITバブル破裂で大打撃を受けた日本のハイテク企業がおなじ轍を踏む様相を帯びてきている。ブームの末期であるにもかかわらず巨額の設備投資に邁進して、身動きが取れなくなる事態が迫ってきているようだ。企業は、在庫管理や意思決定の簡素化などを打ち出して設備投資の失敗を繰り返さないというが、所詮人間のやること、大航海時代と同じ不確実性から現在も逃れることはできないのである。
 企業内部にいても分からないことが、ましてや、外部のアナリストなどわかりようがない。アナリストの企業分析などないよりはマシの程度であり、彼らが書いたレポートをもとに株式の売買行為をするなどもってのほかだ。ITバブルを膨らませた原因のひとつにアナリストの思慮に欠けたレポートの存在を忘れてはいけない。

■ 原油価格の急反落間近 2004-08-22

 原油先物市場には投機資金が押し寄せ原油価格は最高値を更新した。買うから上がり上がるから買うといった経済実態を無視した投機相場がいつまでも続くことはなく早晩急激な下げ相場がくるであろう。株式相場以上に、商品市況は山高ければ、谷ふかしとなるのが通例であり、相場に深入りした投機家は破綻するはずだ。
 原油のような一次産品価格は需給の微妙な関係で価格が大きく変動することがあるが、価格が上がれば、需要は減少し供給は増大することになり、いずれ実体経済に相応しい水準に落ち着くことになろう。中国等の予想を上回る需要増が発生した半面、イラク、ロシア等の政治に根差した供給不安が原油価格に火をつけた。だが、米国に引っ張られて回復していた世界経済は、米国経済の減速とともに拡大過程から下降過程へと転換しつつある。
 OECDの景気先行指数は今年2月以降、ほぼ横ばいとなっており、景気の勢いは衰えてきている。前年比伸び率は3月をピークに3ヵ月連続で低下しており、景気転換のシグナルは鮮明にあらわれている。3月のピークでは前年比7.3%増とITバブル期のピークを上回り、87年9月以来の高い伸びであったことも、景気後退が深くて大きくなりそうな予測を可能にさせる。
 90年代後半以降のOECD景気先行指数(前年比)とWTI価格を比べてみると、景気先行指数がピークをつけた後にWTIもピークアウトしている傾向がでており、実体経済が原油価格を決定づけていることが明らかだ。98年の底値11ドル台から50ドル弱と4倍以上に急騰した原油価格が、世界景気後退により激しい下落に直面するのは時間の問題である。

■ ピークアウトした日本の経済成長率2004-08-16

 日本の4−6月期GDP(国内総生産)はデフレーター(物価指数)が引き続き大幅に下落したため、実質では前年比4.4%増加した。伸び率は前期より1.5ポイント低下したが、物価の下落による嵩上げにより、高成長が続いていることになる。これで8四半期連続のプラスとなり、ITバブル期の7四半期を超えた。
 だが、実態をあらわす名目GDPは前年比1.8%増と前期の伸びを1.4ポイント下回り、プラス期間も3四半期にとどまっている。今年1−3月期が3.2%と97年1−3月期以来の高い伸びとなったことから、05年1−3月期は前年割れになる見通しであり、前年比プラスは5四半期で途切れることになりそうだ。消費支出は1.8%増と前期並みに伸びたが、民間企業設備は4.0%と前期の半分以下に低下した。外需は28.8%増に鈍化したものの成長率を0.5ポイント引き上げた半面、公共事業の削減から公的需要は3.0%減少し、民需と外需がプラス成長を支えている。
 経済成長率は04年1−3月期がピークになり低下していくことになろう。米国経済の減速がこれまで成長を牽引していた外需を弱めるほか、すでに5四半期連続で拡大している民間設備投資も、ほぼ一巡したもようであり、伸びは鈍化していくはずだ。4−6月期の雇用者報酬は前年比-0.9%とマイナス幅は縮小したが、4四半期連続の前年割れとなり、消費が本格的に回復する状況ではない。民間設備投資と外需により回復してきた今回の景気は、年末にかけて下降する可能性が濃厚になってきた。

■ 7月の米雇用統計の衝撃

 週末発表の7月の米雇用統計は予想を大幅に下回り、米国の景気拡大ペースが明らかに
鈍ってきていることを示した。景気拡大ペースの鈍化がはっきりしたことから、株式を売
り、債券を買う動きが活発となり、NYダウは年初来安値を更新、債券相場は急騰した。原
油価格は過去最高を更新するなど、商品市況も高い水準にあるが、米国景気のスローダウ
ンを反映し、早晩、弱含むであろう。対円でも強含みで推移していたドルも雇用統計によ
って、全面安の展開となっており、巨額の貿易黒字を抱える円に対してはさらに円高ドル
安が進行する見通しである。

■ 米消費ピークアウトに根差す世界株安 2004-07-25

 週末、NYダウは2ヵ月ぶりの1万ドル割れとなり、ナスダック総合は年初来安値を更新した。ナスダック総合は年初来高値(1月26日)から14.1%下げた。日経平均株価は7月の頭まで回復していたが、12,000円の壁は厚く跳ね返され、再び下降しつつある。日米ともに、実体経済がピークを超えたにもかかわらず、政府の「堅調に回復」などの口車に乗せられて、買い進めてきた付けが回ってきた。
信用買い残は3週連続で増加し、今回の信用買い残の増加過程でほぼピークの水準にある。株価が下がり続けることになれば、信用買いの損失は拡大し、持ちこたえることができなくなるはずだ。年末にかけて、景気の減速が顕著になると考えられるが、そうなって始めて、世間は景気悪化に目を向けることになり、処分売りが加速することになりそうである。景気の甘い判断を信用し、投機に走った結末がどのようになったか、90年代の暴落を今一度思い起こす必要があるように思う。
 グリーンスパンFRB議長は20日の議会証言で「景気は自律的な拡大局面に入った」と景気への自信を深めているが、株価は下げ足を速めている。「個人消費は底堅さを保つだろう」との発言も説得力に欠ける。6月の米小売売上高は前年比6.3%増と前月より伸び率は2.9ポイント低下した。電気製品の売上高は8.5%増と2月の13.3%増から大幅に低下しており、消費の勢いは明らかに弱くなっている。米国経済の約7割を占める消費の伸びが鈍化すれば、設備投資マインドにも影響することは間違いなく、企業収益も悪化するだろう。このような米実体経済の減速見通しが、市場参加者の不安を掻き立て米株価を押し下げ、さらには日本株・欧州株など世界的な株安の引き金となっている。米国の消費失速を食い止める要因は見当たらず、米株価の下げ相場は続くであろう。。

■ 米株式相場、経済成長鈍化を織り込む動きへ

 米国経済は主力エンジンである消費によって拡大してきたが、すでに消費の拡大ペースは落ちてきており、米国経済はスローダウンの途上にあるという見方が広まってきたことが、米国株式不調の最大の理由であるように思う。
 米商務省によると、5月の個人消費支出は前年比6.8%増と高い伸びを保っているが、2月の7.4%増を最高に鈍化しており、これを再び抜くようなことにはならないであろう。6月の小売売上高は自動車関連の不振などから前月比1.1%減少した。6月の個人消費の伸びも低下する可能性が高く、個人消費の伸び率鈍化がやや遅れて設備稼働率の低下を促すはずである。6月の設備稼働率は77.2%、前月比0.4ポイント低下し、昨年6月を底とした設備稼働率の回復も最終段階に差し掛かったと判断できる。

■ 株式相場、『短観』が戻りの限界を示す2004-07-05

 『日銀短観』(6月調査)の業況判断が予想を上回る内容を示したが、期待以上に買われていたことから株式市場の反応は鈍く、上値の重さが確認される結果となった。発表翌日には売買高が2月26日以来の10億株割れとなり、投機熱が冷めてきていることが窺われる。週初発表の5月の商業販売統計が6ヵ月ぶりに前年を割れたことや5月の鉱工業生産指数が予想を大幅に下回ったことなどを無視した相場の行き過ぎに、『日銀短観』発表による材料出尽くし感が加わり、投資家心理を不安にさせた。実体経済がピーク近辺にあることから、日経平均株価は4月26日の年初来高値(12163円)を抜くことはできず、下降していくことになろう。
 一方、債券相場は売られすぎの反動から上昇し、利回りは1.7%台に低下した。6月の米雇用統計が予想を下回り、米国経済の拡大テンポが緩やかになることを示唆したことなども、日本の債券相場を支えよう。6月30日、約4年ぶりにFRBは政策金利であるフェデラルファンズ・レートを0.25%引き上げ年1.25%としたが、非農業部門雇用者増加数の3ヵ月連続縮小や原油価格の下落によって、金利引き上げペースはより緩やかになり、対円でもドルは弱含むであろう。

■ 米利上げは1ドル=100円の突破もあり得る円高の始まり2004-06-28

 5月の日本の貿易黒字(季節調整値)は1.28兆円、99年1月以来の高い水準に拡大した。他方、米国の赤字額は4月、483億ドルと過去最高を5ヵ月連続で更新した。4月のような赤字が続くことになれば、赤字は年6,000億ドルに近くに達することになる。米国の輸入は多くがドルで行われおり、米貿易収支に為替レートの調整メカニズムは効き難い。
 米国経済が拡大を続けているときは、世界からモノを購入し、米国の不足を賄う必要があり、赤字拡大を免れない。5月の米資本財受注は前月比3.0%減と2ヵ月連続のマイナスである。前年比でも10.5%と伸び悩んでおり、米国景気の拡大ペースは鈍ってきている。資本財受注は米貿易赤字の拡大が徐々に緩やかになることを示唆している。
 米貿易赤字は超低金利と相俟って、過去にないようなドル余剰が発生し、ドルの残高は増加しつつある。世界のドル残高の増大は、円を始めユーロなどに対してもドルが減価していく主因と考えられる。米利上げ観測で一時的にドルは上昇したが、毎月1兆円前後の日本の貿易黒字がドル高に向っていた流れを逆転させた。余剰ドルを他の通貨に配分するにはユーロ、円の買い増しは不可避なのであろう。余剰ドルの増加が円高やユーロ高をもたらすのである。

 米国の政策金利(FFレート)と円ドル相場のチャートをみると、政策金利が引き上げられる過程で、円高ドル安が急速に進んでいることがわかる。政策金利のピークと円高ドル安のピークがほぼ一致している。 
 なぜか。利上げの過程では、米債券相場は下落するので米債の売りが増加する。債券利回りのピークは政策金利にやや先行し、米債券相場が底入れした時点で米債の購入が膨らみ、ドル高に切り換わるのである。こうした米政策金利の変更時と円ドル相場の関係から推測すると、今後、円高ドル安に向う可能性が高い。今週、実施される米利上げは、向こう1年以上継続される見通しだ。その間、円高ドル安が続けば、1ドル=100円の大台を突破することも想定しておいたほうがよさそうである。

■ 米国の実体経済と政策金利  債券相場は4週連続の下落となり、利回りは一時1.94%まで跳ね上がった。債券利回り の上昇により、株式配当利回りとの格差が広がり、株式が割高になったことに、韓国、台 湾の株式市場でハイテク株が急落したことが加わり、日経平均株価の上値は重く、11, 000円台の相場が続いている。値動きが乏しいことから、3兆円弱の信用買い残がしこり となり、売買高は10〜12億株程度に縮小してきた

 堅調な経済指標の発表にもかかわらず、月末にFOMCを控えていることから、米国株式も 動きが鈍い。騒がれていた原油価格は落ち着きを取り戻しつつあり、物価上昇懸念はピー クを超えたようだ。1−3月期の米経常赤字が過去最高を更新したことを材料に、投機資 金は為替市場に流入し、ドルは売られ、対円でも108円台と5月上旬以来の円高ドル安と なった

 「現時点で深刻なインフレ懸念はない」(グリーンスパンFRB議長、6月15日)との発 言により、米債券市場は落ち着きを取り戻した。月末の利上げ幅は予想通りの0.25%にと どまる見通しである

 5月の米消費者物価指数は前月比+0.6%の大幅上昇となったが、食品・エネルギーを除 くコア指数は0.2%増と伸び率は2ヵ月連続して低下するなど、インフレ懸念が高じる状況 ではない。コア指数の前年比伸び率は+1.7%と前月を0.1ポイント下回り、依然、歴史的な 低水準にある

 米設備稼働率は5月、77.8%と前月比0.7ポイントの上昇となり、01年5月以来の高い稼 働率となった。ただ、ウエイトの高い中間財が80.6%、前月比1.1ポイント上昇した半面、 最終製品は0.5ポイント上昇の73.6%にとどまっている。半導体等は80%を超えたが、通信 関連が50%強で低迷しているため、ハイテク製品の稼働率は71.0%と低く、物価安定に寄与 していると考えられる。米個人消費支出の前年比伸び率は4月まで2ヵ月連続で低下して おり、需要の側面からも物価上昇圧力は和らいでいる

 02年の年初以降、個人消費と鉱工業生産は立ち直り拡大してきたが、消費者物価指数 (コア)の前年比伸び率は昨年まで下がり続けた。原油価格の急騰により、2月以降上昇 しているが、個人消費や鉱工業生産の伸びはピークを超えたと予想され、需給関係による 物価上昇圧力は徐々に弱まるであろう

 消費者物価指数(コア)は5月、前年比+1.7%とフェデラルファンズ・レートを0.7%上 回り、実質金利はマイナスだ。景気拡大のほかにこうしたマイナス金利を解消するために、 FRBは政策金利を引き上げる。当面、FFレートは消費者物価指数(コア)の伸びに見合う 水準まで引き上げられるであろう。消費者物価指数(コア)の伸びが上昇すれば、それに 伴いFFレートの目標も高くなる。さらに、設備稼働率の上昇や民間設備投資の拡大などが みられれば、引き上げ幅は大きくなるはずだ。9月21日開催までの3回のFOMCでそれぞれ 0.25%の利上げが実施される見通しである。その後は実体経済の動向を睨みながらの政策 金利の変更ということになろう。

4月のOECD景気先行指数、17年ぶりの上昇で世界景気はピークか 2004-06-15

 債券相場は急落し、先週末の利回りは1.78%と00年11月以来の水準に上昇した。利回りは3週連続の上昇となり、その間の上げ幅は33ベイシスポイントに達した。週初、株価が今年最大の上げ幅をみせたほか、強目の経済指標(4月の『機械受注』や5月の『企業物価指数』)の発表などが債券関係者の心理を弱気にさせた。
 5月の国内企業物価指数は前年比+1.1%と6年7ヵ月ぶりの1%超となった。鉄鋼、非鉄の上昇率が3ヵ月連続の2桁増となったほか、原油高により石油・石炭製品などの素材製品が前年を上回った。ただ、主力の電気機械、輸送用機械は引き続きマイナスとなっており、全体の伸びを押さえている。今後、素材価格の上昇が電気機械、輸送用機械に波及する可能性はあるが、影響は限定的だと思う。原油価格も落ち着きを見せ始めており、世界の景気循環からも原油がさらに上昇することはないはずだ。鉄鋼、非鉄等の素材価格もこれまでの行き過ぎが是正され、国内企業物価も一時的な上昇にとどまる見通しである。
 不動産やリースのマイナス幅が大きく、4月の企業向けサービス価格指数は前年比0.6%減と前月と同じ下落率となった。経済に占めるサービス部門の比率が高いことから、素材価格の上昇だけで、物価全体が著しく値上がりすることはないであろう。
 世界景気と商品市況の代表的な指標であるCRB先物指数を比較してみると、オイルショックのように、商品市況の急騰が景気を失速させるケースもあったが、通常、商品市況は景気に遅行する傾向がみられる。
 4月のOECD景気先行指数は前年比7.4%増と前月と同じ伸びとなり、頭打ち感が強まった。これほどの伸びは90年代ではみられず、1987年8月まで遡らなければならない。景気先行指数の急激な伸びは、短期的に、世界景気はピークに達したと判断してよいのだと思う。世界経済の牽引役である米国景気の勢いに鈍化の兆しがある。OECD発表の米景気先行指数は昨年3月を底に、過去にないような急激な上昇を続けてきたが、6ヵ月比年率は昨年12月をピークに4ヵ月連続で低下しており、今後、経済成長率は減速していくと予想できるからだ。
 商品市況の遅効性から判断すれば、CRB先物指数はしばらく高止まり、国内企業物価に上昇圧力をかけるかもしれないが、長期金利は世界景気の減速に反応し、1%台前半の水準に落ち着くであろう。

設備投資、04年1−3月期がピークに 2004-06-07

 財務省の『法人企業統計』によると、今年1−3月期の全産業の売上高は前年比2.4%増加した。4四半期連続のプラスだが、伸び率は前期より0.7ポイント低下した。販管費比率は前年と同じだったが、売上高原価率が0.6ポイント改善したため、売上高営業利益率は4.0%と0.6ポイント上昇し、営業利益は20.8%の増加となった。営業利益は01年10-12月期の31.1%減を底に回復過程にある。ITバブル期は底から6四半期目に最高となったことなどから予測すれば、昨年10-12月期(22.0%)がピークになる可能性が強い。
 収益に遅行する設備投資は10.2%増とITバブル期を上回り、消費税率引き上げ前の駆け込み需要で急増した97年1−3月期以来7年ぶりの高い伸びとなった。底からの拡大期間は8四半期目となり、前回ピークを付けるまでに要した期間が経過し、設備投資はおそらく1−3月期がピークになるはずだ。設備投資を企業規模別にみると、中小企業(資本金1億円未満)は+25.1%と急増しているのに対して、大企業(10億円以上)は+3.6%と低調なのである。中堅企業(1億円以上10億円未満)も16.8%増加しており、大企業の慎重な投資マインドが浮き彫りになる。
 業績の拡大によって、人件費は前年比2.3%増と2四半期連続のプラスとなり、売上高の伸びとほぼ同じになった。昨年10-12月期までの5四半期、売上が人件費の伸びを上回り、収益の拡大に寄与していたが、人件費の増加傾向が続けば収益を圧迫することになろう。人員は+3.2%と4四半期連続の増加となったが、1人当りの人件費は前年を0.9%下回っている。大企業と中堅企業は1.2%、1.5%それぞれプラスだが、中小企業は1.7%減だ。中小企業の人員は全体の66%を占めており、消費へのインパクトは大きい。長期的に1人当りの人件費をみると、04年1−3月期までの14年間で中小企業は8.3%、中堅は11.9%、大企業は15.9%の増加となっており、企業規模による人件費格差は拡大している。1人当りの人件費の格差拡大が消費の回復を遅らしているだけでなく、社会的ストレスの増大ともなり、経済の安定性を損なう要因になっているように見受けられる。

生産と消費の拡大は持続するか 2004-05-31

 ドルは主要通貨に対して下落したが、米長期金利は落ち着きをみせ、NYダウは上昇した。原油価格の高止まりや混迷するイラク情勢に加え、5月の消費者マインドが予想を下回ったことなどが為替相場に影響したようだ。4月の米耐久財新規受注が前月急増の反動から減少し、米個人消費支出も前年比伸び率が低下しており、米国経済の勢いは鈍化しつつある。
 4月の『鉱工業生産指数』や『家計調査』など日本では強い指標が相次ぎ、対ドルで円は上昇、債券は売られた。株式は薄商いのなか3日続伸となり、11,300円台まで回復した。

04年1−3月の実質GDP、13年ぶりの高成長 2004-05-24

 18日、内閣府より1−3月期のGDP(国内総生産)速報が発表された。物価下落により嵩上げされた実質GDPは前年比5.4%と7四半期連続のプラスとなり、91年1−3月期(6.3%)以来13年ぶりの高成長となった。公的固定資本形成と公的在庫品を除けば、いずれも前年を上回り、日本経済は順調に拡大しているように見受けられる。民間最終消費支出は3.5%増加し、消費税率が引き上げられる直前の97年1−3月期(4.2%)以来の高い伸びとなった。民間最終消費支出のプラス成長は4年を超え、実質ベースでは消費不況といえない拡大を続けていることになる。民間企業設備は前期と同じ14.7%増と好調であり、実質GDP成長率の半分は民間企業設備が寄与した。90年以降、民間企業設備の2桁増は2四半期連続が最高であり、3四半期以上は一度もない。前回ITバブルのときは、伸び率が最低をつけてから、8四半期目に最大となったが、今回の拡大も8四半期目である昨年10-12月期でピークを付けたと考えられ、設備投資がさらに拡大する余地はさほど残されてはいない。

株安は景気・業績不安を反映 2004-05-16

 米金利上昇懸念から株価は急落、週末比、日経平均株価は3週連続の値下がりとなった。年初来高値を付けてから約3週間で1,300円を超す下げである。4月の最終週以降、外人は3週連続で売り越した模様であり、米政策金利の引き上げ機運は、外人を除き買い手不在の日本の株式市場に衝撃を与えている。外人の日本株売りが為替相場に影響し、円ドル相場は6週連続の円安ドル高となり、1ドル=114円台に下落した。外人は株売りに伴う円安で2重のマイナスを被っており、ドルベースの株価はピーク比では20%近い値下がりとなった。長期金利が上昇した米国でもNYダウとナスダック総合は3週連続安と冴えず、外人の日本株投資のリスク許容度は低下しつつある。昨年度、日本株を14.1兆円も買い越した唯一の買い手である外人が売り越しに変われば、たちまち日本株は値下がりするという市場の脆弱性が露呈した。
 株価値下がりのきっかけは、米利上げ不安だが、景気および企業業績が曲がり角に差し掛かっていることや、約1年の値上がりによって株価が将来の企業業績までを織り込んでしまったことなどが株安の基本的な背景なのである。最近の値下がりによって、予想株価収益率は20倍台前半まで低下してきたが、S&P500の18倍をはじめ海外の主要な株価収益率は日本を下回っている。日本企業の業績は今期も増益が見込まれているが、伸び率は大幅に鈍化すると予想されており、株価を引き上げるには力不足である。
 内閣府の機械受注統計によると、3月の受注額合計は前年比-1.4%と2ヵ月ぶりのマイナスとなった。外需や官公需はプラスだったが、民需が2桁のマイナスになったからだ。外需も昨年12月までは5割を超す月もあったが、今年1月以降は1桁増に鈍化しており、外需も変調を来たしている。船舶・電力を除く民需は+0.2%と弱く、昨年10月の23.1%増をピークに下り坂にあることは間違いない。民需の約6割を占める非製造業(船舶・電力を除く)は-7.1%と2ヵ月ぶりのマイナスだ。1−3月期の四半期ベースでも2四半期ぶりの前年割れとなり、今回の回復過程でも非製造業のプラスは2四半期連続にとどまり、非製造業の回復力の弱さが目立つ。
 機械受注がピークを超え下降しつつあることは、景気は近いうちに山を付け、企業業績も悪化に向う可能性が高いということである。機械受注と株価のチャートをみると、株価のピークは機械受注に先行していることがわかる。今回、機械受注のピークアウトに対する反応が遅れているが、遅れれば遅れるほど実体経済とのズレが大きくなり、下げがきつくなるのである。

世界の注視を浴びる米国経済の動向2004-05-09

 5月4日のFOMC声明や予想を上回る改善をみせた4月の米雇用統計によって、早期利上げ観測が強まり、米国の株式・債券相場は大幅に値を崩した。一方、金利上昇期待の高まりを背景に、投機資金は米国の流動性の高い資産に行き場を求めており、対円でドルは112円台へと昨年9月下旬以来の水準に上昇した。当面、債券利回りが収益率に見合う水準に上昇するまで、運用者は流動性を重視した姿勢を取り続けるだろう。投機資金は米国に還流し、世界の株式・債券相場は弱基調で推移する見通しである。
 経済成長率と釣り合わない米国の超低金利政策は資産インフレを拡大させたが、引き締めは資産収縮の引き金となり、資産価格の下落が実体経済に悪影響を及ぼすと考えられる。日本の例を持ち出すまでもなく、実体経済以上に上昇した部分が破裂し消滅するのは必定である。特に痛手を被るのは家計部門であり、不動産価値の減価により、家計のバランスシートは悪化し、消費マインドは冷え込むことになろう。米国経済の7割超を占める主力の家計部門の不振は国内生産物だけでなく、世界の供給を消化できなくなり、米資産価格の下落は世界経済をスランプに陥れるかもしれない。
 3月のOECD景気先行指数は前年比7.6%増と前月の伸びを11ヵ月連続で上回り、87年8月以来の高い伸びとなった。ウエイトの高い米国が+11.3%の高い伸びとなり、世界の成長を牽引したからだ。だが、米国の景気先行指数の伸び率がピーク近辺にあることは間違いなく、雇用統計の改善等に気を取られていると、思わぬ景気の変化に遭遇するかもしれない。3月の個人消費支出は前年比+7.1%と前月よりも減速しており、個人消費拡大による景気拡大は限界にきている。ISM製造業景況指数の頭打ちや新規受注指数の低下などもみられる時期に、長期金利の大幅な上昇や政策金利の引き上げは実体経済の下降を速めることになりかねない。いままで以上に世界は米国経済の動向に目を注がねばならなくなってきた。

米個人消費、GDPの7割を超える2004-05-03

 1−3月期の米実質GDPは前期比年率4.2%増と前期の伸びを0.1ポイント上回った。個人消費は3.8%増加し前期よりも高い伸びとなったが、民間設備投資は+7.2%と2四半期連続で低下した。自動車等が前期比減となったため耐久消費財は減少したが、食品・衣類等の非耐久消費財やサービスが増加し、消費を支えた。民間設備投資は工場や輸送機器は減少したが、IT関連は好調を維持できた。政府部門は2四半期ぶりにプラスになったが、寄与したのは軍需であり、連邦政府の非軍需は微増、財政の厳しい州・地方はマイナスになった。

米国の超低金利政策と不動産バブル 2004-04-26

 超低金利政策は物価安定を損なわず経済成長を促している一方、資金は株式や不動産に流れ、資産価格は膨れつつある。00年2月をピークに下落していた株式市場は、昨年3月を底に盛り返している。ただ、金利はいずれ引き上げられることから、上値の重い値動きを余儀なくされよう。10年物の債券利回りは先週末、4.45%と1ヵ月で76ベイシスポイント(1bp=1/100%)の大幅上昇となったことも、株式の魅力を削いでいるようだ。
 米住宅着工件数は好調に推移しており、不動産価格も上昇している。03年末の米家計の不動産価額は15.1兆ドル、前年比10.2%増加した。過去3年の年率上昇率は11.2%と2000までの10年間の伸び率(年率5.3%)の2倍だ。不動産バブルが発生しS&Lが行詰まった80年代の年率8.4%増を上回る速度で上昇しており、またも不動産バブルが膨れてきた。2000年までの10年間、名目GDPは年率5.4%伸び、不動産価額とほぼ同じ拡大をしたが、03年までの3年間、名目GDPは年率3.8%と低く、不動産価額の伸びは実体経済から掛け離れた動きをしている。
 政策金利の引き上げは実体経済にブレーキを掛けることよりも、資産価格を反落させる影響力のほうが大きく、とくにバブルで膨れていればいるほど、資産価格の下がりかたは急激となる。一旦下落しだすと、損失売りが出尽くすまで価格は下がり続けることになり、資産の目減りが実体経済に悪影響を及ぼすことになる。政策金利の引き上げが、経済成長率を下げる程度であれば、過度に心配する必要はないが、資産価格暴落の引き金になる恐れがあるだけに、政策変更は慎重にならざるをえない。
 03年末の米不動産価額は27兆ドルと名目GDPの約2.5倍の規模である。10%の下落で2.7兆ドルの価値が吹き飛ぶ。株式下落の影響も軽視できないが、不動産は株式(15.5兆ドル)の1.7倍超の規模であるだけに、その影響力は大きい。家計だけで15.2兆ドルの不動産を保有しており、不動産価額の増大が消費マインドを好転させてきたが、不動産価額の減価は消費マインドを冷やすことになろう。不動産価額の下落が消費を冷やし経済が悪化する。経済の不振は不動産市況をさらに下振れさせるという悪循環も予想され、FRBの金融政策の舵取りはこれまでにない困難に逢着するとみている。。

プロフィール
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曽我 純(Soga,Jun)

1949年、岡山県生まれ。
国学院大学大学院経済学研究科博士課程終了。

87年以降証券会社で経済・企業調査に従事。

「30年代の米資産減価と経済の長期停滞」、「景気に反応しない日本株」(『人間の経済』掲載)など多数

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苦渋の選択を迫られるFRB

 3月の米雇用統計が予想を大きく上回ったため、NYダウは上昇、債券相場は急落した。非農業部門雇用者数は前月比30.8万人増と2月の4.6万人増から大幅に増え、7ヵ月連続の前月比プラスとなった。製造業は横ばいと改善しなかったが、小売、企業サービス、教育、娯楽等のサービス部門の雇用が拡大した。一方、求職者の増大により、失業率は5.7%と前月よりも0.1ポイント上昇した。労働時間は前月比0.3%減少し、週平均賃金は+0.1%の微増にとどまり、非農業部門雇用者の改善だけが目立つ内容となった。
 非農業部門雇用者の拡大が4月以降も続くことになれば、FRBの超低金利政策は早い時期に解除されるという観測から、2日の米債券相場は崩れ、利回りは前日比0.27%上昇の4.14%に急騰した。円ドルレートも104円台へと円安ドル高に振れたが、為替市場は米債券相場のような反応を示さなかった。
 昨年第2四半期以降の高成長が雇用増に結びついてきたと考えられるが、成長を牽引した消費がこのまま高い伸びを維持できるかどうか不透明である。2月の個人消費支出は前年比7.2%と00年6月以来の高い伸びとなり、過去の経験則からこのような高水準の消費が持続すると想定することはできない。3月の消費者信頼感指数は88.3と2ヵ月連続の前月比減となり、消費者マインドも盛り上がりに欠ける。
 経済成長が高い伸びをみせているなかで、賃金の伸びは低い水準に押さえられており、雇用の改善と減税が消費に寄与している。さらに、低金利の継続により不動産取得意欲が旺盛であり、不動産価格も上昇している。
 昨年末の家計部門保有の不動産価額は15.1兆ドル、前年比1.4兆ドル増加した。株式価額も1.1兆ドル増の5.7兆ドルに回復し、不動産と株式を合計すれば、資産価値は1年間で2.5兆ドルの大幅増となった。不動産と株式の増加額は03年の可処分所得(8.2兆ドル)の34.1%に当る。昨年末の不動産と株式の価額は20.8兆ドルと過去最高を3四半期連続で更新しており、こうした資産増が消費マインドを刺激しているといえる。
 FRBの超低金利政策により、資金は株式や不動産市場に流れ込み、資産価格は実体経済に釣り合わない高い水準に押し上げられつつある。あまり高い水準に上昇すれば、日本のバブル崩壊のように、長期におよぶ経済スランプに陥るかもしれない。雇用統計だけでなく、政治的圧力による低金利継続と資産価格バブルのはざまで、FRBは苦渋に満ちた選択を迫られている。

苦渋の選択を迫られるFRB

 3月の米雇用統計が予想を大きく上回ったため、NYダウは上昇、債券相場は急落した。非農業部門雇用者数は前月比30.8万人増と2月の4.6万人増から大幅に増え、7ヵ月連続の前月比プラスとなった。製造業は横ばいと改善しなかったが、小売、企業サービス、教育、娯楽等のサービス部門の雇用が拡大した。一方、求職者の増大により、失業率は5.7%と前月よりも0.1ポイント上昇した。労働時間は前月比0.3%減少し、週平均賃金は+0.1%の微増にとどまり、非農業部門雇用者の改善だけが目立つ内容となった。
 非農業部門雇用者の拡大が4月以降も続くことになれば、FRBの超低金利政策は早い時期に解除されるという観測から、2日の米債券相場は崩れ、利回りは前日比0.27%上昇の4.14%に急騰した。円ドルレートも104円台へと円安ドル高に振れたが、為替市場は米債券相場のような反応を示さなかった。
 昨年第2四半期以降の高成長が雇用増に結びついてきたと考えられるが、成長を牽引した消費がこのまま高い伸びを維持できるかどうか不透明である。2月の個人消費支出は前年比7.2%と00年6月以来の高い伸びとなり、過去の経験則からこのような高水準の消費が持続すると想定することはできない。3月の消費者信頼感指数は88.3と2ヵ月連続の前月比減となり、消費者マインドも盛り上がりに欠ける。
 経済成長が高い伸びをみせているなかで、賃金の伸びは低い水準に押さえられており、雇用の改善と減税が消費に寄与している。さらに、低金利の継続により不動産取得意欲が旺盛であり、不動産価格も上昇している。
 昨年末の家計部門保有の不動産価額は15.1兆ドル、前年比1.4兆ドル増加した。株式価額も1.1兆ドル増の5.7兆ドルに回復し、不動産と株式を合計すれば、資産価値は1年間で2.5兆ドルの大幅増となった。不動産と株式の増加額は03年の可処分所得(8.2兆ドル)の34.1%に当る。昨年末の不動産と株式の価額は20.8兆ドルと過去最高を3四半期連続で更新しており、こうした資産増が消費マインドを刺激しているといえる。
 FRBの超低金利政策により、資金は株式や不動産市場に流れ込み、資産価格は実体経済に釣り合わない高い水準に押し上げられつつある。あまり高い水準に上昇すれば、日本のバブル崩壊のように、長期におよぶ経済スランプに陥るかもしれない。雇用統計だけでなく、政治的圧力による低金利継続と資産価格バブルのはざまで、FRBは苦渋に満ちた選択を迫られている。

株式相場、ITバブル期を彷彿 2004-03-29

 日経平均株価は24日以降、3日連続して上昇し、昨年来高値を更新した。24日、S&Pが日本国債の格付け見通しを「引き下げ方向」から「安定的」に引き上げたことから、外人が買い意欲を強めたようだ。財務省が25日発表した3月15〜19日までの外人の日本株買越額は、1兆1,483億円と統計を取り始めた01年4月以降では最高になったが、前週も引き続き巨額の資金が株式市場に流入したのであろう。2月の貿易統計によると、出超額は前年比51.7%増の1兆4,069億円と2月としては過去最大となり、外需による景気牽引が引き続き期待できるなど、実体経済も市場参加者に安心感を与えたのではないか。
 ただ、株価収益率は30倍弱と過去3ヵ月で約5ポイント上昇したほか、配当利回り(加重)は0.89%と債券利回りを0.51ポイント下回るなど株式の割高感が強まってきている。ハイテク株から内需、さらにハイテクへと投機資金は物色対象をめまぐるしく変えているが、循環物色もほぼ行きつく所までいったのではないか。個別的には数年先の利益をも織り込んでしまった銘柄も見受けられ、前回のITバブル期の相場を彷彿させる。
 相場が上昇基調にあるときは、証券会社のレポートはもとよりマスコミも好材料のみを強調し、悪材料は片隅に追い遣られる。相場が相当激しく下落してからでないと、行き過ぎであったことなど報じられないのだ。上昇傾向を後押しすることで、証券会社には手数料が転がり込み、マスコミも売上増の恩恵に与るからだ。
 日経平均株価の前年比上昇率(月末値)はこの水準が続けば、3月は50%弱の上昇とIT期を上回り、96年6月以来の高い伸びとなる。だが、このような伸びが持続しえないことをチャートは示している。3月19日末の信用買い残は2.3兆円に膨らみ、今回の上昇過程で最大となった。まもなく始まる下降相場で積み上がった買い残の手仕舞いが、下落速度を加速させるはずだ。激しい売りに耐えられるかどうかという初めての試練に、インターネット証券は直面することになろう。

OECD景気先行指数が示す為替相場の方向 2004-03-22

 一時、円は対ドルで112円台まで売られていたが、先週、スノー米財務長官の円売り介入牽制発言により、円高に急速に戻り、週間で4円20銭円高ドル安の106円台に上昇した。ただ、円の上値余地は大きくなく、前回の円高局面でのピークである101円50銭(00年1月)を抜くことはないであろう。
 円ドル相場は02年1月の134円70銭を底に円高ドル安に転じ、円高トレンドは2年を超えた。期間では前回を上回り、長期化の様相を呈しているが、いつまでも円高が続くわけではない。現在の円高ドル安は、近いうちに円安ドル高に向きを変えるはずだし、そのような気配を感じさせる経済指標もみられる。
 円ドル相場の傾向を決定付けるのは景気であり、日本の景気拡大が円高、後退が円安を引き起こす。景気が良くなると予想されるところに資金は流入し、景気が冴えないところから資産は流出するのである。巨額のホットマネーが値上がりしそうな資産を虎視眈々と狙っており、外人がいつ日本株から他の資産に資金をシフトさせるとも限らない。
 OECD発表の日本の景気先行指数は、景気の谷(02年1月)に2ヵ月先行する01年11月に前年比-5.1%の最低をつけてから、上昇傾向を示している。奇しくも、円ドル相場も景気の谷と同じ02年1月を境に円高に向った。昨年3月から5月に、景気先行指数は前年比マイナスとなったが、その後持ち直し、プラス幅が拡大するにつれて、円高傾向は強まった。景気先行指数(前年比)のピークとボトムが円高のピークと円安のピークにほぼ対応していることから判断すると、今回のトレンドも転換点に接近しつつあるように思われる。
 日本の景気拡大は外需に支えられており、内需の回復力は依然弱い。1月のOECD景気先行指数は前年比6.1%増と日本の2.7%増を大幅に上回っており、世界の景気に引っ張られている様子が窺える。世界経済の機関車である米国は9.0%増と10ヵ月連続して伸び率は上昇した。米国の景気拡大のテンポは速く、前年比伸び率は84年1月以来20年ぶりの高さとなり、景気のピーク感が強く出ている。
 巷では景気好転が喧伝されているが、日本の景気先行指数の伸びは鈍ってきており、円高の勢いも弱まるであろう。今回の景気拡大も年央には転換点を迎え、円高も修正される見通しである。来年4月からはペイオフが実施されることになるが、為替が円安ドル高傾向になっていれば、個人の預貯金が海外に流失し、思わぬ円安ドル高に見舞われるかもしれない。

米貿易赤字とドル問題 2004-03-15

 米国は貿易赤字拡大に歯止めはかからず、1月は過去最高を更新した。実効ドル相場は過去2年で大幅に下落したが、貿易収支の改善には寄与していない。為替レートの貿易収支に及ぼす影響は小さく、赤字縮小にそれほど効果があるわけではない。景気が拡大していれば、貿易赤字が増大する仕組みが米国経済には組み込まれているのである。景気が後退すれば、赤字の拡大は止まることになるが、多くのものがドルで取引されているため、ドル安の効果は限定的だ。米国で為替レートが重要なのは、政治的な道具として有効であるからだ。ドル安が貿易収支の改善につながらなくても、国民に効果があるように思わせることのほうが大事なのである。
 低金利と減税によって、米国の需要は拡大し、世界経済の機関車の役割を果たしている。中国や日本は米国需要増大の恩恵を受けており、輸出の対価として受け取ったドルは、日本では円に交換され給与や原材料費として支出される。交換されたドルは持ち手を変えながらもドルとして世界を駆け巡ることになる。米国以外ではドルでものを買うことができないので、ドルは米国に還流するのである。米国が経済、政治、軍事の面で圧倒的な地位保っている限り、ドルの問題が問題になることはなく、ドルは基軸通貨として地位を維持できるであろう。米国の貿易赤字の拡大を心配するよりも、自国の経済を立て直すことのほうがはるかに大事なのである。

鉱工業生産、一部産業に偏る急上昇の脆さ 2004-03-02

 鉱工業生産は01年11月を底に02年半ばまで回復力が強かったが、その後、勢いは弱まり昨年8月までもたついていた。だが、昨年9月以降急速に回復しており、1月には前月比3.4%増の高い伸びとなった。情報通信を除けばすべての業種で前月比プラスとなり、生産は広い分野に波及しているようにみえる。だが、前年比伸び率(5.0%)に対する寄与度は電子部品・デバイスが2.8%と抜きん出ており、一部の産業に偏っていることが気掛かりだ。これに一般機械を加えると4.4%となり、鉱工業生産の伸び率の9割近くが、2業種に依存しているという脆さを抱えている。突き詰めた言い方をすれば、鉱工業生産は変動の激しい半導体産業と一蓮托生の関係にあるということなのである。

日本経済、民需の持続性には疑問 2004-02-23

 昨年10-12月期の名目GDPは前年比0.9%増と2四半期ぶりのプラスとなった。民間最終消費支出が+0.5%と5四半期ぶりに前年を上回ったほか、民間企業設備が5.6%増と00年10-12月期以来の高い伸びとなった。純輸出も54.0%増と好調であり、これだけでGDPを0.6%引き上げた。半面、公的需要は消費、公共事業ともにマイナスとなり、寄与度は-1.1%とマイナス幅は3四半期連続で拡大した。
 民間需要(民間最終消費支出、民間企業設備等)は昨年1−3月期以降、4四半期連続して前年を上回ったが、公的需要(政府最終消費支出、公的固定資本形成)は02年10-12月期以降、5四半期連続のマイナスとなり、公需から民需へとバトンタッチが行われつつあるようだ。だが、民需がこのままプラス成長を維持でき、GDPが拡大基調に乗れるかどうか疑問である。デフレーター(物価指数)は前年比-2.6%とマイナス幅は拡大し、消費や設備投資を先に延ばすように仕向けるだろう。収入増が期待できないことに、年金不安・負担増や増税観測などが加わり、消費マインドの好転は期待できない。前回の景気拡大期、民間企業設備は前年比プラスに転じてから5四半期目にピークをつけたが、今回、すでにプラスが3四半期続いていることから、ピークは間近かなのではないか。外需も年率9兆円を超えており、円高や米国景気などを考えれば、これ以上の拡大は望めそうにない。GDP寄与度の最も高い民間企業設備が失速すれば、GDPの伸びも落ち込むことになるであろう。名目GDPに占める民間企業設備の比率は15.1%(03年10-12月期)だが、米国は10.2%と約5ポイントの差がある。この差が外需依存の不安定な経済を作り上げている。民間企業設備の比率を落とすような政策を推し進めなければ、日本経済の安定性はなかなか確保できないのである。

いつまで続く不毛な金融政策 2004-02-16

 1月のマネタリーベース(MB)は前年比13.6%増と前月の伸びをやや上回った。一方、マネーサプライ(M2+CD)は+1.6%と引き続き低い伸びにとどまっている。MBの平均残は1月、108.3兆円と前年比12.9兆円増加したが、日銀券発行高は72.7兆円、前年比1.8兆円の増加にすぎず、増加額の大半は日銀当座預金(前年比11兆円増の31.2兆円)によるものだ。
 銀行貸出が前年を大幅に下回る半面、預金は増加しているため、銀行は債券の購入だけでなく日銀当座預金の拡大に対応すことも可能となった。政府の円売りドル買い介入による円散布も日銀当座預金の拡大要因だ。銀行の預金増、貸出減の状態が続けば、先月35兆円に引き上げられた当座預金の目標値は、さらに上方修正が可能なのである。資金需要が弱いことが、日銀券の低い伸びと当座預金の拡大を導いているといえる。量的緩和という当座預金の引き上げによって、日銀は債券購入額を増やしており、先週末の国債残は91.7兆円に増加した。
 当座預金という量的緩和を続けても、銀行に金が溜まるだけで、経済的効果は不明である。このような金融政策によって、日銀は国民を煙に巻き、金融面から景気回復を支援しているという。小泉首相の「構造改革」と同じであり、真剣に取り組んでいることを認めてもらうための方便なのである。それによって、日本経済が健康体を取り戻すことができるかといったことはどうでもよいのである。こうした分かりにくい曖昧な経済・金融政策がいつ終わるともなく続くことほど、日本の将来が危ぶまれることはない。

日本政府の本音は円高ドル安 2004-02-09

 日本の株式相場は外人買いにより、ここまで回復してきたが、外人買いが途切れることになれば、株価は反落することになろう。1月も外人は1.5兆円近く買い越し、相場を支えた。これで16ヵ月連続となり、ITバブル(18ヵ月)以来の長期買い越しだ。円高が持続する見通しのもとでは、外人は日本株投資を継続するかもしれない。だが、円高が転換しそうな兆しをみせれば、利益確定に走り日本株を手放すことになろう。
 個人株取引は増加しているが、外人買いに追随しているだけであり、下落相場になれば、個人の信用の投げが発生し、相場を大きく崩す原因になるであろう。株式の買い手が国内では不在の状態では、円ドルレートの反転は当局にとっても好ましくない。ドル安でブッシュ政権を支援し、円高で株価を保ちながら7月の参議院選挙に臨むのであろう。政府の本音は緩やかな円高・ドル安であり、今、円ドル相場が反転しては困るのである。

外需で持つ日本経済2004-02-02

 12月の完全失業率は前月比0.3ポイント改善の4.9%と01年6月以来の5%割れとなった。医療・福祉、教育・学習支援業などの非農林雇用者が増加したことが失業率の改善につながった。業績が回復している製造業雇用者は引き続き前年を下回っている。就職を諦め労働力人口が減少していることも失業率の低下要因だ。昨年の就業者数は6,316万人と97年をピークに6年連続で減少し、6年間で就業者数は248万人減少した。そのうち雇用者56万人、家族従業者80万人、自営業主112万人と小規模経営の従業員が失職した。小泉首相は構造改革を唱えることで、現状からうまく国民の目をそらしているが、零細企業を潰し続け、いつまでも泥沼から抜け出せない状況を作り出しているのが小泉内閣の実態なのである。
 12月の勤労者世帯の消費支出は前年比0.7%増と4ヵ月ぶりのプラスになったが、可処分所得は3.6%減と大幅なマイナスだ。世帯主(男)の定期収入、臨時収入・賞与ともに前年を下回り、社会保険料の増大が響いた。03年の実収入と消費支出は2.6%、1.5%それぞれ減少し、マイナス幅はいずれも拡大した。1月の東京都区部消費者物価指数は前年比-0.6%、生鮮食品を除くも-0.3%といずれもマイナス幅は拡大し、デフレは厳しさを増している。
 米国経済の拡大によって輸出は好調であり、12月の数量指数は前年比12.6%増と昨年2月以来の2桁増となった。対米は微減だが、欧州およびアジア向けが好調である。輸出の拡大により12月の鉱工業生産指数は前年比5.7%と1月以来の高い伸びとなった。昨年夏には前年を割れていたが、再び盛り返してきた。鉱工業生産を引き上げているのは電子部品・デバイスと一般機械であり、両部門の12月の伸びに対する寄与度は5.2%と高い。一般機械の主力は半導体製造装置であることから、世界の半導体需要の行方が鉱工業生産を決定づけているとみていい。

米国の低金利、ドル安、株高戦略 2004-01-26

 円売りドル買い介入により、日銀当座預金残高の目標値を維持できなくなったため、20日、日銀は「27〜32兆円程度」の目標値を「30〜35兆円程度」に拡大した。今後、円売りドル買いが大規模に行われることになれば、目標値はさらに上方修正されよう。
 大統領選挙を控え、FRBは現状の超低金利政策を余儀なくされよう。設備稼働率は低く、実体経済からみても物価安定が損なわれる状況ではない。低金利の持続によって、ドル安を維持し、経済成長を支えようとしている。現政権にとって景気拡大は最重要課題であり、拡大維持のためには形振り構わぬ政策を打ち出すことも考えられる。そうした政策により株価の上昇力を強め、支持率を引き上げ当選を果たすというのがブッシュ大統領の戦略なのだ。
 こうしたブッシュ大統領のドル安政策を支えているのが日本の円売りドル買い介入なのである。いまのところ、日本の為替介入によってドルの下落速度は許容範囲に収まっており、米政権にとっては、理想的は経済状況にあるのではないか。ただ、低金利の長期化で米株式市場は上昇力を強め、NYダウは10,600ドル前後まで回復し、ファンダメンタルズから説明がし難くなってきた。FRBも選挙を控え「根拠なき熱狂」と揶揄することもできず、株式バブルは膨らみ続ける見通しである。

米国景気、稼働率伸び悩み物価安定 2004-01-19

12 月の米鉱工業生産指数は前月比+0.1%と4ヵ月連続のプラスになった。10-12 月期では年率6.2%増となり、00 年4−6月期以来の高い伸びだ。昨年第4四半期の伸びは高くなったが、03 年では0.3%増にとどまり、過去の景気回復期に比べて回復力は弱い。景気の谷(01年11 月)から25 ヵ月経過したが、その間、鉱工業生産指数は3.5%上昇したにすぎず、前回の景気回復期の伸び(8.6%)の半分にも満たない。生産の回復力の弱さは設備稼働率にもあらわれており、昨年12 月は75.8%と景気の谷を0.5 ポイント上回っているだけである。
四半期では2期連続の上昇になったが、年ベースの稼働率は01 年以降、3年連続の低下となった。
鉱工業生産が僅かだが上向いているのは、ハイテク産業が好調なからだ。通信機器は依然弱いが、コンピュータや半導体が勢いを増しており、自動車関連も堅調である。12 月のハイテク産業生産指数は前年比24.5%増、景気の谷からは45.7%上昇した。
設備稼働率が75%程度にとどまっているため、物価上昇力は引き続き弱く、12 月の消費者物価(食品・エネルギーを除く)は前年比1.1%と前月と同じ伸びとなった。1月のミシガン大学消費者センチメント指数(先週末発表)が予想を大幅に上回る103.2(12 月92.6)に上昇したが、債券利回りの上昇が前日比+0.05%にとどまったのは、物価の安定した状態が続くと予想しているからであろう。

米国景気の転換点は間近 2004-01-12

 OECD発表の11月の米景気先行指数は前月比1.4ポイント上昇し、昨年3月を底に8ヵ月連続のプラスである。米国の景気拡大に引っ張られて、OECDの景気先行指数は米国よりも緩やかだが、同じような傾向を示している。11月の米景気先行指数は前年比8.2%と96年6月以来の伸びとなった。チャートをみると90年代ではピーク近辺に位置していることがわかる。これだけ景気のテンポが力強さを増していながら、雇用が改善しないことは、今後、雇用環境は厳しさを増す可能性のほうが高いのではないか。

2003年分のマーケットレターバックナンバー

人間の経済 2004

第78号、04年3月発行

特別講演
韓国における地域通貨の現状と課題 全 定根 [GRSK ]
「2003 年の日本の地域通貨の全体的動向と現状」 泉 留維
「WAT 清算システムの拡大とWAT 拡張部設計の諸手法」 森野 栄一
「フランスの地域通貨SEL と知識の交換ネットワークRERS の現在」 川野 英二

2004 Quote of the day

  • 「昨日の危機は明日の冗談だ。」La crise d'hier est la blague de demain(Herbert georges Wells)
  • 「凡そ學たるものは、いわゆる温故知新の道理てふものにて、古へを知りて今を知り、己れを知りて彼れを知り、四通八達至らさる所なからしむ、こを学問の本体とし侍る、それ故に学者いやしくも今を知らむとほつせは、かならす先つこを古へに考へ知らさるへからす、彼れを知らむとほつせは、必すまつこを(注:まずこれを)おのれに考へ知らさるへからさるものとす、故に今彼の西洋の學をなさむとほつせは、かならす先つ我か国古今のことを学ひそのうへ漢土の學を究め、しかして後ち始めて西洋の學を攻(おさ)むるを要すへし、近来書生の風習たる、都て己れの国のことを知らすして、徒らに彼の西洋の言語を学ひ、僅かに彼の書を読ミ、やゝ新奇のことなとを覚へ侍りて、己れは人の知らさることをも知れる顔にて、更になにらの考へもなく、ミつからもて足れるとし、常に意気揚々として人に誇る、いと片腹いたきことならすや、かく近来の洋学者と称するものは、往時の漢学者と称するものよりも劣り侍りて、実に(ケに:げに)その用をなすことなく、諺に言へるなま兵法は大疵の基なりとの譬(たとえ)の如く、却て害をなすことすくなからすと考え侍る」(西周、『十燈影問答』)

    こういう言は西周のような天才でなければ、容易に言い得ぬものですが、この国の知識人はまったく指摘される通りと思っています。農、環境等の分野にても然り。09:08:03morino
  • 「 あなたが電話をかける、クレジットカードで品物を買う、雑誌を購読する、税金を払う、どんなときでも、その情報はどこかのデータベースのなかに入っていく。そのうえ、こうした記録はすべて、リンクできる。だから事実上、あなたの生活の一つの調査書類ができあがる。あなたの医療や金融の履歴ばかりでなく、あなたが買ったもの、旅行した場所、交流した相手もだ。さまざまな組織があなたに関して保持するファイルのすべてを知ることは不可能だし、いわんやその正確性を保証したり、それにアクセスできる者をコントロールすることなどできはしない。各種の組織がそれら自身のためにさまざまな源泉から記録をリンクする。確かに、ローンの申し込みを受け、ジョン・ドウが過去二年間、四種の似た貸付に滞納がないか知ることは銀行のためである。こうした情報を銀行がもつということは、銀行が不良貸付のコストを転嫁するその他の顧客を助けもする。そのうえ、こうした情報は支払い履歴が完璧なジェーン・ロウが、彼女がこれまで一度も見たことがないお店で支払い口座を作ることを可能にする。しかしながら、その同じ情報が悪人の手に握られると、ビジネスの防御も顧客へのよりよいサービスも提供しはしないのだ。泥棒は盗んだクレジットカード番号を使い、犠牲者の支払い記録上で取引をする。殺人者は政府が保持するアドレスコードを調べてターゲットを追いつめる。別のレベルでは、合衆国国税庁はメーリングリスト運営会社が集めた家計所得の見積もりに基づき監査する納税者を選びだそうとした。個人に関してさまざまな組織が集めた増え続ける情報がリンクされうる。なぜなら、これらはどれも、米国では問題となる個人を識別するために社会保障番号という同じキーを使うからだ。この識別子に基づいたアプローチは必然的に個人の自由をトレードオフする。(その関心が彼らを詐欺から守るためか、マーケッティングの目標を決めるためかにかかわらず)組織がもつ情報が多くなるほど、人々が保持するプライバシーとコントロールはより少なくなる。・・・」
    (デビッド・チャウム、「電子上のプライバシーを実現する」、This article appeared in Scientific American, August 1992, p. 96-101.)
  • 「由来我公同自治の典制は、民衆が適所に就き、隣閭修睦して自ら治まるのであれ ば、其政治的施設は、只だ善く自ら治まる可く仕向くるが常例であり常則である。故 に大化令に於いて善く古来の成俗を正たし、井伍互に相検察するの法典を定められた ものにして、其遺習は我邑里構成の根基を成し、戦国喪乱の時代に於てすら「民の自 ら治まる所に随ひ之を統ふ」と云う根本大是を立て、邑里民衆に対しては、成る可く 官の干渉を避けたものである。若し万事都て官吏の手に治むるとなれば莫大なる政費 を要し、其負担の為に民衆を苦しめ、是に依り非違奸濫紛起し、遂には一民一官を付 するも及ばさるに至ると誡めてある。」(権藤成卿、「制度の研究」、第二巻、第三 号、昭和11年3月号)

    古来の誡めを知るべきときか。

  • 「世界のあらゆる国の貨幣制度において、各マルクにつき年間10プフェニヒの税を 共同社会がこのマルクを所有する者の負担で課税する。そのマルクが事業所のレジス ターのなかにあるか、ストッキングのなかにあるか、銀行に保管されているかは問わ ない。

    ・・・ 貨幣が商品とみなされず、商品所有者たちに商品交換の調停者とみなされるなら、そ こで、その交換に貨幣を調達するのはだれであろうか。もちろん、貨幣の保有者であ る。それで取引で扱われる商品は交換される、すなわち他の商品と交換され、商品の 製造者は貨幣がその交換を媒介するものと前提し、それゆえ、貨幣が存在しなければ 商品は販売されず、交換されなくなる。しかし、交換を媒介する貨幣の保有者は彼が 好むときに商品を購入することができる。彼は今日それをなしうるし、明日すること もできる。まったく彼は強制されることがない。商品は打ち負かされ、彼はこれを無 価値なものにすることができるのだ。彼は商品 に優位し、実際上その所有者である。なぜなら、彼は商品を交換に従わせるであろう 紙券を持っているからだ。

    貨幣が商品と区別されずに、傷み、商品のごとくさび付くなら、貨幣は商品と同じ関 係のなかで苦しみ、商品が死ぬのであれば、その配分者である貨幣もまた死ぬ。商品 が死ねば、その交換の媒介物であることがその存在目的、存在資格である貨幣も死ぬ のである。商品の販売を通してのみ製造業者はその所有者である。なぜなら販売のみ が所有権を、またその代金を彼にもたらすからである。」(シルビオ・ゲゼル、『社 会国家への架け橋としての貨幣制度における改革』、1891年、ブエノス・アイレ ス)
  • 「貨幣は決して統計ではないし、動的なシステムである。通貨は動き(Tat)なのであって、物質ではないし、今日まで間違って、人が金本位に期待したような貨幣をなす金属の自動的副産物でもない。」(シルビオ・ゲゼル)
  • 「凡そ負債者も、乙酉の年より以前の物は利を収めること莫かれ、若し既に身を役せられたる者あらば利のためにまでは役せらるヽことを得ず」(持統天皇元年丁亥の詔、権藤成卿、『農村自救論』より重引)
  • 「我々は敵を一人殺害するにつき32万2千ドル使っていると見積られている。
    米国におけるいわゆる貧困との戦争で<貧者>に分類された人間一人につき53ドルしか使っていないのにだ。それにこの53ドルも多くは貧者でない人間のサラリーに消えていく。我々はベトナムにおける戦争をエスカレートさせてきた。そして貧困に対する小戦闘を縮小してきた。我々が殺戮を止めねばならないとするなら、我々が変わりうるどのような生活を望むのか、その構想が問われている。」マーチン・ルーサー・キング・ジュニア、「ベトナムにおける戦争の諸原因」、1967年2月25日。
  • 2004-02-28市場経済と資本主義の相反性について
    「'資本主義'という表現は'市場経済'と同義ではなく、市場経済の独占的逸脱と 同じである。当然にも人は完全競争の市場経済を'資本主義'と呼ぶことに反対する -19、20世紀の「資本家的」と名付けられた経済の病理学的退行の形態つまり実 際の競争経済の実効的な対立物を強調する。しかし、もしそうであるならば、こうし た歴史的退行には異なった別の用語が必要である・・・したがって我々は完全競争の 自由な市場経済から、・・・つまるところ我々が「資本家的」と呼ぶ19,20世紀 の退嬰的な補助金に頼る、独占的で、保護主義的で、複層化した経済を区別する。」
    (aus dem Nachwaort von Sibylle Toennies "Die liberale Kritik des Liberalismus" zu Prof. Dr. Alexander Ruestow(1885-1963): Die Religion der Marktwirtschaft, Muenster 2001. Walter Eucken Archiv -- Reihe Zweite Aufklaerung Band 2.S.179-180. Besonders empfehlenswert ist das Kapitel "Der dritte Weg" auf den Seiten 41-100 dieses Buches.)
  • 2004-02-28市場経済と資本主義の相反性について
    「'資本主義'という表現は'市場経済'と同義ではなく、市場経済の独占的逸脱と 同じである。当然にも人は完全競争の市場経済を'資本主義'と呼ぶことに反対する -19、20世紀の「資本家的」と名付けられた経済の病理学的退行の形態つまり実 際の競争経済の実効的な対立物を強調する。しかし、もしそうであるならば、こうし た歴史的退行には異なった別の用語が必要である・・・したがって我々は完全競争の 自由な市場経済から、・・・つまるところ我々が「資本家的」と呼ぶ19,20世紀 の退嬰的な補助金に頼る、独占的で、保護主義的で、複層化した経済を区別する。」
    (aus dem Nachwaort von Sibylle Toennies "Die liberale Kritik des Liberalismus" zu Prof. Dr. Alexander Ruestow(1885-1963): Die Religion der Marktwirtschaft, Muenster 2001. Walter Eucken Archiv -- Reihe Zweite Aufklaerung Band 2.S.179-180. Besonders empfehlenswert ist das Kapitel "Der dritte Weg" auf den Seiten 41-100 dieses Buches.)
  • 2004-02-28私がそれを指摘した最初ではないが、共産主義を破った資本主義は民主主義に対して同じことをしているようにみえる。市場は立派に振る舞っているけれども、我々はそうではない。Ian Frazier
  • 「しかしアーヴィング・フィッシャーは銀行貨幣を考慮して貨幣数量理論 を厳密に論述した最初の人間たちのひとりとしてよく知られている。1911 年の『貨幣の購買力』で、彼は有名な交換方程式 MV+M'V'=PTを 提起しており、そこで彼は預金通貨のMと信用貨幣のMにつき、異なった速 度VとV'を区別している。取引量が独立な仕方で決定されると仮定すると、 たとえば需要と供給が唯一相対価格の動きを説明するような一般均衡理論 におけるような場合であるが、決済の習慣や金融機関がVやV'を決定し、M' は準備金の倍数であり、それで、一般物価水準Pは貨幣創造に比例して変化 する。人はもっとも伝統的なマネタリストの議論を知ることになろう。米国の歴史 に刻み込まれた、60年代の「緑背貨幣(グリーンバック)」から「大インフレ」へ の エピソードである。これについてエールの経済学者(フィッシャーを指す)は現代の 理論家がいうような諸個人の行動やポートフォリオの選択よりも金融機関の役割 を強調している。」(Robert Boyer, D'un krach boursier a l'autre: Irving Fisher revisite, 1988.)
  • 貨幣は鉄道のようなものだ、単に商品交換を媒介する国家の仕組みにすぎない。これを利用する者は誰でも利用料金を支払わねばならない。(シルビオ・ゲゼル、『貨幣の国有化』、1892年)
  • 『貨幣に関する座談会答問抄』より。2004-01-21

    「問貨幣政策の具体的な目標--実行標準を問う。答物の価値は都て貨幣を以てその標準をとる。その合理不合理の議論は暫く措き、地球上に国を成したる各地域の各範囲内に於ては、金若しくは銀を以て貨幣の本位を定めている。それから産とは動産不動産であるが、これを細別すれば、その種類性質甚だ複雑である。
    併し人類存活の物質、例えば土地の如き、また物資を製作するの機関の如き、また物資の取り扱いをなす機関の如き、また物資の流通配給をなす機関の如き、皆な産として価値をなすものである。そこで産そのものを占有していれば自ら利益を取得さるるのである。而して貨幣は産そのものを占有する力を具備している。
    人類の心的、形的の労働は業である。衣食住物資製出の都ては皆この業の力に待つものである。故に業に対する政治的若しくは社会的措置が調斉を失えば、人類の共存は必ず不安全となるのである。経済の要則たる原料、労力、資本の均衡を全うするという意は、この義に外ならぬのである。併し資本力のみに特権の権力を認めてきた欧州の、近世幣帑組織を模擬した我貨幣制度は、今日の百弊続出を招致せし原因である。我国の現行法度に於て産そのものは如何なる程度に保証され居るや、また民衆一般の業、即ち労力は如何なる程度に保証され居るや、苟も彼れに利にして是れに不利なるものあれば、その調斉を破り、多数民衆の生存を脅威するに至るべきは、当然の結果と見なければならぬ。
    貨幣の占有者、その最も多く貨幣を占有している者は、謂ゆる資産家である。資産家は直ちに資本の供給者で、容易に産業の占有者となり、原料も直ちに資本権の支配に帰し、労力も亦資本権の支配に帰し、遂に人類の存活に利用されねばならぬ物資の配給は、その調斉を破り、今日の如き不自然界を現出する訳となる。
    我古来の産業制度は、単に民衆の衣食住を調斉する目的にあったから、法制の発布も亦この目的を離るるを戒めてあった。故に、資産に対する個人の特権を認めるのは己むを得ざる場合のみに限り、一般国民の職業に対し厚く保証を与えることとなっていた。これが大化以来、農地の売買、または宅地家屋の売買、または山林沢梁の独占が厳禁されて居った訳で、只だこの種の施設に依って貨幣の威力を緩和して、民衆の共存機関を保持したものである。
    明治に至って、我国も亦欧州式の私有財産制度に一変し、社稷全部の資産が恣ままに一部少数人に独占される事となり、法律の条規は随って之を保証して、株式会社日本銀行に、兌換発行の特権を与え、資本力万能の国となしたものである。
    その結果、農民ならざるものが農地を占有するを不合理としたる古制の大旨も、住宅の安定を以て民心和平の本源としたる政刑の目的も、全然滅絶し尽したものである。
    由来、共存共栄を以て社稷の要道となし、深く民物の独占行為を憎悪した我故俗が、現今の如き、農地兼併、住宅併有、山林も沼沢も幾んど余すところなく独占し、而かもその独占機能が時価を生じ、法律上之を有価物件と認められ、強制執行まで出来るようになり、そして謂ゆる資本主義機構の下、百事百般の梗塞、行詰りとなったのは、ただこれ異性異質の西洋文明を模擬模倣し、習慣を無視して不自然な制度を布いた結果である。
    日本には自ら日本の沿革習慣がある。何をするにも全く之を無視することは出来ぬ。仮令その沿革を襲わぬとしても、克くその利弊を明かにしてこれを決行せねばならぬ。明治の貨幣制度冊(原文はこの字にりっとうが付く字体)定は寧ろこの点の推究が漫然であったのである。」(権藤成卿)
  • 「かくてこの見方がどれほど簡単明瞭と思われようとも、しかし、 これを詳細な点にまで立ち入って展開するとなると大きな困難 に逢着する。われわれはほとんど一歩ごとに敵対的な見解に 突き当たり、しかもこれらの若干は素人だけでなく専門家の一 般意識にも深く根を下ろしている。あるいはまた、われわれは 一見すると矛盾そのものと思われる結論に達する。私はこの 困難をなんとか口先でごまかし去ろうなどとはせず、本当に 取り除こうと真面目に骨を折ってきた。しかし、もっと多くの文才 か、もっと多くの自由な時間をもっていたならば、すべてはまだまだ 簡単に、平易にかつまた明確に叙述できたはずであったろうと思っ ている。」(ヨハン・グスタフ・クヌート・ヴィクセル、『貨幣利子と物価』、 1898年)
  • 「なにが事実なのか、繰り返し繰り返し幾度も、なにが事実なのか。希望的観測を避け、神聖な啓示を無視して、星々が示すものを忘れて、世評に近寄らず、隣人が考えていることなど気にかけず、想像しえぬ'歴史の審決'など断じて考慮せぬ、なにが事実であるのか、かくも無数の小数点以下の桁数にとって。君はいつだって未知の未来にいちばんに入っていく、事実だけが君のチャンスなんだ。事実を我が物とせよ。」(ラザルス・ロング)

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