2001年1月 Archives

「経済政策におけるケインズの革命的観念と 金利生活者資本主義の失墜」

:: Morino,Eiichi 

マリオ・セッカレチアとマルク・ラボアの論文 「経済政策におけるケインズの革命的観念と 金利生活者資本主義の失墜」を暇をみて訳出 します。 数年前にセッカレチアから送ってもらっていて、 「自由経済研究」に訳載する予定だったんです が、地域通貨の騒ぎでそのままになっていました。 雑誌にはこの論文と合わせ、ミシェル・エルランの 「ケインズの革命戦略」という論文も掲載する予定 でした。続けて訳出していくつもりです。そのうち雑誌 で「極左」ケインズ主義の特集をしたい(笑)。

Mario Seccareccia et Marc Lavoie, Les idees revolutionnaires de Keynes en politique economique et le declin du capitalisme rentier*, dans Economie Appliquee, tome XLII, 1989, no 1, pp.47-70.

* この論文は、「貨幣、利子、金利生活者:ケインズ の「一般理論」における金利生活者資本主義の黄昏」 (O.ハムーダ、J.スミシン編、「ケインズと半世紀後の公 共政策」、第二巻、エドワード・エルガー出版、1988年 所収)の増補改訂版である。

要約

伝統的な経済分析にあるようなステレオタイプなケインズ 解釈とは反対に、ケインズが経済政策について語るとき、 短期の政策課題への関心よりは金利生活者資本主義が 引き起こす長期の構造問題への関心がみてとれる。本論 文ではケインズのきわめてラディカルなテーゼが明らかに され、その意味するところが議論されるが、それはとりわけ 景気循環のなかでの所得分配に関してである。

はじめに

『一般理論』の刊行から半世紀以上、雑種のケインズ主義は、ヒックス- モジリアーニのIS-LMアプローチに基づく分析的枠組みのなかで存在 してきたが、経済思想の歴史のなかで、人を困惑させる特異な現象で あり続けている。近年、「新」ケインズ主義が出現し、一定の条件下では こうしたケインズ主義はその有効な唯一のアプローチが「新」古典派とそ の極端な自由放任に対立しうるものであるとみなされる。かつての「流体 力学的な」ケインズ主義、あるいは現在の新ケインズ主義のいずれが問 題であるにせよ、選択肢は短期の総需要の管理と安定化の伝統的な政 策に止まっている(1)。  しかしながら人は『一般理論』からまったく別の解釈を引き出すことがで きる。ケインズは短期の安定化というマクロ経済政策よりも金利生活者資 本主義(2)が引き起こす諸問題の解決に関心を寄せていた。実際、『一般 理論』において、ケインズは短期の政策によって「不完全雇用下の均衡」の 周期的な危機に対処することを探求してはいない。彼が望んだのは長期の 政策によってこうした危機の出現を妨げるような仕方で経済をリストラクチャー することであった。彼が到達した結論は悪の根源に直接攻撃をしかけるとい う意味でラディカルなものだ。その悪の根源は資本主義という特殊な位相へ と進化した現代の貨幣経済の社会経済構造のなかにあるのだ。 (この項、続く)

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